妖精の森(3)
その場で話は決まったので、キシルは春眠との契約を破棄して、新たにセトの精霊として契約を結んだ。
「君にも色々と準備があるだろうから、竜宮に来るのは準備が出来てからでいいよ。準備が出来たら僕の屋敷に来てくれ」
「……承知」
そうしてキシルは荷物を纏めて竜宮へと旅立つ事になった。
そんな兄をシノエはとても心配していた。
「兄さん。本当に竜宮に行くの?!」
「ああ。もう決まったことだ」
「それなら、私も行くわ!」
ー竜宮。
そこは海底に存在する異界。
天界ではまだまだ未開の場所で噂では人魚と呼ばれる魚達が住み。
肉や魚も食べて生きていると聞いている。
恐ろしい半魚の用な姿がシノエの頭には浮かんでいた。
その上、大海の神セト様は、凄く強い神通力を持っている。
兄さんは、無口で無愛で、誤解されて神の怒りを、買ったら…。
そんな心配が、どんどん悪い妄想となっていく。
こうしてはいられないわ!
私も兄さんの後を追いかけ無いと!
「失礼いたします。春眠様。お願いがあって参りました」
「どうしました?シノエ?」
「私にお暇をください」
「シノエ、一体どうしたと言うのです?」
「兄のキシルが心配で、私も竜宮に行きたいのです」
「なるほど、シノエ貴方は大変、兄思いでしたものね。分かりました。貴方はとの契約は破棄します。妖精となって、どこでも自由にお行きなさい。それから、これは竜宮に入る為の手形です。使いなさい」
「春眠様、ありがとうございます」
こうして竜宮へと旅立つのだった。
天界と竜宮を繋ぐ扉は、アマテル様の住まう屋敷の近くにある。
そうして、竜宮と天界を繋ぐ扉へやって来た。
扉へ来たら、手形が光、自動的に扉は開くのだった。
扉の中は暗くシノエは勇気を、出して扉を、潜るのだった。
そして、明るい光の先には美しい海と白い街並みが広がっていた。
「ここが竜宮?!」
その美しい景色にシノエは見とれてしまう。
「いけない、兄さんを、追いかけたないと!!」
扉は、小さな島の上にあり、建物が並ぶ場所からは離れていた。
小さな妖精に戻ってしまったシノエの旅は、大変だった。
妖精になると空を飛べるので、水路を使わなくても自在に行けるが、体が小さい。幅の狭い水路を一つ渡るのでも大変だった。
「セト様のお屋敷はどこにあるのかしら?」
ようやく街らしき場所まで飛んで来た。
そうして、初めて人魚の姿を見るのだった。
(あれが人魚ね。耳の形が変わっているだけで、神の姿や精霊と全然、変わらないわね…)
シノエは、最初は、人魚達に見付からない様に身を隠しながら飛んでいたが、セトの屋敷が見つけられず、とうとう、人魚達の前に姿を現すのだった。
人魚を見て優しそうな感じの人魚に声を掛ける。
「あ、あの、すみません。私、セト様のお屋敷を、探しているんですが……」
「え?きゃ!!びっくり!!こんな可愛い小人が話かけてくるなんて!」
「小人では無くて、私は妖精です。天界から来たんです、あのそれでセト様のお屋敷の場所を…」
だが、人魚達は全然シノエの話なんて聞いていなかった。
「妖精??!まあ凄いわ。初めてみたわ!!竜宮にようこそ!!」
「へ?あ、はい……」
その上、段々と人魚達が沢山集まって来る。
「妖精だって!!」
「可愛い」
「あ、あのすみません!!私、セト様の屋敷に行きたいんです!」
「ああ。ごめんなさいね。主様の屋敷なら竜宮の中央、あの高い壁に囲まれている場所にあるよ」
人魚の1人が、指を差して場所を、教えてくれる。
「ありがとうございます」
そうお礼を、言うと一目散に屋敷目指して飛び立った。
「ふぅ~。あんなに人魚に囲まれるとは思ってなかったわ」
屋敷の近くまで来てシノエは初めて気づいた!
「なっ!この屋敷、掘りで囲まれてる?!しかも塀が、凄く高いわ!!」
だが先程の騒ぎは、屋敷にも伝わっていてシノエはあっさりと人魚達のお陰で屋敷の中に入る事が出来た。




