虐げられし姫は、秘密がバレる
怪我をしたリアを、セトは急いで自分の宮殿に連れて帰った。
リアは、高い所が苦手で怯えていたが、これが一番、速く王宮に帰る手段だから仕方がない。
結局、天馬を降りた後もヨロヨロになった、リアを部屋まで抱き上げて運んだ。
そうして、明るい部屋でリアを改めてて見ると、最初に目に付いたのはリアの着物だった。
リアが、着ていた着物は、明らかに自分が贈った着物では無い。
しかし、確かに見覚えがある。
その着物は、下働きの侍女達が着ているお仕着せだった。
「リア、この着物は、下働きの侍女達が着ている、お仕着せだよね?何で君が着ているのかな?」
リアは、陛下に聞かれて自分の姿をようやく思い出した。
そう、リアは秘密がバレてしまったのだ。
「えっと………、これはですね……」
「これは?」
ニコニコ笑っているが、どこか怒っているのが、リアにもわかる。
リアは、仕方なく正直に全てを話した。
「ふ~ん。つまり、侍女に化けて色々探ったりしてたって事か、その上、侍女の姿をしていた時に運悪く、トワに見付かって拐われた訳ね……」
陛下は、怒っているというより、呆れた感じになっていた。
(実際、もう愛想尽かされかも…)
それにリアは元々この国の人質として来た。
その人間が王宮を探る様な真似をすれば、間者と間違いられても仕方ない。
下手をすればそれこそ処刑になる。
だがリアは、陛下にウソは付きたくなかったし、とっさに誤魔化せるほど、言い訳なんて思いつかなかった。
もし、こられで罪に問われて裁かれても、婚約破棄されても、黙って従うつもりだ。
だが、陛下から帰ってきたのは以外な答え。
「リアが、楽しいなら別に良いけど、今回の様な騒ぎは。余り起こさないでね」
「え??あの…良いんですか?私、色々とこの国の事、探ったりしてたんですよ?!」
「ん?別に良いよ。それに探ったって言ってもねー。殆どはデマだし。下働きの者達では、正確な情報なんて知らないからね」
「ウッ…。それは確かに…」
最初に聞いた、トワ様は、陛下の恋人はデタラメだったし、リアが、聞いた話なんて、確かにつまらない噂話ばかりだ。
反論の余地も無い。
「あの、本当に…?!」
「侍女に化けて気楽に王宮を歩くのは、いい気晴らしなんでしょ?それにリアがいやなら無理にお妃教育なんてやらなくても…」
リアは、いつもまっすぐで、いきいきと動いている姿が、よく似合っていると思う。
だが、それは本来の身分の高い者には、はしたない行為だ。
リアが、この宮殿に暮らす様になってからは、やはり、好き勝手に動け無い事も多いのだろう。
リアの負担を、少しでも減らしてあげたかった。
「いえ!それは続けたいです。あの前にも言いましたが、私、幼い頃から、祖国の王宮で働かされていたから、礼儀作法は、問題無いと思うんですが、他は恥ずかしい位、無知で何にも分からなくて…ここで学ばせてもらえるのが、とてもありがたかったんです」
どうやらそれは思い過ごしだったらしい。
「そう、でも無理はしなくていいからね。嫌だったら、いつでも辞めていいんだよ」
そう優しいく言われ、リアとても嬉しかった。
陛下は、こんな何もでき無くて、迷惑ばかり掛けているだけの自分でも優しく受け入れてくれる。
リアには、それがとても嬉しかった。
「はい。陛下、ありがとうございます。あの私、こう見えても、お裁縫や料理も得意なんですよ。今度、陛下の為にお着物を仕立てたり、お料理を作ったりしてもいいですか?」
リアは、嬉しそうに話す。
「うん。ありがとう、楽しみにしているよ。さて早く手当てしよ」
そうして、2人の間に再び穏やかな時間が流れた。




