虐げられし姫は、偽りの妻になる事を決意する
コノヒト、今なんつったー!!
「つ、妻ですか?!」
確かにそう聞こえたが、聞き間違えもあるので確認をする。
「うん。僕の妻!ただし、偽りのだけど……」
「い、偽りのですか?!」
更にそう言われ驚く。
「詳しい話は、君が着物に着替えてからにしよう」
そしてリアは『あっ!!』気づいた。
話すのに夢中で、自分は布を身に付けただけで、話している事に……。
慌てて、布をで更に自分の体く隠す。
「もしや陛下が…その私の着物を…///」
「え?ああ、うん。でも極力見ない様にしたし//
濡れた着物のままでは、体が冷えて命の危険があったから仕方なくね。
人を、呼んでもよかったけど、そうすると、僕の庭に許しもなく侵入したのがばれて、君が大変な事になると思って。
でも、君はどうして池に落ちたんだい?」
(仕方がなかったとはいえ男の人に裸を見られるなんて一生の不覚//)
更には落ちた理由を聞かれて、実行前にお酒を飲んで酔っぱらっていた。
おぼつかない足取りだった上、押した勢い余って落ちてしまっとしか考えられない。
自爆だった。
その事を話せば、陛下に笑われてしまう。
着物が乾いたからと、私の着物を渡してくれたので、
陛下には、一度、部屋を出て行ってもらい乾いた着物を着た。
そして今いる寝室ではない別の部屋で、改めて話の続きをする。
「先程のお話、陛下は、その…トワ様と結婚される予定があるのでは??」
「その話デタラメだから…」
「え?そうなんですか?」
「うん。彼女とは、なんの関係も無い。元々、花嫁修業というか、行儀見習いう、まあ、そんな感じてで、女官として王宮入りしたんだけど、ある日、自分に奥向きや女達を取り仕切らせて欲しいって言って来たんだ。
最初は、断ったんだけど、宰相のガクサンに、彼女にやってもらえると助かるって頼まれて、結局やって貰う事になったんだ」
「それで、奥を取り仕切る彼女に絆されて恋人になったけど、結婚までは、したくた無いってことですね?」
「いや、絆されて無いし。本当に潔白なんだけど………彼女が、おかしな嘘を周囲に広めて、君みたいに勘違いする者が沢山いて困ってたんだ。
王宮を追い出そうとすれば自殺騒ぎを起こしたりして、追い出せなかったし。
そこで、誰か偽りの結婚相手を作り、自ら出て行く様に仕向けられないかと考えていたんだけど、彼女と張り合える適任者が見付からなくて…、でも君なら条件にぴったりだ」
(鬼畜陛下…!!)
リアは、そう思った。
事情は分かったが王族は、政略結婚が当たり前だ。
偽りの結婚話でも、リアはこの国になんの利益ももたらさない。
「あ、あの先程も言いましたが、私は、その陛下に相応しいとは思えません。
はっきり言って王女とは、名ばかりで、権力もなければ、財力も無い。
おまけに産みの母は、身分が低く血筋も微妙です。
その上、自分で言うのもアレですが、容姿は平凡、地味娘、身体は痩せこけて、そのつまり、、つ、つるぺたで、女としての魅力もないと言うか……とにかく、家臣の皆さんに反対されて、すぐに話が消えて終わるのが落ちだと思うのですが…」
リアは、自分の実態を凹みながらも話す。
「そんな事は何も気にしなくていいよ
それに僕の目には、君はとても可愛く見えるけど」
「えっ///」
一瞬『ドキッ』としたが、女好きの鬼畜陛下に、そう言われてもにわかには信じられない…。
侍女に変装していた時に、色々と陛下の事をみんなに聞いたが、王宮には陛下の子供も側室の様な女性も住んでいなかった。
(陛下の子供達のは、神殿に預けられているのはトワ様が原因なのかも?子供がいるなら母親もいるでしょうし。大切な女性と子供達をトワ様から守りたいんだわ)
と勝手に思い込んだ。
「君を助ける代わりに、君も僕を助けてくれると助かるよ」
生まれて18年、心引かれる殿方も現れず、枯れっ子のまま、独身で一生終るだろうと思っていた。
それなら、祖国の為、私に救いの手を差し伸べてくれた
陛下の為、喜んで偽りの妻になる決意をした。
「わかりましたわ。私の国の事お約束を守っていただけるのなら、このお話お受けいたします。
トワ様が陛下を諦めるまで、よろしくお願いします」
「ありがとう」
そして、2人は契約の証しに握手を交わした。