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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エラン王子とリーファ【完結】

《⭐︎》ショタ王子様は検討中


⭐︎さらっと読めるショートショートです。


⭐︎出来れば、『エラン王子とリーファ』シリーズ前作を先にお読みください。


 僕シルベスタが七歳、弟のアーシェリーが五歳の時に弟が産まれた。この国の第三王子の誕生だ。

 

 名はエラリアス。愛称エランは天才だった。言っている事を理解して受け答え、読み書き計算をあっという間に覚えた。

 何故か、父上と母上を「時代劇みたいではぢゅかちいでちゅ」とパパママ呼びしたが。


 エランが天才だと広まると、次期国王をエランに、と言う声も聞こえて来る。

 エランが三歳の時、父は、僕の不安が無くなるようにと、一時的にエランを僕とアーシェリーと一緒に勉強させた。


数学

「では計算問題をやってみましょう」

「できまちた!」


文学

「この詩の『薔薇』は、愛しい人を示しています」 

「人は植物じゃ無いでちゅ」


歴学

「無理でちゅ」

「テキストを見ただけで諦め無いでください!」


 天才って、オールマイティじゃ無いんだ……と、僕とアーシェリーは頷きあった。



 エランが四歳の時、婚約が決まった。いささか早いが、エランを次の国王にと担ぎ出され無いための対策だ。相手はランドール公爵家のリーファ。

 エランが男と結婚することにショックを受けていたと聞いて、むしろ何で今まで知らなかったんだと呆れたが、その後のガーデンパーティーでのリーファへの熱愛宣言とラブラブっぷりに、さすが父上は良い縁を結んだと感心した。




 そんなエランと一緒に、今日はランドール公爵家に遊びに来た。

 公爵夫人への挨拶を済ませた後、リーファたちにキッズルームに案内される。リーファの妹が誘拐されかけて以来、外での遊びは禁止になったそうだ。それでも逃げ出すので、僕とリーファの兄のオリバーは、見張りを兼ねてドアの近くでボードゲームだ。ドアと窓の外にも護衛が待機している。


 エランは、リーファよりリーファの双子の弟妹ともみくちゃになって遊んでいる。リーファはお母さんみたいに世話してる。ラブラブは…?

「あれでも城じゃあ天才と言われてるんだけど」

「天才だと思ってないからな……。花の名前暗唱とか、歴代国王の名前暗唱でエランが勝った事が無いから」

 そこは勝とうよ! ご先祖様が泣いちゃうよ! エラン!!



 そんな事を考えてる隙に部屋から抜け出そうとした双子を捕まえて両脇に抱えると、二人は大喜びだ。下ろそうとすると「もっと!」と騒ぐので、グルグル回してクッションの山に放り投げたら大受けした。

 公爵家の令息令嬢が、こんなに雑に扱われる事は無いんだろうな。

 それを見てエランがうらやましがるので、エランにもやってあげる。



「ちる兄たまがいてたのちいです!」

「ちる兄たまがたくさんいたらいいでちゅね」

「たくさんは無理でちゅ」

 ちびっ子三人が何か検討してる。遊び相手が欲しいのか…なら、知恵をあげよう。

「それなら、婚約者を増やせば?」

 エランの顔色が変わる。

「……ハーレム、でちゅか?」

 どこでそんな言葉を覚えるんだ! この国にハーレム制度は無いからリーファを睨むんじゃありません!

「そうじゃなくって、まだ婚約してない子がいるだろ?」

 ぱあああっとちびっ子たちの顔が輝くと、一斉に部屋を飛び出した。

「えっ? いや待って! もっとちゃんと検討を」

 護衛たちは、いきなり飛び出して来たやんごとなき三人の体に触れる事ができず

「お戻りください! エラリアス様、アレン様、カレン様」

と、周りを警戒しつつ並走している。

 慌てて追いかけるも遅く、廊下の向こうから公爵夫人が様子を見に来たところだった。



 婚約したいしたいと公爵夫人の周りでピヨピヨ大騒ぎし

「婚約は、遊び相手を探す為にするのではありません!」

と、叱られ、部屋を出た罰にお尻ぺんぺん(王妃許可済)された三人は、キッズルームに戻された。

 エランは落ち込んで、

「おちりぺんぺんなんて、子供みたいでちゅ」

と、大きな熊に抱きついて、リーファによしよしされてる。

 僕も、

「シルベスタ殿下。あなたの言葉で臣下が動くことを、よくお心にお留め置きくださいませ」

と、圧の有る笑顔で注意され

「肝に銘じます」

としか言えなかった……公爵夫人怖っ。

 部屋に戻る時、後ろで「今後は直接捕まえる事を許可します」と言うのが聞こえたが、それ、チビたちが喜ぶやつ…。



 そんなエランのご機嫌は、おやつのチョコレートケーキであっさり治った。

 リーファに口の周りのチョコレートを拭いてもらいながら、

「今度はあー兄たまもいっちょに来まちょう!」

とエランが言う。

「エラン。それは出来ないんだ」

 これはちゃんと教えておこう。

「王子が三人一緒に移動して、もし殺、ん、もし火事があったら、王子がいなくなってしまうだろう? だから、誰か一人は別にならないといけないんだ」

 理解したエランが、しょんぼりモードになる。


「だから、次は皆を城に招こう」

 パッとエランの表情が変わった。

「そしたら、アーシェリーも一緒に遊べるぞ」

「ちる兄たま、かちこいでちゅ! ちゅごい!」

 アレンとカレンも一緒に大喜びだ。



 天才と言われてるエランに「賢い」と言われたぞ。

 

人が多いので一覧表を


第一王子 シルベスタ 11歳

第二王子 アーシェリー 9歳

第三王子 エラリアス 4歳


ランドール家

長男 オリバー 9歳

次男 リーファ 7歳

三男アレン & 長女カレン 4歳

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