水族館
二人 「はい、どうも~」
ツッコミ「最近、こんな情勢で休みの日も増えたけど、そんな時ってお前どう過ごしてんの?」
ボケ 「そうだなぁ、暇さえあれば水族館のライブ映像見てる」
ツッコミ「うわ、意外だな……。んで、お気に入りの魚は?」
ボケ 「チンアナゴかな」
ツッコミ「あー、あの砂からにょろにょろって出てくる細長い魚ね!確かに可愛いよな」
ボケ 「それでは問題です!みなさん、チンアナゴの名前の由来知ってますか!?」
ツッコミ「突然グイグイきた……」
ボケ 「正解は『チンという種類の犬に顔が似ている』から、でしたー」
ツッコミ「へぇ~っ、そうなんだ?」
ボケ 「でも、チンって犬の顔すぐ思い出せます?」
ツッコミ「いや、確かにへぇ~って言っておいてあれだけど、正直ピンと来ない」
ボケ 「ですよねー。魚のフォルムからして、アッチのチンのほうがしっくり来ますよねー」
ニヤケ顔のボケに手でバツを作ってツッコミが牽制する。
ツッコミ「アッチのチンとか言っちゃダメ!!」
ボケ 「そんで、水族館の映像見てたら、俺も水族館で働いてみたいなーって思って」
ツッコミ「あ、そうなの?試しに練習してみる?」
ボケ 「えっ、本当?じゃぁ俺が漫才師に見切りをつけて水族館の職員になったっていう設定でよろしく」
ツッコミ「リアルな設定やめろよ……」
ボケ 「はあーい、どうも~、飼育員で―す!おやおや!今日もお客さんで満員ですね!こちらから、ペンギンさん、ペンギンさん、ひとつ飛ばしてペンギンさん」
ツッコミ「漫才師が抜けてない!!」
ボケ 「えっ?」
ツッコミ「その流れ完全に漫才師でしょ!?『べっぴんさん』ってやつ!しかもひとつ飛ばされたの誰だよ」
ボケ 「先輩飼育員の橘さん」
ツッコミ「もっと誰だよ!そしてなんでペンギンと先輩相手にショーしてるの?普通生き物のショーを人間のお客さんに見せるんでしょ?イルカショーとか」
ボケ 「あ、イルカショーいいね!あの豪快なジャンプ決められたら気持ちいいだろうなぁ」
ツッコミ「だろぉ?今度はちゃんと水族館の人らしくしろよ?」
ボケ 「みなさん、こーんにーちはー!ゲラゲラ水族館のイルカショーへようこそー」
ツッコミ「おっ、いいね、それっぽい」
ボケ 「今日は、当館でも一番の芸達者の〇〇ちゃんに芸を披露してもらいますよー」
(※〇〇ちゃん=ツッコミ担当の名前をもじったネーミング)
ツッコミ「えっ?なんかその名前、既視感あるよね!?」
ボケ 「はい、ではまず最初に、連続親父ギャグ~」
ツッコミ「え……!?あ、ふ……ふとんが……吹っ飛んだ!アルミ缶の上にあるミカン!!」
ボケ 「あー、高速スピンのごとく見事にから回っちゃいましたねー」
ツッコミ「うるせーよ!普通にサインとか出して、イルカにジャンプさせたりするやつやれって言ってんの!」
ボケ 「あ、でも俺本当はイルカよりアシカショーのほうが好きなんだよね」
ツッコミ「アシカね、確かにイルカに負けず劣らず芸達者だよね」
ボケ 「うん、だからお前早く床に這いつくばってアシカやって」
ツッコミ「言い方。あと、なんで俺がそこまでしなきゃなんねーんだよ」
ボケ 「水中を泳ぐイルカの形態模写は難しいだろ?アシカなら体の動きで真似しやすいじゃん」
ツッコミ「突然の正論」
ボケ 「ほら、はやくやって」
ツッコミ「わかったよ……」
ツッコミ、腹ばいになり上体を起こしながら「アォッアォッ」と鳴きつつ両手を叩くなど、全力でアシカの物真似をする
ボケ 「アシカめっちゃ上手いな」
ツッコミ「客観的な感想やめろ!お前はアシカショーのトレーナーで、アシカにサイン出すの!」
ボケ 「おお、そうだった、じゃぁちょっとそのまま待ってろ」
アシカポーズのツッコミを舞台に残したままボケが舞台袖に引っ込む
「えっ?えっ?」と困惑するツッコミ
ボケが何かを持って戻ってくる
ボケ 「ほれ、これが俺のサインだ」
誇らしげにコンビ名と自分の名前がサインしてある色紙を、アシカのポーズのままのツッコミに掲げる
ツッコミ「漫才師への未練タラタラじゃねーか!!」
二人「どうも、ありがとうございました~」
ツッコミ、アシカポーズのまま拍手、ボケは片手を上げ、アシカトレーナーっぽいポーズで暗転