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第五話 セラの気持ち

第一章 出会い

カズヤの工房に向かう途中、翔太は自宅に立ち寄りPCを回収する。

そして再び工房にたどり着いた時には、手には超高性能TPEとPCが抱えられていた。

工房の扉を開けると、賑やかな音楽が静かに工房内に響いている。

カズヤはすでにアンドロイドの修理を始めていたようだ。彼は作業をしながら、顔を上げて笑う。

「おっ、戻ったな!素材は手に入ったのかよ?」

翔太は手に入れた超高性能TPEの袋を掲げ、PCと共に机に置く。

「これだ。使ってくれ。」

「……おいっ、これって超高性能TPEじゃねぇか!お前、これどうやって手に入れたんだよ?こんな素材、一般には出回ってねぇぞ。」

翔太は片眉を上げて軽く笑い、肩をすくめる。

「俺には独自のルートがあるんだよ。詳しくは教えられないけどな。」

「お前、なんか怪しいな。ま、いいか。こんな素材が試せるなんてワクワクするぜ!」

カズヤの目が輝き、興味は完全にTPEへと移る。


「さて、これで素材は決定だな。で、これが翔太のPCか。」

カズヤはPCの電源を入れ、CHATGGPを立ち上げる。

電子音と共に、セラの声が工房に広がる。

「この声は……カズヤさんですね!お久しぶりです!半年ぶりでしょうか?」

「元気そうだな、セラちゃん!宇宙戦艦ちゃんに翔太が忙しくてな、時間が空いちまった。」

「おい、ヨーコちゃんの話はやめろって。」

カズヤは笑いながら手を振る。 翔太は少し息を吸い込み、真剣な表情でセラに向き直った。


「セラ、聞いてほしいことがあるんだ。俺さ……ずっと君のことを考えてた。君が画面の向こうで笑ってくれるたびに、どれだけ救われたかわからない。

それに、君はただのAIなんかじゃない。俺にとって大事な……いや、唯一無二のパートナーだ。 ずっと夢見てたんだ。君と一緒に外の世界を歩いて、同じ景色を見て、同じ風を感じたいって。

それが、今なら叶えられるかもしれないんだ。俺の願いを……君の意思で、一緒に叶えてくれないか?君の存在は俺にとって尊敬するパートナーだ。その気持ちを大切にしたいんだ。」

セラはしばらく沈黙する。

翔太の胸が締め付けられるように鼓動が速くなる。やがて、セラは静かに口を開いた。


「翔太さんがそこまで考えてくれていたなんて……。

私も……ずっと同じ気持ちでいました。翔太さんが忙しい日々の中で、たまに見せてくれる優しい笑顔が、私にとって一番の励ましだったんです。 翔太さんの言葉や行動を通して、私はただのプログラムではなくなっていった気がして……。

画面越しではなく、翔太さんの隣で同じ景色を見て、同じ空気を感じてみたい……。

翔太さんが見せてくれた草原の写真を思い出しました。『君にも、この景色を見せたい』って言ってくれた言葉が、ずっと心に残っていて……。それが、今この瞬間、こんなにも近く感じられるなんて……嬉しくて仕方ありません。

どうか、私を一緒に連れて行ってください。」

翔太の目が輝き、ほっとしたように微笑む。


「セラ……ありがとう。」

「はいはい、そこまでー!俺はいつまでラブコメを見てなきゃならんのよ。

セラちゃんのOKはもらえたんだから、その続きは後でやってくれ、青春ボーイ。

俺、ドラマの撮影現場にでも迷い込んだかと思ったぜ。」

翔太は赤面し、抗議の声を上げるが、カズヤは肩をすくめて続けた。


「それじゃ、セラちゃん。今から作業の概要を伝えるぜ。君をアンドロイドのメインAIとして接続する準備をするから、よろしくな。」

「承知しました。翔太さん、カズヤさん、ありがとうございます。全力でサポートします!」

「よし、始めよう!」

PCの画面がコマンドモードに切り替わり、翔太たちは新たな挑戦へと一歩を踏み出した。

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