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忘れられる男
吾郎は元から影の薄い男だった。しかし年を追う毎にその影の薄さは増していき、今では何をしても誰の記憶にも残らなくなった。
そうなると金でも物でも女でも思うがままだった。普通ならば犯罪になる様な行為も罪に問われることは無い。
しかし程なくして、それは彼が存在していない事と同じだと気付く。
※記憶と存在の関係って不思議ですよね。人が記憶できないものがあったらそれは存在してないも同じです。また、記憶を全く保つ事が出来なくなった人はアイデンティティも失ってしまうような気がします。




