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神の娘 ~外伝~  作者: 藍
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虐げられし姫は、結婚を反対される

「その話、まことか?……相手は人間だぞ。その上、言いたくはないが、余り良い娘とは思えぬ。我は反対だ」


ガクサンの反対は予想していた。

トワは、ガクサンの死んだ妻の弟の孫娘で、容姿が、その死んだ妻によく似ているらしく、トワを娘か孫の様に、とても可愛いがっていた。


トワが何をしても、追い出そうとした時も、ガクサンは彼女を庇い続けた。


そのトワに無礼を働いていた、リアを心よく思うはずもない。


ただ、セトはリアよりトワの方がたちが悪いと思っている。


「セト、お前、悪趣味な奴じゃな…。ユジン、お前からもなにか言ってやれ」


そう、言われ、黙って控えていた男に話かけた。


セトに負けず劣らず美しい顔立ち、銀の髪と薄紫の瞳が印象的な青年だった。


彼は、冥府の死神、冥府はセトの兄神が治める異世界。


彼は兄神の部下だったが、兄神と喧嘩して冥府を出た。

だが、冥府生まれの神の為、人間には嫌われ、帰る場所も無くし困っていたので、王宮に住む場所を提供した。


その宮殿は、王宮の北にあり、ユジンの趣味なのか、冥府の趣向なのかわからないが、薄暗く、墓場のような庭が作られていて、

王宮ではもっぱらお化け屋敷、扱いされていた。


ただし屋敷の印象とは違い、ユジンは、とても繊細で穏やかな性格の神だ。


そして戦闘能力は、すこぶる高く、今はこの国で将軍として働いてくれている。


この国は人外の者達によって治められ、神が王として君臨する国だったのだ。


「え?あ、はい、白尾様。陛下、この度はご結婚おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます」


「ユジン、なんでそうなるんじゃ…?!」


「?? 陛下のご意志ですし、なにが問題があるんですか?」


ユジンは、自分と同じ神族だ。だから価値観は近い。


神は自分の意思が全て、他者の意見は聞かない。


ガクサンや白尾の意見は無視された。


「ガクサン、白尾、僕は、君達に許可を求めたつもりは、一切、無いよ。ただ、妻娶る事にしたから話しただけ。あと僕の妻として周囲の者達もリアには、敬意を持って接するように命令して置いてね。話はそれだけだよ」


2人は、全然、納得いってないがこれ以上は逆らえなかった。


こうして、話は一方的に終わってしまった。


「ガクサン商人を呼んでくれ。白尾は席を外してくれ。ユジンは、仕事を頼みたいから残って」


「はい。おまかせください」


「「勝手にせい」」


そう言って2人は出て行った。


◇◇◇

ユジンにリアの国の事を頼んだ。


ユジンならば、政治もできるし、腕も立つから万が一反乱が起きても、軍事面の対応できるからだ。


ユジンと色々な段取りを話してから別の部屋へと迎う。


「やぁ、ハフサ待たせたね」


(あるじ)、お久しぶりでございます」


黒い髪に黒い目、やや浅黒い肌の若い男が、セトを待っていた。


ハフサと呼ばれる、この男は人間である。


ただし少し普通ではなかった。


彼は、天界を支配し神々の頂点に立つ神が造った。


今では数少ない原初の人間の1人であり、不老不死の人間だ。


まだ地上が、穢れに満ちる前から、大海の神 セトに最も近くで使えていたので、不老不死を取り上げられる事はなく、神と同じ永遠の時を生きれている。


大海の神、セト、他の神々からは、そう呼ばれている。


その名前が、示す通り彼は海の神である。


そして彼の支配する海の中には、竜宮と呼ばれる海底の都が存在する。


ハフサは、その竜宮と地上、そして天界の異界を自由に行きする事を許された、特別な人間なのだ。


地上では、セトは陛下と呼んばれているが、神に使える者達は、使えている神の事を『(あるじ)』呼んでいた。


ハフサは、地上では王宮御用達の商人に扮して、セトのいる王宮に出入りしていた。


「早速で悪いんだけど、女性用の着物とその他、色々な身の回りに必要な物を明日までに用意してくれ」


「明日ー?!しかも女性のでございますか?!」


長い間、主にお仕えしているが、今まで、女性用の物を用意した事など一度もなかったので驚くのだった。




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