虐げられし姫は、拉致される(1)
セトと両想いになって数日が立った。
リアは、新婚の様に、毎日、楽しい日々が続いた。
だが王宮内は例の神殿の事件で連日、騒がしかった。
お茶や食事の時に陛下に、それとなく訪ねても余り教えてもらえない。
そうなると、リアも余計に気になり、神殿の事件を知りたくなった。
リアは、昼過ぎに、再び少し休むと言って侍女達を部屋から遠ざけ、お仕着せを着て窓から抜け出し、王宮を歩く。
(陛下も神殿の事件の事で、少し忙しいから、この時間なら大丈夫)
再び使用人が集まる、休憩室へとやって来た。
「こんにちは」
リアは、お茶をしていた侍女達に声を掛けた。
その侍女はリアが、この王宮に来て、初め洗濯場で声を掛けてくれた人だ。
「リズ、あんたかい。久しぶりだね。元気してたかい?」
「はい。お久しぶりです」
「あんた垢抜けたね。綺麗になった。さては王宮でいい男でも見つけたのかい?」
「エッ?!そんな事は//」
その言葉に、リアは、『ドキッ』とする。
自分が『綺麗になった』なんて、言われる日が来るとは思ってなかった。
「まあ、世の中には悪い男もいるし気を付けるんだよ」
「はい。それより神殿の事件の話は、何か聞いてます?」
「神殿の事件かい、そうだね~。どうやら陛下の隠し子が、なにやら国境の街で、庶民から、金巻き上げ足り、旅人を誘拐したとの噂もあるね」
(陛下の隠し子……)
リアは、神殿の子供がセトの子供では無い事は知っている。
だが、ここでも、どうやらそんな噂が流れているらしい。
「後、噂の中には、王宮に出入り出来る身分の貴族や、なんとあのトワ様の父親が、関わっているって話もあってね。色々厄介な事になってるみたいだよ」
「………」
リアは思っても見ない展開に驚いた。
◇◇◇
トワの部屋。
ここ最近、全てがトワの思い通りになっていなかった。
リアは、花見の宴で転んでも、すぐに陛下が助けた為に、リアには陛下の寵愛があると周囲に知らしめられるだけだった。
また、地味な田舎娘のリアが、予想以上に美しく着飾って、出て来た為に周囲は注目していた。
トワは、リアに負けまいと、陛下に着物を納めている、商人に連絡して、リアよりも豪華な着物を買おうとしたが、法外な値段をふっかけられて、結局、着物を手に入れる事は出来なかった。
その上、国境の街の神殿の事件が起きた。
その神殿には、父親が関わっている事は、薄々分かっていた。
だが、トワには、庶民の生死や貧困等どうでも良く、ただ自分の家に火の粉が飛んで、罪に問われ、今の贅沢な暮らしを失う事を怖れていた。
(あの泥棒猫事だけでも、頭が痛いのに…)
気分転換に、外に散歩に出た時、トワは女の姿を見かけた。
それは、お仕着せを着たリアだ。
(あの女………リア?なぜこんな所を、使用人の格好で……そうだわ…)
トワは、側にいた者に命令をする。
「あそこの使用人を、私の名前は、出さずに誰にも知られ無い様に、私の元に連れて来てちょうだい…」
そう命令すると、トワは部屋に戻っていった。
リアは、突然、見知らぬ男女に声を掛けられて、無理やり知らない宮殿の部屋へと連れて行かれた。
(どうしょう~。困った事になったわ。侍女を部屋から遠ざけているとはいえ、陛下が宮殿に戻る前には、私を呼びに来るでしょし…。私が居なくなってたら大変な騒ぎに……そして、陛下が、帰って来てしまったら……)
部屋の中では、侍女が、部屋の外では、兵士らしき男が、見張って立っていた。
すると、別の侍女が香炉を持って入って来た。
その甘い香りは、神殿で嗅いだ物と同じだ。
「あっ!!……………」
そうして、リアは意識が、朦朧となりとうとう意識を失ってしまった。
話のストックが、無くなりました。
ここからは、不定期更新になります。毎日楽しみに読んでくださった方には、本当に申し訳ありません。
これからも、神の娘~外伝をよろしくお願いいたします。




