虐げられし姫は、子供の様に泣く*
陛下の部屋に着くと薬を取ってくるから、『ここで座ってて』と言われ椅子に下ろしてもらった。
椅子に座って、陛下が戻って来るのを大人しく待つ。
陛下がくれた薬は、酷く苦かったが我慢して飲んだ。
その後、運ばれて来た、温かなお粥を食べて、寝床を用意させたから、そこで休む様に言われ素直に横になった。
「色々迷惑をかけて申し訳ありません……」
そう言って、眠りについた。
◇◇◇
数時間しか眠って無いが、熱はすっかり下がり体調はずっとよくなっていた。
起き上がると、額に当てられたいた冷たい手縫いが、ずれ落ちてきた。
そして、隣には陛下が座っていた。
手縫いが、濡れていて、冷たかったので、ずっと、看病していてくれたのかも知れない。
再び、リアは恐縮してしまう。
「あ、あのお手を煩わせてばかりで、本当に申し訳ありません」
「これ位どうってことないよ。薬が効いて、ずいぶんと顔色が良くなったみたいだね。それで、君の部屋の話だけど、君、トワに、いや、あの宮殿の侍女達から、嫌がらせをされているね?」
そう言われ、リアは、素直に認める。
「ええまぁ。でも大丈夫です。そもそもはトワ様に喧嘩を売った、私の自業自得ですし、こんなの嫌がらせ、継母に暴力を振るわれていたり、怒鳴られていた生活に比べれば、お上品でかわいい物ですよ…」
そう強がりを言いい、笑って見せる。
「無理しなくていい。僕の前では、強がらなくて大丈夫」
そう優しく言われ、なぜか涙がでる。
どんなに虐げられ、酷い仕打ちを受け取けても、気が強いリアは、こんな事で泣くものか、負けるものかと自分に言い聞かせて耐えてきた。
泣いた事なんてなかった。
いつだって平気なフリをしてきた。
だけど、こんな風に優しくされると、どうしていいかわからない。
悲しい訳でもないのに、涙がどんどん溢れてきて、とうとう子供の様に泣いてしまった。
「ここには、僕しかいないから、気の済むまで泣くといいよ」
そう言ってセトは、リアを優しく抱きしめ頭を撫でた。
少し時間が立ち、リアは段々と涙も枯れ、落ち着いてくると我に帰る。
今、自分は男の人に抱きしめられている。
その上、取り乱し子供の様に泣いてしまった。
そう意識すればするほど、恥ずかしさで胸が一杯になる。
(//あわわ///)
そして、どうにか恥ずかしさを堪えセトに話かける。
「あ、あの陛下も、もう、本当に大丈夫ですから、その、そろそろ放しください///」
そう言われ、抱き締めていた腕を緩めてリアの様子を、見ると、リアの顔は真っ赤になっている。
彼女を見て思う。
最初は、トワと喧嘩ができる我が儘で高慢で目立ちたがりな女だと思った。
池に落ちたのを助けたのも、その後、凍える彼女を介抱したのも、自分の宮殿に、穢れを出したくなかったからだ。
だけど、リアと話て、わかったのは、本当の彼女はおてんばだけど、とても優しく、思いやりのある人という事だ。
そして彼女が、困っていれば放って置けず助けてしまい。
また泣いていれば、こうして抱きしめて慰めたくなる。
なぜか気になりだして仕方がない。
(その上、困った事に、僕は彼女のこんな戸惑った顔を見れば余計に困らせたくなる衝動に駆られてしまう)
「落ち着いたみたいだね。よかった」
そう言って、彼女のまだ涙で濡れている頬を、拭う様に口づけてから、彼女を解放する。
突然の口付けに、驚き、リアは口づけさられた、頬に手を当て、セトをの顔を見上げる。
「//////な、な、な、なにを、!!」
「どうしたの?別に問題無いでしょ。僕達、夫婦になるんだし~」
しれっと、からかう様に言えば、
「//そんな……私達のは偽りですし……////」
そうして再び、リアは更に顔を真っ赤にするのだった。