虐げられし姫は、陛下と竜宮に行く(3)
セトは、その挨拶をして来た男に気軽に話かける。
「やあ。ジェノ、今、帰ったよ。それからハフサから、聞いていると思うけど、彼女が僕の大切な妻のリアだよ。くれぐれも、粗相の無いように、よろしく頼むよ」
「はい。ようこそ、お出でくださいました。奥様」
「お、奥様?!陛下、妻って…///そ、その私達まだ夫婦ではありませんし……//」
「ん?まあ、確かにそうだけとね。僕はそう思っているよ。なんか、そこで否定されると、とっても傷つくな~」
「あ//そんなつもりは、も、申し訳ありません。//////で、でも…//」
大切な妻、その言葉は、とても嬉しかったが、人前ではっきりとそう紹介されると、とても気恥ずかしくて、顔を真っ赤にして、否定的な事をつい言ってしまった。
だが、それで、陛下が傷つけてしまい。
リアはどうしていいかわからず、戸惑っていた。
そんなリアに助け船を出し、話を変えてくれたのはジェノだった。
「主様。奥様を困らせるのは、その辺で…。それにしても、天馬で屋敷までお越しになるとは珍しい。いつもでしたら、迎えの船を、出す様にご命令されるのに……」
「え?迎えの船??!」
リアはその話を聞き、ジェノに聞き返す。
「はい。竜宮は、ご覧の通り無数の川がありまして、その川を水路として利用しおります。ですので竜宮では、もっぱら小型の船が移動の手段なのです」
船で移動ができる事は、リアには初耳だった。
「陛下、今の話は本当ですの?」
「ん?まぁ、そうだね…」
セトは、気まずそうに答えた。
「前から思ってましたけど、陛下は、私を怖がらせたり、困っているのを見て楽しんでますよね?」
リアは、セトに疑いの目を向ける。
「いや、そんな事は…、ごめん、ごめん。つい船の手配を忘れてしまってね。帰りは船で帰ろうね。ところでリアは船は平気なの?」
さりげなく話題を変えればリアは、先程の不機嫌な様子は消え、船について真剣に考えている。
「どうでしょう。私、実は船にも乗った事が無くて…。でもきっと高い所よりは、平気だと思いますわ。だから帰りは絶対に船の手配を忘れ無いでくださいね!頼みますよ」
いつまでも、根に持たない、こんなさっぱりした性格も、セトは好きなのだ。
「わかってるって、忘れないよ。リアが、疲れてなければ、この屋敷の庭を、少し散歩してみない?僕が、案内するよ」
「本当ですか、陛下?」
「うん。まずは、そうだな、温室とかに行って見ようか?沢山の花が咲いて綺麗だし」
「わぁ~。楽しみです」
そうしてリアは陛下に肩を抱き寄せられ、共に庭に向かうのだった。
残された使用人達は、そんな2人を、ただ静かに見守っているのた。
この竜宮と言う世界は、大海の神であるセトがその力で造った異界だ。
そして、ここにいる者達は、セトの命令により完全に人に化けているが、使用人達は皆、元々は魚でありセトの薬で自我と人に化ける力を能えられ造られた人魚と言う種族だ。
いつもなら、耳を魚のヒレの様な形の半化け状態でなのだが、人であるリアを、竜宮に連れてくると話があり、主より、リアを驚かせ無い為に、全員が完全な人に化ける様に命令され今回は、完全な人に化けている。
主であるセトは、この竜宮と地上を繋ぐ扉を好きに開閉でき地上と竜宮を気まぐれに往き来している。
せっかく、竜宮に帰還されたのだから、ジェノは、主に判断を仰ぎたい仕事を用意していたが、2人の様子を見れば、仕事をお願いするのは無理だと判断した。
その昔、人魚は、人間達に不死の薬や涙が、真珠になる等といい加減なデマが広まり、狩られた悲劇な歴史がある。
だが、それを今でも恨む者はなく、主が、お招ねきした外界の、お客様。
まして我々の女主人となられる方、皆、とても興味津々でお話をしたかった。
だが、主は、奥様と2人っきりになりたい様子、ここで人魚達が、興味津々に、奥様に話掛ければ、主のご機嫌を損ねてしまうだろう。
ジェノは、2人の邪魔をしない様に屋敷で働く者、全員に通達を出すのだった。




