虐げられし姫は、人質に差し出される
その小国は、王の母親である前王妃、そして前王妃の
一族が贅沢の限りを尽くし、そこに住まう民は重税に苦しんでいた。
そこへ、追い討ちを掛けるように、隣国の大国から圧力もあり、貢ぎ物や人質を差し出す事になり、ますます民の生活は苦しくなっていく。
そして人質として、隣国に行く事になったのは、この国の前王の娘、王女のリアだった。
この姫は、母親の身分が低く、リアを産んだ後も、側室として王宮に住まう事も許されず、嫉妬した王妃に王宮を追い出され親子2人、庶民として貧しい暮らしを強いられた。
そんな母が、7歳の時に病気で亡くなり、父王に引き取られが、
父王は、病弱で気が弱く、リアが、どんなに酷い仕打ちを、受けていても助けてはくれなかった。そして、父王が、世を去ると待遇は益々酷くなり、姫とは名ばかりで、実際には使用人、いや使用人以下の扱いを受ける生活になっていた。
働けど、使用人達の様に賃金も貰えず、この城を、出て行くこと出来ず。ただ辛い毎日を、過ごしていた。
「私が人質?!」
そう告げたのは前王妃。
リアの継母だった。
「そうよ。大国との和平の証に王族の中から人質を、差し出す事になったのよ。役立たずなお前が、ようやく役に立っんだから、よかったこと、無論、断る事は許しませんよ。明日には、この国を、出ていって頂戴」
それは、突然の出来事だった。
突然、呼び出される事は、よく有ること、普段なら憂さ晴らしに、怒鳴りつけたり、酷い時は躾と称して、暴力を振るわれる事もある。
でも、今日は違った。
ただそれだけ、何一つ良いことは無い。
そうして、私は生まれて初めて国を出る事になった。
その大国は、大変、豊かで神が築いた楽園とさえ言われ、今までその地を狙い、いくつもの国が戦を仕掛けるも、1度として戦に負けた事は無く、逆に侵略して来た国を、次々に滅ぼしたと言う。
つまり、逆らう国は、容赦なく攻めて滅ぼされているのだ。
朝から晩まで、休み無く働いて、夜中に泥の様に眠る、それが私の日常。
今夜は、明日の事を考えると眠れない
だけど、これは神がくれた好機かも知れないと思う。
私が、その大国の王様に無礼の一つも働けば、外交上、大変な問題になり上手く行けば継母も異母弟も権力の座から追われるか、上手く行けば一緒に死刑になるだろ。
もし、逆らって挙兵しても、この小国では簡単に滅ばされてしまうはず。
その上、大国に征服された国の民は、豊かに暮らしているともきく。
そうすれば、この国はきっと救われる。
どうせ、この先、生きていても、ただ辛いだけで終わるなら、この命を使い祖国の皆を助けてあげたい。
こうして私は、隣国に人質として旅立つのだった。
こちらは神の娘の外伝になっています。
話の内容としては、神の娘を読んでいなくても、楽しめる様に、書いていきたいと思ってますが、神の娘も合わせて読んでいただけたら嬉しです。
この話は、神の娘の主人公、セリの両親の話で神の娘の話を考えている過程で生まれた作品です。
どうぞよろしくお願いいたします。