虐げられし姫は、陛下と竜宮に行く(2)
目を開くとそこは、王宮の中でなかった。
まるで、別な世界にでも来たかの様な、見たことも無い景色が広がる。
空は、雲が無く、波打つ様に動き、遠くには、白い建物の見え、不思議な光景だ。
「へ、陛下。あ、あのここは一体、どこなのですか?!」
2人は、確かに王宮の池にいた。
陛下に、抱き上げられて移動したと言っても、そんなに遠い距離を、移動した感じではない。
それなのに、見知らぬ場所にいる。
「ここは、海底の都市、竜宮。海の中いや、異界と言った方がわかり易いかな?まあとにかく、リア達、人間が暮らしている、地上とは違う世界だよ」
「異界?!あのそれは…」
いきなり異界や海底と言われても、リアにはすぐに理解はできない。
「うん。ここで立ち話もね。詳しい話は、竜宮の屋敷に行ってゆっくり話すよ。さぁ行こう」
そう言われ改めて陛下の方を、見れば、陛下の近くには黒い天馬がいた。
「陛下、まさか……」
リアは、天馬を見て、嫌な予感がする。
「ふふふ、残念だけど、そのまさかだよ」
リアは高い所が、とても苦手だ。
だから正直、天馬に乗るのは好きではない。
どうにか天馬に乗って移動しないですむ様にしたかった。
「あの、私は屋敷まで徒歩で!!そう歩きますわ。こう見えて体力には自信がありますし。場所を、教えていただければ歩いて参りますわ」
「ムリムリ。竜宮には川が、あちらこちらにあるけど橋は無いからね。それに、ここは小島だから船が無いと彼方へは渡れないよ」
周りをよく見れば、確かに、ここは小島のようだ。
「え??では、う~ん…」
本気で困って考え込んでいる、リアをセトはそっと後ろから抱きしめる。
「ほら。だからリア諦めて馬に乗って…」
「うぅっ~。わかりました」
リアは、観念して天馬に乗せてもらう事にした。
そして、天馬に乗ると、天馬が飛び立つ前に、陛下にお願いをする。
「陛下、絶対に高く飛んだり、私を放したりしないでくださいね……」
「うん、わかってる。大丈夫だよ」
こうして、天馬に乗って移動する。
実は竜宮に流れる川は、全て水路になっていて、小船で移動するのだが、高い所を怖がり怯えるリアが可愛くて、わざと迎えの船を手配せず天馬を連れて来た。
なぜそんな事をしたかといえば、好きな子ほど、いじめたいと言う実に子供じみた感情が押さえられないからだ。
もうすでにリアを困らせる事が、ある種の中毒になっているのだから仕方がない。
天馬は2人を乗せて舞い上がる。
竜宮の美しい街並が見えて来たので、セトはリアに声をかける。
「リア、ここには商店なんかもあるし、少し寄り道して行くかい?」
「い、いいえ!寄り道なんてしなくていいですから、と、とにかく急いで屋敷にお願いします!」
今のリアには寄り道をする余裕なんて、どこにもなかった。
ひたすらセトにしがみつき、ぎゅっと目を閉じて、落ちない様に身を縮め屋敷に着くのを待っていた。
そんなリアの願いは、ずくに叶って屋敷へと辿り着いた。
「リア、着いたよ」
「本当ですか?!」
「うん」
そうして天馬が再び地上へと降りて動きが、止まってようやくリアは目を開く。
「ああ~~本当にすぐに着いて良かったです~」
先に馬から降りた陛下に、手を貸して貰い、リアは馬を降りる。
そうして着いた場所には、王宮以上に立派な屋敷が建っていた。
その建物の入りには、大勢の使用人が整列して2人を待っていた。
「おかえりなさいませ。主様」
そして、そんな使用人達の代表として1人の男が、そう挨拶してきたのだった。




