序節:世界から愛を込めて 神秘と冒険を
勢いと思いつきです。良ければ評価おなしゃす。モチベ上々でかましていきたいです。
世界は広く、深く、そして限りなく神秘に満ちている。
浮かぶ島、沈んだ都市、終わりなき砂の海。
遥かな空から、果ての海底まで――
人の理解を超えた“なにか”が、この世界にはごく自然に存在している。
それでも人は、歩みを止めない。
探究心、好奇心、そして、愚かしいまでの夢。己の限界を知りながら、その向こうを見ようとする。
地図にない場所を目指し、誰にも理解されない“なにか”に魅せられ、
危険を知っていてもなお、命を懸けて一歩を踏み出す者たち。
――彼らのことを、人は“冒険者”と呼ぶ。
誰も辿り着けなかった景色を、たったひとりで見たいと願う。故に、
人間とは、冒険者とは、愚者である。
私は、そんな愚者のひとりだった。
かつて命を賭けて神秘に触れ、世界に魅せられた、愚か者の一人。
だからこそ、これを手に取った君には忠告しておきたい。ここから先の頁には、答えは書かれていない。ただ、どこまでも果てしない問いと、いくつかの軌跡だけが、散りばめられている。
もし君がそれでも読み進めるというのなら、
探究心と好奇心、そして――ほんの少しの勇気を持って、この本を開いてほしい。
ようこそ、神秘へ。君も、愚者の仲間入りだ。
――世界から愛を込めて、神秘と冒険を
ルームー・ミレラム・フィネガス
「ムーじいちゃん! オレ、ぼうけんしゃになる!」
それが、僕の“はじまり”だった。
まだ小さかった頃。
孤児院の書庫の隅で、たまたま見つけた一冊の本。
埃をかぶったその古びた装丁に、なぜか心が惹かれた。
いつも面倒を見てくれているじいちゃんに読み聞かせをお願いした。
「昔むかし、世界はもっと広かったそうじゃ――」
あたたかくて、どこか懐かしい声。
けれどその夜だけは、いつもの声がまるで異世界の風のように、僕の胸を揺らした。
本に記されていたのは、神秘と冒険の数々。
世界を駆け、英雄と魔獣が覇を競い、人々が夢と希望と絶望を紡いでいた。
ページをめくるたびに、心が震えた。
この目で見たい、この手で触れたい、この足で歩きたい。
知らないはずの世界なのに、胸が熱くて仕方なかった。
気づけば、夢が芽吹いていた。
「ぼうけんしゃになって、たくさんぼうけんして、いろんなとこにいくんだ! それでそれで!」
我慢できずに叫んだ僕に、ムーじいちゃんは一瞬だけ目を見開いた。
その視線には、微かに驚きと――懐かしさのようなものが宿っていた気がする。
けれどすぐに、ふっと優しく笑って、こう言った。
「そうかそうか。ヴィルは冒険者になりたいか。ふぉっふぉっふぉ、それは良い、それは良い! じゃがな……」
一拍、声を落とす。
「ヴィルはまだ非力じゃ。孤児院の子供たちの中でも、お前は体が小さいからの。もっともっと強くならねばの」
その言葉が、僕の胸に、火を灯した。幼い僕の心に灯ったその火は、消えることなく燃え続けていた。
――そして今。
僕はまだ、ただの少年だ。
神秘には遠く、冒険の入り口にも立っていない。
だけどあの日、あの言葉がくれた夢だけは、今も、僕の中で熱を持って生きている。
これから語られるのは――
そんな少年が、世界と出会い、神秘に触れ、星の定めを宿した後に戦いに巻き込まれた末に、
やがて“英雄”と呼ばれることになるまでの物語だ。
まず服を脱ぎます。






