虐げられし姫は、陛下と喧嘩する
「なんの話って、とぼけないでください!!王宮では、トワ様が居るから、仕方なく神殿に子供を、預けているんですよね?!」
リアは、責める様に言った。
「…いや、本当に子供なんていないし…」
「まだ、そんな事を言うんですか?!私、この国の国境の街やその近くの街で見て知っているんですから!
子供達は、健気に少しでも陛下の約に立とうと街に出て布教の活動を頑張っていましたよ。母親の様な人は近くには見当たりませんでしたし、親子、引き離して別々に暮らさせてるですよね?
陛下は、男としても父親としても、あんまりにも酷い過ぎです。最低です」
リアは、自分の境遇と子供の境遇を重ね合わせてしまい、少し感情的になっていた。
リアの父親は、母親と2人で、貧し暮らしをしていても母親が、病に倒れても救ってはくれなかった。
その後も引き取られ、一緒に暮らす様になってからも、継母から酷い仕打ちを受けてても、優しい言葉もなければ、助けてくれる事はなかった。
リアの心はキズはまだ癒えていないのかも知れない。
「やれやれ、今のリアには、何を言っても無駄だね。君の足も明日には治るし、その子供の所に明日一緒に行こう」
「なんで私まで、子供に会いたいなら1人で行ってください」
「違うよ。子供の事は、絶対、リアの勘違いだから……子供を見たのは、リアなんだし僕にその子供を教えくれる」
「……わかりました。明日には、絶対、真実があきらかなりますから!覚悟しておいてくださいね!」
(覚悟って言われても、僕には本当に身に覚えが無いんだけどね…)
「はい、はい…。じゃあ、今日は部屋で大人しくしててね。今、世話をする侍女を呼ぶから、明日の朝には王宮を出るから、支度して庭に来てね。よろしく頼むよ」
セトはそう言ってリアの部屋を出て行った。
部屋で、1人になってリアは、何故こんな事になってしまったのかと考える。
そもそも、宴で、トワに着物の裾を踏まれて、足を捻りケガを、したのが、全てのはじまりだ。
宴の場所で、転んで恥じをかいた、私を助けてくれたり、部屋まで運んでくれた。
そこまでは、とても感謝している。
だけど、ケガは明日には治るとか、薬のお礼を望まれ、無理矢理、唇を奪われそうになった。
(全部、陛下が悪い!!///)
その上、自分は、混乱のどさくさで、陛下におもいっきり告白してしまった……。
だが、その後の子供の話や母親の話で、全てが吹き飛んでしまった。
(取りあえず、陛下もなにも答えてくれなかったし、聞こえてなかったのよね?//)
明日、一緒に出掛けるが、喧嘩してしまった事もあり、どんな顔していいか、わからない。
(はぁー困ったわ。どうせ、足が明日、治るはずないし、それを理由に部屋に引きこもろうかしら…)
その夜も、足を理由に、自分の部屋で食事すませた。
結局リアは、部屋を出る事なく1日を過ごした。
◇◇◇◇
翌朝
リアは、朝、起きると足の痛みが引いていた。
巻いてもらった包帯を、自分で取ると足の腫れはなく。
足首を、前後に動かしても痛みもなく、完全に治っていた。
(本当に、1日で治ってる!!)
その為、仕方なくセトとの待ち合わせの場所に向かう。
セトは、すでに庭に来ていて、その横には黒い馬がいる。
「おはよう。リア足の方は大丈夫かい?」
いつもと、変わらない陛下の様子に、リアは『ホッ』とする。
「おはようございます。足は本当に良くなりました。ありがとうございました、あ?!髪の色が…」
セトの髪の色は、いつもの青ではなく、黒かった。
「青い髪では目立つからね。ちょっとした細工で髪の色を、変えたんだ」
その細工がどんな物かはわからないが、リアの目には、黒い髪の陛下もかっこ良く見える。
「リアの足も良くなってよかった。じゃ、出掛けようか」
そう言うと、リアを抱き抱える。
「な、なにを?!」
「街までは、この馬に乗って行くからね」
そう言うと、リアを馬に乗せた後、自分も乗る。
そして馬にはコウモリの様な黒い翼が突然生え、2人を乗せ空へと舞い上がった。




