虐げられし姫は、おねだりをする
「あの、それと……祖国のこと以外に、もう一つお願いしてもいいですか?」
「ん?何かあるの?」
「はい。私の暮らしてる部屋はとても寒いので、暖が取れる物を何か、お願いできないでしょうか」
「寒い?君が今使っているのは、人質達が集められて共同で使っている宮殿でしょう?」
さすがに他国の王族が、集めた宮殿が、寒い環境とか寝耳に水の話だ。
本来ならあり得ない。
だか、彼女が嘘を付く理由もない。
(彼女は、寒さが苦手なのかな?)
「分かった。なら南側の宮殿一つを、君の住まいとしてあげるよ。あそこは日当たりもいいし」
「え?そんな、とんでもなございませんわ。今のお部屋で十分です」
リアは、虐げられて生きてきた。
当然、普通の姫の様に世話を、してくれる者などいない。
身の回りの事は全て自分でしてきた。
だから、使用人を使って掃除をさせるという考えはなかった。
そんな宮殿もらっても、1人で掃除や管理が大変だと思ってしまったのだ。
「そう?君がそう言うなら、まあ、住む宮は後でゆっくり決めよう…君のお願いは分かった。急いで冬用の着物でも仕立てさせるよ」
彼女が、ボロボロの着物を着ていたのは、着物を干した時に気が付いていた。
確かに、あんなボロくて、今にも破けそうな薄い着物では寒いのだろう。
「本当ですか?お手を煩わせて申し訳ありません」
「君は、僕の妻になるだから遠慮は要らないよ。着物位いくらでも用意させるよ」
「そんなに沢山は、厚手の上着一枚あれば十分です。お気遣いありがとうございます」
「じゃあ。早速、婚約の話を広めて、君の国の支援とか話を進めるけどいいかい?」
「はい陛下。トワ様に陛下を諦めて頂く為に、偽りの婚約者とし頑張ります。それでも、トワ様が諦め無い時は、ド派手な結婚式を上げて、トワ様に見せ付けてやりましょう!!」
「よろしく頼むよ」
こうして、私達は偽りの結婚する事になったのです。
◇◇◇
王宮ー政庁
ここは、この国の政治の中枢。
宰相の執務室。
「つ、妻を迎えるだと……!!」
驚きの声を上げたのは、宰相のガクサンと言う、老人の男だった。
彼は、人間ではない。
元々は、精霊だが人間の女性を愛し、精霊としての役目を疎かにして、神から老人に姿を変えられ、神の国、天界から追放されたのだった。
その後、人間の女性は、亡くなったが、彼女の親類と共に地上で暮らし、ある時、僕の前に現れた。、
そして、彼らに豊かな暮らを与える、代わり僕に使えると言う契約を交わした。
「うん」
「相手はどこの誰じゃ? あ!とうとう、トワとその気になったのか?」
そう話かけて来たのは、子供。
だが、彼もまた人間ではない。
この子供の正体は、霊力を持った狐、名前を、白尾。
この狐は、ここよりもずっと西の土地から来た。
昔、地上に住んでいた。五穀豊穣の神 稲荷は大の狐好きで、霊力のある狐ばかりを集めたて狐の里を造った。
その狐の里で生まれた、生まれながらの霊狐だ。
だか神は段々と地上に住めなくなり稲荷は、泣く泣く天界へと帰り。
天界に上れない狐だけが、地上の里に残された。
そんな神のいなくなった里から抜け出して、さ迷っていた所を、保護したのだ。
セトからすると、可愛そうな野良犬ならぬ野良狐を保護した感覚に近かった。
狐は、変化の術に長けていて、なんにもでも化けれるが、いつも人間の子供に化けていた。
本人曰く、子供に化けると、なにかと周囲に甘えられ、お得らしい。
「全然、違うから。相手はそのトワとよく喧嘩していた、リア王女だよ」
「なんと!!」
「なんじゃとー!!」
こうして、再び驚きの声が、上がった。