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カカオ豆と復讐

作者: 鳥塚三論

初のミステリー・ハードボイルド小説です。温かい目で読んでいただけると嬉しいです。

 私は探偵の古手玲人(ふるでれいと)である。探偵になって五年目になるが、小説やドラマのような奇抜な事件に巻き込まれたなどということは無い。依頼内容といえば、夫婦の浮気調査からペット探しまで多岐にわたる。何でも屋としての側面が強い。事務所は、雑居ビルの二階に構えており、私ひとりで管理・運営をしている。ここは私の住居としての役割も兼ねている。


 二月十六日

 特に依頼を請け負ってないので、のんびりとコーヒーを飲みながらくつろいでいると、二人の階段を上る足音が聞こえてきた。彼らはドアを開け、事務所の中に入ってきた。中年の白髪交じりの男性と、茶色の髪の毛が肩を超えるくらいまである若くて綺麗な女性だ。彼らをソファーに座らせると、男性が口を開いた。

「私は政治家の田中一郎だ。名前くらいは聞いたことあるだろう。こっちが妻の希美だ。私の行方不明になった息子を探せ」少し横暴な態度で一郎はそう言った。

「行方不明になった息子さんの捜索ですか。もう少し詳しくお聞かせください」

「息子の冬馬は十八歳で、自分の彼女のためにカカオ豆からチョコレートを作ると言って、カカオ豆を手に入れる方法を調べていたのだが、二日前の二月十四日にその方法がわかった! と家を飛び出したきり帰ってきていない。どこかで事件に巻き込まれたかもしれない。下手なことをして私の政治家生命に関わるなどということがあっても困る。なんとか情報を集めなさい」

一郎は難しい顔をしながら言った。

「わかりました。お引き受けしましょう」

「これ一安心だ。」

一郎は安堵した様子で言った。

「息子さんの写真はお持ちですか?」

希美はバッグの中から三枚の写真を取り出し、私に見せてきた。彼女は写っている人物に指をさした。

「こっちの飲みものを持っているのが息子の冬馬です。その隣に写っているのが、息子の彼女の北条あかねさんです」

私は写真を受け取って胸ポケットに入れた。

「一つ言っておかなければいけないのですが、彼が生きている保証はないので、ある程度の覚悟は持っておいてください」

すると希美がいきなりバンッと机を叩いて泣きながら言った。

「それはどういうことですか? まだ調べもしていないのに、冬馬が死んでいるとでも言いたいのですか? あなた、この方で本当に大丈夫なの?」

一郎が希美を落ち着きなさいと言いながらなだめた。

「希美さん、落ち着いてください。今回お話を伺った限りでは、カカオ豆の入手においてなにか事件に巻き込まれた可能性が高いと言われましたので、ご覚悟をと申したまでです。ところで、失踪した案件なら警察へ行った方が早いと思うのですが、なぜ僕のところへ?」

「大事になったら不祥事としてまたマスコミに叩かれかねん。そこで私立探偵の君に依頼をしたわけだ」

「なるほど、そういう事情がありましたか。ですが、僕としてもあなたのご子息に何かあれば、警察へ通報することもあるのでご了承ください」

探偵たるもの、深く聞かずに依頼をこなさなければならない時がある。今回の依頼がそうだ。彼らは頷き、契約書にサインをした。一礼して事務所から出て行った。


 冬馬を探すのにまず頼るべきなのはあの人しかいないだろう。森は、幼い頃からお世話になっている人だ。彼は刑事でありながら私の仕事を知っていて、内密に調べ、その情報をくれる。それに今回の依頼は訳ありだ。もしも冬馬に前科や逮捕歴があれば、依頼解決への糸口となるであろう。

 森警部にこれから八王子警察署へ行くことを電話で伝えた。私はコートを羽織り、車で向かった。

 警察署に着くと、受付で要件を話し、森警部を呼んでもらった。すると、応接室に案内され待つことになった。数分後、背が高く、お腹がぽっこりでている森警部が応接室に入ってきた。

「玲人、久しぶりだな。今日はどうしたんだ?」

「実は今、人探しの依頼のため、情報を集めています。その人というのは、田中冬馬という十八歳の少年なんです。何か情報はありませんか?」

私がそう言うと森警部は真剣な表情になった。

「本来なら個人情報を明かすのは良くないことなのだが、調べてやろう。少し待っていてくれ。情報屋にもあたってみる」

彼は形式的な前置きをしてゆっくりと立ち上がり、部屋から出て行った。しばらく経つと、彼は戻ってきた。

「田中冬馬は、前歴・前科はないが少し気になるところがある」

「気になるところ?」

「ABC株式会社という会社をお前も聞いたことがあるだろう。冬馬はそこでアルバイトをしているみたいなんだ」

「ABC株式会社って、数十年前に政治家に違法に献金していた疑いのあった会社ですよね? 結局無実だったみたいですが。それのどこが気になるんです?」

私がそう言うと彼は頷き、こう続けた。

「うむ、この会社は、表向きはカカオ豆の輸入・卸売りをしているのだが、実態はカカオ豆と一緒に薬物を輸入し、いろんな組織に流している薬物密売組織なんだ。これは他言無用だからな」

「もちろん他言はしません。ここまで情報があると言うことは、捜査も行われているのですね……。もしかして潜入捜査をしている警察官もいるのではないですか?」

「ああ、この会社は去年から我々の部署がマークしている。そこに潜入捜査をしている捜査官もいる」

「その捜査官と会うことはできますか?」

私がそう質問をすると、彼は黙考した。数分後、口を開いた。

「連絡をしてみる。もしも、玲人がこの会社について深く調べるのであれば、何かあったら必ず俺に連絡を入れるのが条件だ」

「わかりました」

彼は潜入捜査官の藤森巡査部長に連絡を入れたら、藤森巡査部長から私の方へ電話をするとのことなので、ひとまず事務所に戻ることにした。

 事務所に帰ってきて、今までにない事件との遭遇に私は興奮を抑えることができなかった。気持ちを落ち着かせるために、パイプに煙草を詰め、火を付けて吸っていると、携帯電話に着信がきた。

「私は八王子警察署巡査部長の藤森と申します。森警部から話を聞いて是非、協力させていただきたいのですが」

物腰の低そうな若い声の男性みたいだ。

「古手玲人です。そう言っていただけると思っていました。よろしくお願いします」

「流石に電話で話すのもどうかと思うので、明日の正午にファミレスで会いませんか?」

私はそれに承諾して電話を切った。パイプの残りを吸い終わると、シャワーを浴び、就寝した。


 二月十七日

 正午近くなったので、支度をしてファミレスへ向かった。約束をしていたファミレスに入ると、若く黒髪でソフトモヒカンの、ガッチリした体型でスーツを着こなした男性が私に向かって手を振っていた。

「どうも、私は藤森です。あなたが古手玲人さんですか?」

電話で聞いた通り、物腰の低いようだ。

「はい、僕が私立探偵の古手玲人です。お待たせしてすみません」

「いえいえ。私も今来たところですから。話す前に何か注文しますか」

気遣いもできる男のようだ。私は特にお腹も空いていないので、コーヒーを頼んだ。彼はサンドウィッチとコーヒーを頼み、注文したものがくるまで、世間話をした。

 注文したものがくると、本格的な話が始まった。

「まずABC株式会社は、表向きにカカオ豆の輸入・卸売りをしているのですが、裏では覚醒剤をあらゆる組織に流しているというのは森警部から聞いていると思います」

「はい、そこは聞きましたが、これ以上の情報をもらっても本当に大丈夫なのでしょうか?」

彼は頷き、話を続けた。

「この会社で働いていた社員やアルバイトも行方不明になっているのです。私が潜入し始めた頃に、仕事を教えてくれた先輩社員の方も同じなのです」

この様子だと、冬馬も無事である確証が薄くなってきた。出来る限り、生きたまま依頼人の元へ返してやりたい。冬馬の写真を見せながら、

「ちなみに、田中冬馬という少年をご存知ですか?」

彼は写真を手に取ると、驚いた様子で言った。

「この少年のことはよく知っていますよ!私と同じところでバイトをしていた少年です。彼もここ最近、行方が分からなくなった一人です」

「彼に最後に会った時、何か言ってませんでした?」

「そういえば彼は、『やっとカカオ豆の保管場所がわかったぜ!これでカカオ豆とクスリを手に入れることができる!』そう言ってその日はそのまま仕事を続けていました」

しかし私にはこの話を聞いて、腑に落ちない点があった。

 いきなり彼は、腕時計を見ると「そろそろ戻らなければ。これで失礼しますね」そう言い、お金を置いてファミレスから出て行った。


 夜になり、私は北条あかねが働いているというバーに来た。カウンター席に座り、ウィスキーのロックを頼んだ。飲みながらマスターに話しを聞いていた。

「急に仕事に来なくなったのでこっちとしては困っているのですよ」

とマスターはグラスを磨きながら言った。

「いつぐらいから来なくなったのですか?」

「そうですねぇ。二日前ですね。何の連絡もよこさないから何かあったんじゃないかって皆で話していたところなんですよ」

「何か変わったところはありませんでしたか?」

「そういえば、来なくなる前日に、すごく落ち込んでいて、無理して頑張って仕事をしていたくらいですね。普段は明るくて気遣いができる子だったのでいきなりのことで驚いています。それにしてもどうしてそんなことを気にするのです?」

「わたし、実は探偵を生業にしているものなので」

「このご時世に探偵ですか、さぞご苦労なさっているんですね」

 そんなこんなでマスターとの会話も終わり、ゆっくり飲んでいると、二人組の男が私の後ろのテーブル席に腰かけた。話し声が聞こえたのでこっそり後ろを見てみると、二人の男がいた。片方は髭がもじゃもじゃしている大男で、もう片方は聞いたことのある若い声で、マスクとメガネをかけていて帽子もかぶっていた。二人は私とマスターの会話や私の事には気にしてはいない様子だった。

 いかにも怪しい二人組だが、マスターはおろか、他の客でさえ彼らのことを気にしてはいなかった。つい最近に聞いたような声の方の男が気になることを話しているので、常に持ち歩いている集音性の高いボイスレコーダーでこっそり録音をすることにした。

「おい、あのカカオ豆の保管場所に忍び込んで、カカオ豆を盗もうとしていたガキの始末はどうなった?」

と大男がナッツをかじりながら言った。

「しっかり仕留めて、ドラム缶に詰めてコンクリートを流し込み、横浜の赤レンガ倉庫付近の海に投げ捨てました。人通りの多いところだけにバレることはまずありませんよ」

「まさに人を隠すには人がいるところってな。よくやった。まさか寺においてあるカカオ豆を盗もうとし、見つけたクスリを暴こうとするとはおろかなガキだな」

「まったくですよ。われらがABCでバイトさせてやったのに恩を仇で返すとは愚かです」

カカオ豆、クスリ、ABCこれらの単語を聞いて二人が、ABCの関係者であることを察するのに時間はかからなかった。

「社長、実はうちの会社を嗅ぎ回っている探偵がいるので処理した方がよろしいかと。私は顔が割れてますし、警察署から持ってきたこの拳銃で撃てば終わりなので」

「クスリのことを暴かれたら困るしちょいと明日にでも始末する。本来はお前の仕事だからな。だが、二重スパイをしてくれているおかげでこちらとしてもスムーズに商売ができている。仕方ないな……。俺が行くとしよう」

そんな会話をした後、彼らはバーから去って行った。それを確認した後、マスターに先ほどまでいた二人組のことをそれとなく尋ねてみた。

「あの二人? マスクと帽子を被ってる方の男性は知らないですけど、髭もじゃで太った方の男性とは話したことありますよ。詳しいことは話せませんが、食品を扱っている会社の社長だそうです」

「そうでしたか。どこの会社っていうのは教えてもらえませんかね?」

マスターはため息をついて言った。

「それは流石に勘弁してください。あの人結構やばい人みたいですし、個人情報なので」

「わかりました。無理に聞いてすみません」

 私はグラスに入ったウィスキーを飲み干して会計を済ませ、森警部に電話した。五回目のコール音の後、眠たそうな声で電話に出た。夜も遅いから無理もない。バーであったこと、横浜赤レンガ倉庫付近の海を大至急調べてもらう旨を伝え、事務所へ帰った。シャワーを浴び、ウィスキーをショットでグイッと飲んでベッドへ倒れこむように寝た。


 二月十八日

 朝八時、携帯電話を確認すると森警部から着信がきていた。掛け直すと、例の赤レンガ倉庫付近の海でドラム缶にコンクリート詰めされた身元不明の死体が見つかったそうだ。すぐに横浜へ森警部と行くことになった。その準備をしていると、いきなりドアを蹴飛ばして髭もじゃの大男が怒鳴り込んできた。よくみるとこの男、昨夜バーで見た男だ。

「てめぇか! うちの会社をコソコソ嗅ぎ回っている奴は!」そう言うなり、すごい力で胸ぐらを掴んできた。

「名前くらい名乗ったらどうなんだ? それにあんたの会社なんて知らないな」

「はぁ? とぼけるつもりか?どういうつもりか吐いてもらうぜ」と言い、手を離して胸ポケットから拳銃を取り出し、私に向けた。

「撃てるものなら撃ってみろ。あんたは実は臆病者だろ? 俺は知っているんだぜ」男はうろたえながら言った。

「な、な、何を言っている。この拳銃が見えねぇのか!俺は撃てるぞ!」

男はトリガーに指を置いた。どうやら撃つ気満々のようだ。しかし、手は震えている。

「おっとその銃、安全装置を外すのを忘れているぜ」私がそう言うと、男は拳銃を確認した。拳銃の扱いには慣れていない様子だった。その隙に、彼にタックルをし、拳銃を床に落とすことに成功した。それをよく見ると、警官が使うものに酷似していた。元警官の私にはよくわかるのだ。

「くそ、何しやがる」私は落ちた拳銃を拾うと、男に向けた。すると、両手を挙げて怯え出した。「やめてくれぇ。撃たないでくれ」

演技ではなく本当に怯えていた。「お前は誰だ? 本当に何をしにここにきた!」時にはこのように脅して口を割らせる方法もあるのだ。

「お、俺はABC会社の社長だよぉ。うちの会社を嗅ぎ回っていると言うタレコミがあったから脅して辞めさせようと思ったんだよぉ」怯えながら言った。相手の素性も分かったのでこれ以上長居させる必要もない。

「この拳銃は返す。だがな、撃たれる覚悟がないなら二度と人に向けるな。そして、二度とその汚いツラをみせるな」私はそう言い、拳銃を男に投げつけた。男も、拳銃を拾って一目散に逃げて行った。

 少しドタバタしてしまったので深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。


 横浜へ行く準備を再開し、車で向かった。横浜警察署に着くと、森警部はすでに到着していた。彼は缶コーヒーを片手に持ちながら、

「玲人、遅かったじゃないか。何かあったのか?」

「はい、実は僕の事務所に拳銃を持った大男が乗り込んできて、拳銃で脅されました。幸い、撃たれることなく相手を追い払うことができたので大丈夫でしたが」

私がそう言うと、彼は何かを深く考えるような様子を見せた。そして申し訳ななそうに、「お前が無事なら良かった」そう言い、それ以上は何も言わなかった。

 警察署の中に森警部は入っていき、私は車の中で待つことになった。五十分くらい経った時、彼は警察署の中から出てきた。見つかった死体はやはり冬馬のものだった。

「死体の胸に無数の刺し傷があり、模造刀を腰に装備していたみたいだ。そしてドラム缶の中に、殺害に使用したと思われるナイフも入っていて、指紋は拭き取られていた。どうやら仏さんは、恨みを持つ人物に滅多刺しにされたと警察はみている。ところで玲人、昨夜電話かけた時に言ってた二人組が話してた内容を録音してたんだよな? 聞かせてくれ」

私は昨夜撮ったボイスレコーダーを聞かせた。森警部の反応はやはりかといった感じだった。

「森警部は、この若い声の方の男の声に聞き覚えがあるのではないですか?」私がそう言うと彼は頷いた。

「ああ。この声は間違いなく藤森巡査部長だ」

そう言われても私は驚かなかった。なぜなら藤森巡査部長と初めて会ったときから何かがおかしいと直感していたからだ。

「森警部に藤森巡査部長と会わせてくれることになった時からおかしいと思っていたのです。潜入捜査している捜査官のことは秘密にするのが普通ですからね。それに、森警部にもらった資料の中にあることしか彼は話さなかったのも疑問に思いました」

彼はとても驚いた様子を見せた。そして、頭を深々と下げながら言った。

「実はそのことでお前に謝らなければならない。利用するようなことをしたり、危険な目に合わせたようで本当に申し訳なかった。冬馬の状態もわかったし、これ以上は本当に危険だからお前は手を引いた方が良い」

「森警部、頭をあげてください。最初からなんとなくわかっていたので大丈夫です。ただ、ここまできた以上、手を引くことはできないです。真実を知るために、改めて捜査に協力させてください」

彼は頭をあげるとホッとした素振りをみせた。

「お前がそう言ってくれるのならこちらとしてもお願いしたい。今度からは情報の共有をしよう」

「もちろんです! 今回の死体遺棄事件ですが、間違いなくABC株式会社が関わっています。バーで彼と話していた人物は、今朝僕の事務所に襲撃をかけてきた社長本人です」

森警部は頷きながら、やはりか! と言う反応をみせた。

「実は藤森巡査部長は、潜入捜査ををしているはずなのに、必要以上の情報を我々に出さなかった。それを不審に思った上層部は彼を泳がせるとともに、二重スパイの疑いで彼をマークしていたのだ」

「やはりそうでしたか。ここで話が変わるのですが、ABC株式会社のカカオ豆の保管場所について知っていることを教えてください」

「藤森巡査部長以外の潜入捜査官によると、大福寺という寺に保管されているそうだ。表向きは、他の寺と同じようにお墓の管理や個人を弔う仕事だ。また時々お菓子教室なども開いていたり、カカオ豆の保管をしているみたいだ。裏では、違法なクスリを保管している。住職はABC株式会社とグルであろう」私はメモを取りながら次の質問をした。

「僕自身でも、ABC株式会社について調べてみたのですが、この会社は数十年前、田中一郎氏に違法献金をした事件があったこと、当時の田中一郎氏の秘書の単独の犯行でこの会社はほぼお咎めなしになりました。僕には過去のこの事件が今回の事件となんらかの関わりがあるとしか思えません。これについてどうですか?」

彼は少し、ため息をついて言った。

「その事件のことはあまり思い出したくないのだが。当時、我々警察としても、田中一郎氏とABC株式会社の立件に全力を挙げていたのだが、出てきた証拠は、秘書の独断の犯行だった。この会社も半ば脅しをかけられていたので、秘書のみの検挙となったのだ。もっとも、その秘書は刑務所の中で自殺をしたがな」

森警部がこう言う反応になるのは無理もない。警察しても過去の事件を蒸し返したくないからだ。田中一郎氏も今回の事件に関わっているようだ。


 森警部から情報をもらい、一旦事務所へ戻ることにした。田中夫妻への報告もしなければならないからだ。私は車を走らせた。数時間後、事務所に着くと彼らに電話を入れ、夕方に来ることになった。その間コーヒーを淹れて飲みながら、報告書を完成させた。

 数時間後、田中夫妻が事務所を訪れた。田中一郎はイライラした様子で、希美は目を潤ませていた。二人をソファーに座らせた。冬馬が亡くなったことは、警察からの連絡で彼らの耳にも入っていることなのだが、依頼を終えたので報告しなければなるまい。

「警察からも聞いていると思いますが、これが今回の報告書です」

報告書を一郎に渡した。

「うむ、ご苦労だった。これは今回の依頼料だ。おっと、電話が来たようだ。ここ最近またマスコミやら、関係者からの電話が多くてかなわん。少し席を外すよ」

そう言うなり、彼は依頼料の入った封筒と希美を残して事務所から出て行った。数分の沈黙の後、彼女は涙ながらに口を開いた。

「息子は・・・冬馬は殺されたのでしょうか?」

「警察もその可能性が高いと言っていますし、僕もそう思います」

「私、とても悔しいです。どうして冬馬が殺されなければならないのですか。夫は自分のことで精一杯ですし、もう潰れちゃいそうです。せめて、真実が知りたいので、改めて依頼をしてもいいですか?」

「依頼というと、どのような?」

「冬馬がこうなってしまった理由です。つまり、この事件の真相を暴いて欲しいのです。正直、警察のことはあまり頼りにはしてないです。依頼料はちゃんと払うのでお願いします」

彼女はバッグからお金の入った封筒を取り出した。彼女としては、また以来をするつもりでここに来たのであろう。

「わかりました。依頼は受け取りますが、この依頼料は受け取りません。依頼には協力してもらいますが」

私は彼女の手に持った封筒を下げさせた。そう行ったやり取りをしていると、一郎が戻ってきてどかっとソファーに座った。そこで彼にこんな質問をぶつけてみた。

「一郎さんにおひとつお聞きしたいのですが、なぜ冬馬さんは、ABC株式会社でバイトをしていたのでしょうか?」

彼は意表を突かれたのか、驚愕している様子だった。

「そんなことはもうどうでもいいだろ。もう依頼は終わったんだ。これで帰らせてもらうよ」私はすっと立ち上がって帰ろうした彼を引き止めた。

「これで最後なのでお教えください」

「ふん。息子がバイトをしたいというのだから、私が知り合いの会社に口を聞いてやった。これで満足か?」

「なぜそれを最初に教えて下さらなかったのですか? その情報があれば、依頼も早く終わったと思うのですが」

彼はその質問には答えなかった。

「おい、もう帰るぞ」彼は希美の強引に腕を引き、事務所から出て行った。一郎が置いていった封筒を確認してみると、そこには万札の札束が入っていた。恐らくは余計なことを話すなという、口封じの金だろう。汚い金だ、そう思った。

 ここからは慎重かつ大胆に動いていかなければ、ABC株式会社の思うツボになるかもしれない。そういったことを考えつつ、夕飯を済ませ、早めに床についた。


 二月十九日

 私は朝食を摂った後、着替えて大福寺へ向かった。冬馬がカカオ豆を探しにいったのがこの寺で間違い無いからだ。私の事務所から大福寺までは意外と近い距離にあり、車で二十分ほどで到着した。外観はかなり大きく、まるで最近建てたかのように綺麗だった。入口の門には、お菓子教室の生徒募集の張り紙が貼っており、おそらくはカカオ豆を使用したお菓子作りであろう。誰でも気軽にお参りできるつくりになっていて、人も賑やかしていた。見た目だけではとても、違法なクスリを保管しているとは思えない。

 中に入り、住職に話を聞こうとしたところ、留守とのことだった。仕方なく周りを見物してると写真にあった、冬馬の彼女の北条あかねとみられる人物を発見した。まさかここで会えるとは思ってもみなかったが、話しかけてみることにした。

「申し訳ありません、あなたは北条あかねさんですか?」

「はい、そうです。もしかしてあなたが古手玲人さんですか?」

彼女は振り向き、驚いた様子で言った。

名乗った覚えはないのになぜ知っているのだろう。

「その通りですが、なぜ私の名前を?」

「兄から聞いていたもので。近々、接触してくるだろうと言っていました」

兄というのは誰かを聞く前に、冬馬との関係性について質問してみた。

「冬馬さんとはABC株式会社で初めて会いました。私、バーと掛け持ちでバイトしていたのですが、そこで仕事を一緒にするうちに付き合うようになりました。彼が行方不明になってからは、両方のバイトを辞めました」

まさか北条あかねがABC株式会社とつながりがあることをハッキリ言うとは思ってもみなかったので少々驚いて、質問を続けようとしたが、彼女が頭を下げながら言った。

「今日あなたに会えて本当に良かったです。一つお願いがあります。兄を、藤森結城を止めて欲しいのです」

「北条さん、頭を上げてください。藤森結城さんというのはまさか、警察の藤森巡査部長のことでですか?」

「はい。そうです。私の旧姓は藤森あかねです。幼い頃に政治家の秘書をやっていた父が自殺した後、母も続けて病気で亡くなりました。そして兄妹違う親戚のところに預けられ、連絡を取り始めたのはお互いに大人になってからのことです。また父は、政治家の田中一郎の秘書で、汚職事件で罪を被せられて、マスコミやいろんな人からバッシングを受けて、刑務所の中で自殺しました。兄と私は田中一郎と警察を恨んでいました」

「田中一郎さんの息子の冬馬さんが、あんな無残な形で見つかったのは、藤森結城さんが関わっているということですね?」

彼女は頷いた。

「兄が、カカオ豆を探しにきていた冬馬さんをこのお寺で殺害したのです。私はその一部始終を見て恐ろしくなりました。最初の計画では彼を殺すつもりはなく、暴行して返すつもりでした。そのために私がここへ彼を来させました。まさか、ナイフで滅多刺しにするとは思いませんでした。兄にこれ以上悪いことをさせないためにも、彼をドラム缶に入れてコンクリート詰めするときに、犯行に使ったナイフをこっそり入れておいたのです。発覚するように」

「なるほど、今まで起きたこと全てに辻褄が合いました。あなたは罪を償うべきです。過去のことから警察を恨んでいるかもしれませんが、今すぐ自首してください。知り合いに信頼できる刑事がいるので、一緒に行きましょう」

「そうですね。このままではダメですよね。私、自首します」

私は携帯電話を取り出し、森警部に電話をした。事情を説明し、彼女と一緒に今から八王子警察署へ行く旨を伝えた。私の車に彼女を乗せ、八王子警察穂へ向けて走り出した。車の中で、

「僕には藤森結城さんの計画がこれで終わったとは到底思えないのですが、彼は何か言ってませんでいたか?」

「そういえば、兄が冬馬さんを海に捨てた時、『まだ終わりじゃない』と言っていました。もしかしたら、兄の標的はまだいるかもしれません」

その言葉を聞いて、わたしには思い当たる節があった。彼らの両親は亡くなっていて家庭が崩壊してしまったが、田中一郎氏の家族はまだ完全には壊れていない。一人生きているからだ。その彼女が次の標的ではなかろうか。そんな話をしているうちに八王子警察署へ到着した。

 受付で森警部を呼ぶように伝えると、小さめの会議室へ通された。ここは十人入ると狭くなるような場所だ。私たちは椅子に座り、森警部と話した。

「彼女は藤森結城の妹の北条あかねさんだな? こっちでも色々と調べたんだ」

「はい、その通りです。大福寺で会って自首するために来てもらいました」

彼女はペコリと頭を下げて、下を向きながら言った。

「まさかこんなことになるとは思ってもいませんでした。冬馬さんの両親にはなんて言ったら良いのか、言葉も見つかりません」

「君が彼を殺したのではないというのはわかるよ。だが、君のしたことは犯罪なんだ。今は重要参考人として身柄を預からせてもらうがいいね?」

彼女は頷き、捜査に協力すること、藤森結城の標的はまだいるのではないかという旨を伝えた。

「北条さん、彼が次の標的を狙う場所に心当たりはありませんか?」

彼女は何かを思い出そうとした。そして、

「そういえば、襲う場所と関係あるのかわかりませんが、兄はABC社長に田中一郎のスケジュールを聞いていましたね。今日の午前十時からある、田中一郎の講演会に丸をしていました。場所は確か、秋葉原のUDXという会場です!」

「今日の十時だと? あと一時間もないではないか!」

森警部は焦ってイライラした様子で言った。私は彼を落ち着かせた。

「流石に、警備などの関係で公演中に襲うようなことはないと思いますよ。もしも襲うとしたら、講演会が終わって、帰る時を見図るのではないでしょうか」私は腕時計を見ながら言った。

「とりあえず、現場近くの警察署の私服警官を数人見張らせ、私と玲人は現場へ向かう。北条さんはここで待機していてください。大福寺を捜査するための捜索・差押令状を早急に取る。組織対策課との連携も必要だな」

そう言うなり、森警部は部屋から出て行き、すぐに別の警察官を連れて戻ってきた。彼に北条あかねの見張り役をしてもらうみたいだ。

 私は森警部の車に乗り込み、UDXへ向かった。道路が混雑していて、予想以上に時間がかかりそうだが、早まる気持ちを抑えるしか今はできることがなかった。そんなことを考えていると、森警部に着信がきた。どうやら、捜索・差押令状が取れたのですぐにでも大福寺の捜査を開始するとのことだ。

 会場に着いた頃には、講演会が終わっていて聞きにきていた人たちが会場からわらわらと帰る様子がみられた。その中には以前、事務所に襲撃をかけてきたABC社長の姿もあった。田中一郎氏に挨拶をして外へ出て行った。彼の動きを見ていると、車に乗り込んだ後は、発車することなく、田中一郎氏の動きを監視しているように見えた。森警部は、私服警官にABC社長を見張らせた。

 私は車から降りて、会場の中に入り、森警部は別の私服警官の元へ向かった。中には関係者に挨拶をしている田中夫妻と、それをこっそりと陰からうかがう藤森結城がいた。私も気づかれぬよう、こっそりと待っていた。数十分後、挨拶を終えた田中夫妻が会場から出て行った。後を追うように藤森結城も出て行き、私もその後を追った。

 周りに人がいなくなり、ポケットに手を入れた藤森結城が田中夫妻の前に姿を現した。彼は興奮して怒鳴るように言った。

「お前だけは絶対に許さない。まずはこの女を殺し、お前も殺す!」

田中一郎は驚き、後ずさりをしながら言った。

「なんだね、君は。ん? その顔、見覚えがあるぞ。もしかして君は、雄大君の息子なのか?」

「そうだ! 俺はお前が罪を被せた、藤森雄大の息子だ! お前のせいで父は自殺してそのあとを追うように母も死んだ。そして、兄妹は離れ離れになってとんでもない人生になったんだ!」

 私は彼と初対面の頃を思い出し、あの頃と違いすぎて驚いていた。彼は、ポケットから拳銃を取り出し、希美に向けた。その時一郎は、彼女を守ろうともせずに逃げようとしていた。私は、彼が拳銃の安全装置を外し、トリガーに指を置いた瞬間に、気づかれぬよう後ろから羽交い締めにした。彼の持っていた拳銃をよく見ると、ABC社長が持っていたものと同じだった。彼はものすごい力で逃げようとした。

「藤森結城さん、彼女は僕の依頼人だ! 被害を加えることは許さない! それに、彼女はあなたとは無関係じゃないか!」

彼はますます興奮しながら言った。

「俺を離せ! こいつらを殺せば俺の計画は————復讐は果たされるんだ! 田中一郎の家族である以上はこの女も無関係じゃ済まされない」

私は彼の首を絞めながら、手に持った拳銃を蹴飛ばし、足の甲を踏みつけた。すると彼は、その場にうずくまった。その隙に一郎が警備員を呼んで警備員が駆けつけたが、手を出せそうにもない。警備員に、近くに私服警官がいることを伝えた。

「彼女を殺しても何の意味はない。田中一郎という男は、それさえも利用する。あなたが一番よく知っているはずだ!」

「そんなことはとっくにわかっていたさ。こいつらの息子を殺した時からな! だがもう抑えきれない! 俺たちの両親は死んだのに、こいつらはのうのうと生きている。それが許せないんだ!」

「だから、田中一郎さんの家族である冬馬さんを殺したんだな? 潜入捜査官という肩書きを利用して、冬馬さんがクスリを探していると嘘をつき、捜査を妨害して警察を裏切ってまで!」

「ああそうだよ! 冬馬がクスリを探していると言えばそっちに注目が集まると思ったからな。それに俺だって初めのうちは真面目に潜入捜査をしていたさ。だがな、社長から田中一郎が俺の親父を自殺に追い込んだこと、まだ献金をしていること、息子の冬馬がバイトをしていることを聞いてからは、警察を裏切り、二重スパイしていたんだ」

私はそれを聞いて憤慨しそうになったが抑えた。彼の関節を決めながら、警察官らが来るのを待った。

 そんな中、ようやく警備員が森警部と私服警官らを連れてやってきた。森警部は手錠を取り出し、

「十一時時三十二分、殺人未遂の現行犯で逮捕する。お前の犯行もここまでだ!」と彼の手に手錠をはめ、逮捕した。彼も抵抗をやめ、応援に駆けつけた警察官に引き渡された。

「俺の計画は完璧だったはずだ。なぜ探偵ごときに邪魔されなきゃいけないんだ」

と肩を落としながら言った。

「僕があなたと初めてあった時、必要以上の情報を渡さなかったことが怪しいと思い、マークしていた。そして、バーで不用意な発言をしたことで疑いが確信に変わった。それに、あなたの妹さんの捜査協力もあり、邪魔できたんだよ」

「あかねが? そうか————あいつは冬馬を殺した時も怖がっていたからな」

彼は納得した様子だった。さっきまでの暴れっぷりとはうって変わっておとなしくなった。

 藤森結城が連行されたあと、森警部が

「田中一郎さん、あなたを政治資金規正法違反で逮捕する。これが逮捕令状だ」

と胸ポケットから令状を取り出し、一郎に見せた。すると、彼はいきなり怒り出して言った。

「政治資金規正法違反だって? どこにそんな証拠はあるのかね? それに汚職事件は、今さっき連行された殺人犯の父親が、十数年前に自白して解決されたではないか!」

森警部はそれに頷き、

「ああ、確かに、彼の父親が自白して解決された。しかしあなたはまだ、あの会社から違法に献金を受けているよな? 証拠もバッチリ掴んでいるんだよ。とりあえず言い訳は署の方で聞くから」

そう言われた一郎はうなだれた。そして逮捕された。その横で田中希美は、下を向いたまま何も喋らなかった。そんな彼女にはあとで私の事務所に来るよう伝えた。

 あの後。私は警察にて事情聴取を受けた。こうして、藤森結城が起こした事件は、幕切れとなった。

 結局のところ、藤森結城はすべての容疑を認め、殺人及び死体遺棄など複数の罪で起訴された。田中一郎氏は容疑を否認し続けたが、警察が集めた証拠を突きつけられると、一転して容疑を認めた。また、ABC株式会社社長も、藤森結城らが逮捕された直後に、違法献金や薬物売買の疑いで逮捕された。彼は、田中一郎から薬物売買について脅しをかけられていた。そのため、藤森結城を田中夫妻にけしかけたと供述しているとのことだった。


 数日後、依頼を解決したので、田中希美に事務所へ来てもらった。黒の地味な服装で現れた彼女は、しばらく下を向いたままにも語らなかった。息子の冬馬を殺され死体を海へと捨てられた上に、夫の悪行を知ってしまったから、こうなってしまうのも理解できる。薄っぺらい同情を彼女に向けることはできなかった。私にできることといえば、彼女にコーヒーを出して、語り出すのを待つだけだった。

 しばらくすると、下を向いたまま語り出した。

「私、夫のことを信頼していたつもりですが、やはり過去のことがあって、今回の事件が起き始めた時にはその信頼も崩れていきました。冬馬が帰ってこなくなって、夫に相談した時、まず自分の政治家生命の心配をしていました。息子の心配は全くと言っていいほど、していませんでいた。冬馬にあの会社で働くよう勧めたり、自分の献金先を無くさないように、脅しをかけたり、こういったことが明るみに出るのを恐れて。本当に自分の政治家としてのことしか頭にないような人ですよね」

「ええ。僕もそう思います。始めて会った時からそう実感していました」

さらに彼女は顔を上げ、私の目を見ながら言った。

「私、夫と離婚しました。あの人のいる留置場へ行って、離婚届に判を押してもらいました。もうあの人とは暮らしていけません」

「それは賢明な判断だと思いますよ」

「あなたは探偵でありながら、私の依頼を叶えてくれた上に、命も救われました。家庭は崩壊してしまったけれど、あなたには感謝しています。あなたとはもっと親しく————」

と彼女が言いかけた時、私はその言葉を遮ってこう言った。

「僕はあなたと親しくなるために、あなたの依頼を受けたわけではありません。依頼人とそういう関係になるのは僕の主義に反するからです。それに、依頼が完了されるまでは、依頼人を守るのは人として当たり前のことなのです。あなたには良い人が必ず現れる、僕はそう思います」

そう言うと、彼女が落ち込むと思っていたが、フフっと笑みを見せてこう言った。

「やっぱりあなたはハードボイルドで面白い人ですね。ここまでスパッと言われると、むしろ心地よいです。今回は依頼を受けてくださってありがとうございました」

彼女は一礼した。

「いえいえ。またもし何かあったら、依頼ならどんなことでも引き受けるのでまたお越しください」

私がそう言うと、彼女はニコッと笑い、事務所から出て行った。出て行くときの彼女の横顔は、さっきのものよりも、明るくなっていた。

 探偵という仕事をしていると、どこかやるせない気持ちになることがある。今回の依頼や、浮気調査などがそうだ。しかし、私のことを一人の人間として頼ってくれた人々のためにも、これからもこの仕事を続けて行くであろう。


終わり


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