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刹那は貴方から始まる③

それから少しして大国との戦いになりました。その国は他の国よりも大きい国で軍事力にとても力を入れている強国。だから今回がきっと最大で最後の戦争になるともっぱらの噂であり、皆さんの関心を独占している話題です。なので私の様に箱入りな娘でも簡単に詳しい事も知れるのです。それによるといつもは同行しない者達、父や年配の方々以外の───文官であられるアルヴァーニ様も同行される、との旨を噂や父からも聞きました。


(どうか…どうかあの方をお守り下さい………)


彼は文官で前戦で戦う戦士ではないのに、その事実を聞いただけで血の気が引いて生きた心地がしませんでした。食事も喉を通らずにひたすらに願わずにはいられません。


(ただ生きていてくれたら……それで良い)




そして───


戦争が勝利で幕を閉じて、両国間に和平という形で平和が訪れ、アルヴァーニ様も無事のご帰還をなさったと聞けました。皇帝陛下が聖女様を正妃に迎えて、国中がお祝い一色です。


皇帝陛下──『アルヴァーニ様のお仕えする殿下がご結婚なされた』そう、その事実は少なからず私に期待をさせるものでした。なので国民の皆さんが喜んでいるのと違う喜びと安堵が私に混ざっていたのは吝かではありません。




でも、待てども待てども彼からの連絡は相変わらず一切来なくて本人以外の伝言やお話も全く何も無かったのです。


私とアルヴァーニ様が出会って婚約をしてから実に7年の年月が経っておりましたので、やはり私との事は無かった事になっているのだと───一人で泣きました。





















そしてそれからの私は予想通りに行かず後家の扱いになり、跡継ぎが婚姻した家にはとても居られるものではありませんでした。その場合は残りの人生を神殿での御奉仕に殉じようと決めておりましたので予定通りに行動するのみです。最後まで父が反対して下さったのが唯一の喜びでした。


私が少しの荷物と生家を出たのは風がとても気持ちの良い日です。皮肉にもあの方と出逢ったあの日の空とそっくりで────瞳を伏せたらその姿も声音も鮮明に浮かびました。



『宜しければ少し…二人でお話しませんか』


(ふふ、そう言ったあの人は人形みたいに淡々としていたのよね。でもそんなのとは裏腹に言ってる事もやってる事も優しかった………きっとそんなあの人の全てに恋をしてしまったのでしょうね)


長い、とても長い……夢の様な儚い恋。


(どれだけ放置されていてもアルヴァーニ様以外なんて考えられなかったし、絶対嫌だった)


私は今もあの刹那の中にいる。



(24/02/17)

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