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リンドルムの気持ちを聞けて胸の内の大きなモヤモヤもとりあえず解消された。
だが、あとひとつ聞きたいことがあった。
ベッドの中央に胡座をかいて座ると膝丈の夜着が太腿まで捲れ上がる。
それを気にすることもなくベッドボードに背中を預けて寛いでいるリンドルムに問いかける。
「なあ。私がお前を好きかどうかは聞かないのか?」
「聞いて欲しいのか?」
「いや、だって普通気になるものだろ」
「全力で俺を好きだと言ってくるようなレディを相手に?」
揶揄いを含んだ声色にカッと顔を赤くした。
「あ、あれは! あの時は親友として好きだって意味でっ」
「……ふっ、はははっ」
堪えきれないと言うように吹き出す。
「セリーナは鈍感だな。さすがに俺のことを好きでもない女性を無理矢理妻にはしない」
「え?」
目を点にしてその笑う顔を見つめた。
「いくらカーディルの記憶があっても、あいつは俺をあんな目では見ない。親友だからな」
「あんな目?」
「君が一番、自分とカーディルを混同しているんじゃないか? ただ記憶があるだけで君の心が消えるわけがない。君がカーディルになるわけではないだろう?」
「それ、は……そうだが」
私の腕を引くと足の間に座らせて、目を覗き込まれる。
「俺に抱きしめられてどう思った?」
間近に迫ったその瞳が熱を帯びて私を捉えると、じわぁっと顔が熱くなった。
くつくつと笑いそのまま腕の中に閉じ込められる。
悪戯に首筋を撫でる指と耳を擽る吐息に声が震えた。
「う、あ……」
「ほら、その顔」
「み、見るな……」
見るなと言っているのに、上気した頬に手を添えて上を向かされる。
「俺にキスされてどうだった?」
「〜〜〜〜〜っ!」
音を立てて唇に落とされた軽いキスに声にならない声をあげる。
「カーディルが俺にこんなことされて君と同じ反応すると思うか? 普通に考えて、『気持ち悪りぃことすんな!』って剣でボコボコに叩きのめされて終わりだろうな」
さもありなん。
カーディルならそうするだろう。
「カーディルは親友だ。
だが、君に親友になってもらっては困るな」
指先に私の髪を絡ませて、口付けを落とす。
何をしても様になるリンドルムに息の仕方も忘れて見惚れてしまう。