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婚約破棄から始まる国家簒奪  作者: はるかに及ばない


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第二十一章 正統の証

王都の大聖堂。

巨大なステンドグラスの下、枢機卿たちが沈黙の中で集っていた。


「クラリッサ公爵令嬢の御子は、神に選ばれし後継……」

「それは本当に信じるに足るのか?」


彼らの疑念を見透かすように、クラリッサは一歩進み出た。


「神の御心を疑う必要はございません。

 ですが――この国庫からの寄進と、大聖堂の拡張をお約束すれば、

 きっと民衆も神の威光をさらに信じるでしょう」


差し出された黄金と約定。

それは聖職者の沈黙を打ち砕いた。


「……神は御子を祝福している。

 この子こそ、王国の未来である」


教会は正式に宣言した。

“クラリッサの子”こそ神に選ばれた後継者である、と。




隣国ヴァルデン王国。

宮廷で、大使たちが密かに報告を交わしていた。


「王国の実権はクラリッサが握っている。愚王に味方しても国は動かぬ」

「ならば彼女の御子を支持すべきだ。将来の王に恩を売れば、交易も国境も安泰だ」


クラリッサはすでに手を打っていた。

ヴァルデンの有力商会に利権を与え、軍将校には武具の供給契約を提示していたのだ。


大使団は帰国後、国王に進言した。

「新しき後継を認め、支援を誓うことこそ、我らの利益に適います」


やがてヴァルデン王国は公的に声明を出した。

「クラリッサの御子こそ、王国の正統なる未来の王である」と。




こうして王都の広場には連日、鐘の音が鳴り響いた。

教会は説教壇で宣言する。

「神が選ばれし後継はすでに宿りたもう!」


隣国の使者は民衆の前で高らかに告げる。

「ヴァルデン王国は、新しき王の誕生を祝福し、同盟を誓う!」


民衆は狂喜した。

「国外も認めた! ならば疑う余地はない!」

「クラリッサ様の御子こそ、我らの未来!」


もはや国内外すべてが、“まだ生まれぬ子”を王国の正統後継と信じ込んでいた。




夜。政務室で黄金の杯を掲げながら、クラリッサは笑った。


「あはは……教会も隣国も、すでに余の子を未来の王と認めたわ。

 これはもはや噂ではなく、国際秩序そのもの。

 愚王は空虚な影、余の子こそ実質の王朝よ!


 帝国で失ったものを、ここで得た。

 信義、民心、そして正統。

 余の治世は、いまや盤石である!」


燭火の下、その嗤いは夜空を震わせ、王国の未来を覆い尽くした。

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