虐げられし姫は、風邪を引く(2)
扉を開けて誰かが入って来た。
昨日、部屋の掃除に夢中になっていて、鍵をまた掛け忘れたようだ。
再び、自分の迂闊さを恨む。
自分を訪ねてくる人に心当たりもないし、最初は泥棒かと思ったが、ここは一応王宮。
この国で一番警備の厳しい場所、例え王宮の片隅の見向きもされない人質達の住まいでも、泥棒が押し入る訳は無い。
(考えるられるとしたら、刺客とか!!トワ様が、陛下との結婚話を聞いて殺しに来た?!)
自分の身は自分で守るしかないとリアは思った。
部屋の掃除の為に用意した、ホウキを手に、人の気配がする部屋に迎う。
(こういう時は、相手を制する気合いが大事!!気合いよー!!)
と言い聞かせ、先手必勝とばかりに、大きな叫び声をあげ、勢い良く扉を開けてた。
「侵入者め!!覚悟しなさいーー!!」
そう言ってホウキを振り回したが、あっさりと避けられた。
そして侵入者の方から話かけてきた。
「ちょ!、落ち着いて、リア!!僕だよ」
夢中でホウキを振り回してた、リアはその声を聞いて、我に帰る。
「へ、陛下!!どうしてここに?!」
その聞き覚えのある声に驚く。
「君に渡したい物があるから呼びに来たんだ。鍵も開いてたし、君がいると思って勝手に入ったけど、なんか驚かせて、ごめんね」
「はぁ~ そうでしたか~~」
緊張していた分、安心感で体の力が抜け、その場に座りこむ。
「それにしても君は本当に、おてんばだね」
そう言ってクスっと笑われる。
「///そ、そんな事は//」
リアは、慌ててホウキを、手放し否定する。
そして恥ずかしくなる。
(どうして、陛下にはこんなに恥ずかしい姿ばかりに見られてしまうのだろう。
偽りとはいえ、一応は婚約者になるのに…、
陛下の回りにいる女性達の様に、美しくちゃんとした姿を見せたい。あ、いや無理か…私、地味だし…着飾ってもね…)
「ところで、この部屋は、寒いし、ひどく散らかっているけど、何があったの?」
「あっ!!これはその…えっと…//」
昨日は寒気がして、この部屋のを片付けは、今日やるつもりでいた。
だが、朝から熱があり、体調が悪く部屋は、散らかったままになっていた。
散らかった部屋を、見られてしまって更に恥ずかしさが込み上げてくる。
だがセトは更に遠慮もせずいきなりリアの額に手を当てる。
「ちょっとごめん。かなり顔色が悪いから、どうやら昨日、池に落ちせいで風邪を引いたみたいだね」
そう言ってから、リアをいきなり抱き上げる。
「///な、なにを!」
急に抱き上げてられて、リアはびっくりして暴れる。
「暴れないで、体調の悪い君を1人こんな所に置いて置けないし。ここは寒いから取りあえず僕の部屋に行こう。薬もあるから、それを飲めば、風邪もすぐに治るよ」
確かに体調は、すこぶる悪い。
抱き上げられて移動するのは、恥ずかしいが、熱がある体で陛下の宮殿まで歩くのはつらい。
陛下の申しでを、ありがたく受ける事にした。
その上、突然お腹も『グー』となってしまたので、余計、恥ずかしくなった。
(////こんな時に//)
「クスッ。温かくて、消化に良い食事も用意させるよ」
「あ、ありがとうございます//」
こうしてリアは、陛下の部屋へと連れていかれた。
途中で、色々な人に見られたが、陛下は待ったく気にも止めてなかったし、私は陛下と結婚するんだし、この事がトワの耳に入れば、陛下を諦める、きっかけになるかも知れない。
(これは周囲に親密さを見せる為のお芝居…)と自分にいい聞かせて恥ずかしさに耐えた。