【番外】虐げられし姫は、冥府で働く(4)*
おば様は、私が元気な姿を見せた事に驚いたが、何か話があるのか戸惑いながらも話す。
「リア様。その……」
「お久し振りですわ。私達が死んで、こうして冥府で合うなんて不思議な気分ですが……」
「ええ。それで息子と嫁が、リア様から赤子を無理や取り上げて、その上、リア様を……なんとお詫びしていいのやら……ですがリア様の赤子は無事に保護されましたので、それはご安心を…」
「本当ですか?!」
「ええ。ですから、どうか息子や嫁の事を、お許しください」
「おば様は、私の娘の事や、事情をどこでお知りに?」
「冥府の入り口で、偶然にも、エリサの父親と会いまして……」
エリサの父親は、先祖代々使えてくれている忠臣だ。
「謝られました。私の息子を…手に掛けた事を、それから、エリサ様が、リア様の赤子を拐って大国を、脅しに掛けた事をですが…
突然、大国の王が姿を、現して、戦況は追い詰められてしまい、民の命を、救う為に、自分が謀反をお越し王族の首を差し出したと…」
エンラの話では、逃げ回ったあげく家臣に殺されたと聞いた。
それが、エリサの父親とは、なんとも驚きである。
それにおば様も自分の死因を語ろうとはしないが人質だった。
無事で居られる筈もない。
祖国の裏切りや私のせいで陛下に処刑されたのだと思うと心が痛む。
何故こんな事になってしまったのかと……。
そんな思いを抱え、リアは、おば様の顔を再び見れば、顔は青ざめ微かに手は震えている様子に、リアはそっと優しくおばの手を握る。
「おば様。私は、おば様に感謝しかありませんわ。おば様が色々と手配してくださったから、無事に娘を生んで育てる事が出来たんですから……」
それに昨日、継母やエリサ達を思いっきり殴ってある意味スッキリしましたから!!とは、口が裂けても言えないけど……。
「もうすべて終わった事ですわ。おば様は転生の判決が出ているとお聞きしました。次に生まれ変わったら、今度は幸せになる様にお祈りしていますわ」
『祈る』それが今のリアに出来る精一杯の事だ。
おば様は、リアの手を、握り返し優しく微笑む。
「ありがとう。リア様」
こうして、リアはおばと別れた。
魂の転生は、冥府にある転生の門と呼ばれる場所が有り、その門を通った魂は転生するらしい。
転生の門が、どうなっているかは、リアには分からなかった。
(転生の門かぁ。気になるけど門をくぐったら、私も転生しちゃうらしいので、あそこ私は、立入禁止区域なのよね)
それから数日後、冥府では、冥府と地獄を繋ぐ門前の庭の改装が完成して、ちょっとしたお披露目の宴が行われた。
この庭は、冥府で1番大きな庭だが、墓場の様な造りで、地獄に逝く亡者達に更なる恐怖心を植え付ける為に造られた庭らしい。
改装された庭は、以前よりも恐さが増しており、リアは微妙な表情で庭を眺めた。
(ここは、少し苦手なのよね~)
冥府で働くリアも、この庭は何度か掃除をしたことがあった。
新たに改装された庭を見渡すと、何故か継母達が磔にされた姿があった。
「あ、あのこれは……一体……」
まるで処刑された様な哀れな姿を見れば、リアも正直、驚き近くにいたエンマに事情を聞く。
エンマは、愉快な様子で、リアの質問に答える。
「ああ、これか?こ奴やらは、地獄の最下層に落とせぬ故、余がこの庭の飾りにする事にしたのだ」
「か、飾りですか?!」
「余も、こ奴らのせいで色々と迷惑を被ったからな。それに、セトはこ奴らに非業の死を、与えて咎人にして自らの手で地獄に葬る事を望んでいたのだろう…。だがそれも叶わず冥府に来てしまった。セトの気持ちを、思えばこれくらいの事はしてやらねば…。
地獄の変わりに、冥府で暫く、このまま飾りとなって、もらう事にしたのよ。これで少しは、余も弟の気持ちも晴れよう」
「はぁ~」
(まあ、私も殴っちゃったし……余り陛下やエンマ様の事、言えないわ…)
「リア殿も、これで過去の事は吹っ切り、これから暫くは冥府で自由に暮らすがよい」
リアを、虐げた者達は、結局不幸になり冥府へやって来て制裁を受けている。
少しだけ、過去の苦労や悲しみが消えた気がした。
「はい。ありがとうございます。確かに私にも色々過去に恨みがありました。でも、恨んでいた者達は、皆こうして冥府で制裁を受けているんでもの。もう十分ですわ。これからは、過去に縛られる事なく前向きにやって行きますね。これかもバリバリ冥府で働くのでよろしくお願いいたします」
こうして過去を吹っ切ったリアなのだった。




