表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の娘 ~外伝~  作者: 藍
16/59

虐げられし姫は、再び変装をする

陛下の宮殿に引っ越して1ヶ月。


初日とは違い、リアは陛下の婚約者として、お妃教育とやらを受ける事になり色々と忙しい日々を送っていた。


また空いた時間は、裁縫に費やした。


そして、破かれたお仕着せを着られる状態に戻した。


「ちょっと、休みますから、誰も寝室には誰も入らないでください」

と侍女達に言い、完成したお仕着せに着替え、部屋の大きな窓から脱走した。

安全な場所まで来ると、背伸びをする。


「ん~~!!久しぶりのこの解放感!!」


(陛下は、朝から夕方まで、政務でお留守だし、侍女達には休むと言って遠ざければ、昼間ちょっとくらい外出しても多分ばれない)


「さあ、私の憩いの場に突撃よ!」


憩いの場、そこは使用人専用の休憩室、そして、そこで顔見知りになった女性達に一緒にどうかと誘われので、よろこんで誘いに応じる。


女達が集まれば、お茶とお菓子を手に、色々な話が飛び交う。


「そう言えば、陛下がお妃をもらうって話を聞いたかい?あたしら、身分の低いもんには関係無いけど、わがままで、高慢な王女様らしいよ。ズバリ悪女ってヤツだね」


リアは、お茶を吹き出しそうになる。


自分の話題が出たからだ。


(その、わがままで高慢な悪女は、ここで、みなさんとお茶してるんですが…)と心の中で思った。


「それで、その王女様、異例にも陛下と同じ宮殿に部屋を与えられて住んでいるらしくて、一応、お妃候補と言われていたトワ様は、この頃ご機嫌が、すこぶる悪いって話」



「その上、トワ様の右腕と言われる側近の侍女が、捕まって牢屋行きになったて話だから、トワ様の時代も、いよいよ終わりだね」


その話はリアも知らなかった。


「牢屋?なんで??」


「なんでも陛下と結婚される、王女様は人質として王宮入りして人質の宮殿に、最初は住んでたんだ。で、その宮殿で働く侍女達を使ってトワ様が、王女様に色々嫌がらせを、させてたらしいんだよ。

それが陛下にばれちまって、『自分は知らなかった、側近の侍女が、勝手にやったって』言い張って、罪を擦り付けた訳さ。罪を擦り付けられたら侍女は人質付きの、侍女共々それで牢屋行き。要はトカゲのしっぽ切りだね」


「まあ、トワ様も、結構わがままで、ずる賢い方だし、その妃に迎える王女といい、陛下の女の趣味は最悪だね」


仕舞いには、陛下に飛び火してしまう。


(トワ様は、陛下に一方的な片思いをしているだけ、私は偽りの婚約者、どちらの女も陛下の本命では無い。それなのに陛下は、女の趣味が悪いって言われて気の毒に……)


休憩の時間も終わり、みんな仕事へ戻って行く。


リアも、いつまで宮殿を放れていて、ばれたら困るので部屋戻る事にした。


リアが宮殿を抜けた事は、ばれてなかった。


「ふぅー。楽しいかった」


部屋に戻り噂の話を思い返す。


(それにしても、予想以上にトワ様は、追い詰められていますね。

右腕と言われた側近を失い。最近では、お取り巻きの数も減ったとか。陛下とのことを諦めて、この王宮を去るのも時間の問題かも知れない…)


本来なら、喜ぶべき事なのに、なぜか、段々気分が沈む。


トワが去れば、自分もお役御免、婚約は解消。


陛下の宮殿にも当然、住めなくなる。


また、あの人質の宮殿に戻され1人ぼっちになる。


そして、陛下は外に囲ってた女性や神殿にやった、子供達をここへ呼ぶのだろう。


自分は、他の女性と楽しく過ごす陛下の姿を遠くに見ながら過ごさなくてならない。



最初は、嫌々だったお妃教育も自分の知らない事を学ぶ楽しさを知り、楽しみになっていた。


陛下と、毎日、食事を一緒にとり、時間があればお茶や散歩なども一緒に楽しんだ。誰と一緒にいる楽しさも知った。


それら、全てが終わるのだ。


考えれば考える程、どんどん落ち込むのだった。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ