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神の娘 ~外伝~  作者: 藍


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虐げられし姫は、冥府に逝く(2)

リアは咄嗟に身構えた。


だが、その金棒のが振り下ろされ先は、リアではなかった。


リアを、捕らえた鬼達だった。


リアの耳に鬼達の悲鳴が届く。


「ギャー!!」「お許しをー!」



「あれほど、言った筈ですよ。異界の者と関わりがある人間の扱いには注意しなさいと」


「も、申し訳ございません…」


リアを捕らえて、ここまで連れて来た恐ろしい鬼達が、意図も簡単に金棒で吹き飛ばされ、叱責を受け、土下座して謝っているのだから、リアは唖然とするほかない。


エンラは、リア方に向き直し、部下達にリアの縄を解く様に命令する。


「大海の神 セト様のお知り会いとは知らず、部下達が失礼いたしました。私は冥府の副官でエンラと申します。貴方は?」


エンラは、リアに部下の非礼を詫びた。


「あ、私はリアと言います。あの陛下を知っていらっしゃるんですか?」


「はい。セト様は、私の父の弟、私はセト様の甥にあたります」


「陛下の、甥子様??あの陛下と余り似ていないでので気が付きませんで、こちらこそ失礼いたしました」


突然のセトの身内の出現にリアは驚た。


エンラと言う青年も、確かに美丈夫だがセトとは似ていない。


とても血の繋がりがある様には見えなかった。


エンラはそれに気が付いたかの様に説明する。


「私の父と叔父上は、人間ではありませんので、人間の様な血の繋がりで兄弟では無いのです、だから容姿が似ていないのは仕方ありません」


リアもセトが人で無い事は承知している。


その青年は容姿こそ、セトに似ていないが肩に留まっていた蝶々が光り、武器へと変わったのを見て、リアはセトを思いだす。

セトは、鷹を同じ様に武器へ変える能力があった。


同じ能力があるなら身内と言うのもデタラメとは思えなかった。


そして、これはお芝居でもなく、リアは、別の異界に来てしまった事をようやく悟った。


「ところで貴方は、叔父上とは、ただの知り合いでは無い様ですが……」


そう言うとエンラは、大きな鏡を『チラリ』と見たので、リアも気になり鏡の方に視線をやる。


するとそこには、リアとセトの過去の姿が写っていた。


ただ写し出されたていたならまだしも、2人で手を繋いで歩いたり、抱きしめあったりしている在りし日の姿だ。


エンラは、その映像を見ても顔色すら変えず冷静だが、他の大鬼達は顔をやや赤らめ興味津々に鏡を見ている。


リアに、とってはその映像は、自分で見ても間違いなく、恥ずかしく公開処刑に近い。


リアは、恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤になり、慌てて鏡の前に立ち体を張って映像が見えない様にした。


「きゃぁー!!/////見ないでくださいー!///一体どうして、こんな映像が写って!!//この鏡はなんなんですかー?!//」



「これは、死者の現世を行いを見る鏡です。落ち着いてください。鏡の映像は消しますので」



そうして映像が、写らなくなりリアは安心した。


落ち着いてからリアはエンラの方を見る。


セトの甥だと言う、この青年のなら話を聞いてくれるかも知れない。


リアを元の場所へと帰してくれるかも知れないと思ったからだ。


「あの、それで私、元の場所に帰りたいんですが…、そもそもどうして陛下のお身内がいる場所に来てしまったんでしょう??」


エンラは難しい顔する。



「詳しは話は後にして、貴方の怪我の手当てや着替えをしてからにしましょう」


「いえ。私なんてどうでも良いんです!!娘が拐われたんです!今すぐに、帰りたいんです」


「分かりました。お嬢さんの拐われた件は、こちらで、なんとかいたします。ですが貴方を、地上に元の場所に帰す事は出来ません!」


「ど、どうしてですか……?」


「これは部下達が、何度も言ったと思いますが、貴方は、すでに死者なのです。ここは冥府、死者の国なのです」


この青年からも同じ事を言われる。


「わ、私は、本当に死んのでしょうか??」


「はい。残念ですが…、」


リアは、それを受け入れられない。


だが誰に頼んでも、元の場所には帰してくれないし、娘を助けに行く事が出来ないのは理解した。


「私は、これから、どうすればいいのでしょか…………」


リアの目には涙が溢れてくる。



「取りあえず、怪我の手当てと着替えをしましょう。叔父上の大切な方を、いつまでも、その様な酷い姿まま放置しては、父が帰って来た時に私が叱られます。叔父上にも顔向け出来ません」


「はい…ありがとうございます…」


リアは、エンラの言う事に素直に従った。


◇◇◇◇◇


部下に命じて、リアの怪我の手当てをさせたり、着替えを用意させた。


その間に、エンラは父に宛てて手紙を書いていた。



エンラの父は、冥府を統治する神エンマ。


その父は、今、天界に行って不在だ。


天界では、叔父であるセトにおめでたい事があったからと突然、冥府に知らせが来て詳しい事情もわからず天界に呼ばれ出かけて行った。


そうして、父に代わり冥府の最高責任者として、エンラは留守を預かっている。


叔父のおめでたい事とは、あの女性との結婚や叔父に娘が、生まれた事なのだろうと想像がつく。


だが、その叔父の大切な女性は亡くなり、冥府へとやって来て。娘は拐われてしまったらしい。


そんな知らせを、天界に入れれば、その後は大変な騒ぎが起こると想像できた。


だか、こいつまでも隠し通せる訳も無い。


エンラは、冥府の責任者として冥府を留守にする訳にもいかず、

全てを手紙に書き、自分の肩に留まっていた蝶々に手紙を託し天界へと使わした。

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