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#5 チーム戦イベント

金曜日 夜 イベント一日目


イベントはほとんど毎回金曜日から日曜日まで行われ、日曜日の夜九時から決勝が行われる。


今日はイベント初日で今回のイベントは規定のチーム数まで減ったら終了のチームバトルロイヤルだった。



イベント開始 五分前

二人はボイスチャットでお互いにアイテムや装備の確認をした後に少し作戦を練っていた。



「フージンさん、考えがあるんですがいいですか?」

「はい、何ですか?」


「今回の為に範囲攻撃スキルを装備したのでそれを使っていこうと思います。ですが威力が中途半端なので相手を倒すことは出来ません」

「は、はぁ…」


「ただ、フージンさんのワンパンで倒せるぐらいまでは削れると思うんです」

「……えっ?それって私が気持ち良くなるやつですか?」


「はい!そうです!僕が削ってフージンさんがワンパンでとどめを刺すってのはどうですか?多分集中狙いされるでしょうから、それに個人成績もあるみたいなんですよね」

「個人成績?」

「倒した分のポイントのランキング」


「…え?それじゃオニオンさんが損しません?」

「忘れましたか?そもそもお礼で組んでいることを。僕はランキング報酬は大丈夫なのでフージンさんが貰ってください」


「なんてイイ人なの…。わかりました!それで行きましょう!!」

「じゃあ、決まりですね。……そろそろですね、フィールドに行きましょうか」

「はい、それじゃあ日曜日まで頑張りましょう!」

「はい、頑張りましょう!」



イベント開始


それと共に襲ってくる数々の敵。


「…ちっ!ほぼ全員か!!」

フージンは舌打ちをした後、近くの集団へ移動を始めた。


『アローレイン』

オニオンはフージンが向かう先の集団へ範囲攻撃を仕掛ける。

事前に話していた作戦の通り、誰一人倒れることは無かったがフージンの通常攻撃一撃で倒せるぐらいまでは体力を削れていた。


フージンは鼻歌交じりにマジックポイントを使うことなく一つのチームを全滅させた。


「気持ちいいーーー!!!」

いきなり叫んだフージンにオニオンはビクッとした。


「ど、どうですか?」

「いい!いいです!これで行きましょう!!」

「…はい!じゃあどんどん行きましょう!!」



二人の快進撃、いや、暴虐とも言える戦いの影響で初日のイベントは予定していた二時間ではなく、三十分過ぎたぐらいで終わった。


もちろん個人成績ランキングはフージンが圧倒的一位だった。



「オニオンさん!明日もよろしくお願いします!」

「こちらこそお願いします」

「あと明日午前だけ出勤して書類修正よろしく!」

「え?あれって火曜日でも良かったんじゃなかったでしたっけ?三連休だから」


そう答えた後にオニオン、いや貴俊はすぐに顔が青ざめた。

「…えっと、フージンさん、何の話ですか?」

「もう遅いよ。あんたも勘づいてたんでしょ?だから今、そうやって答えた」


貴俊は頭を抱えた。まさかこう来るとは思わなかったからだ。

「速水さん…、ズルいですよ今のは…」

「それにしてもあんたがオニオンだったとはねぇ」


「……昨日会ったのは偶然ですか?」

「偶然、でもヘッドセットを買う理由を聞いたときに、ん?って思ってた。他にもそういう人いるだろうって思ってたけど、夜に声を聞いて確信したよ。それはあんたもでしょ?」



「まぁ……、あれ?とは思いましたよ」

「でしょ?昨日お互いにぎこちなかったもんね」

「言おうかどうしようか迷いましたからね」

「あんたが回復アイテムを調合してないって聞いたとき、私は怒鳴ろうかと思ったけどね!!」

「ごめんなさい……」


「せめてネットではちゃんとしなさいよ!」

「……逆じゃないですか?」

「ん?口答えするつもり?」

「い!いえ!」


「あとネットでは私の事はフージンと呼びなさい」

「……じゃあフージンさん、一ついいですか?」

「なに?」


「前に僕が書類投げつけられた時、仕事とプライベート分けられてなかったって言ってましたよね?」

「……えーっと」

綾はギクッとした。


「僕に負けた腹いせに僕に当たりました?」

「ち、ちがうよー」

違くはなかった。


「…あ!!あんたの方は良いことがあったってのは私に勝ったこと?」

「ち、ちがいますよー」

違くはなかった。


「……」

「……」

沈黙が生まれた。


「オニオンさん、提案があります」

「はい」

「あの件はお互いに忘れませんか?」

「乗りましょう」

「じゃあそういうことで」



「…あの、明日の午前中の話は」

「それはマジ」

「それはマジ!?」

「どうせ火曜日来てもすぐ直さないでしょ。明日直しなさい」

「は、はい……」


「…え?文句ある?」

「無いです……」

「明日、私も会社行くから」

「え?か、監視?」


「…あんた、私がそんな暇人に見えるの?どうせ休みの日に会う彼氏もいないって思ってるってか?」

「い!いえ!そんなことは…。でも彼氏いないですよね?」

「…ほぉー、どうやらケンカを売っているようだな?このままタイマン勝負するか?」


「…じゃあ勝った方が明日のランチ奢りって事でどうですか?」

「あんた、ゲームだと強気ね……」

「前回勝ってますからね」


綾は考えた、この闘い、勝っても負けてもランチデートじゃないか?と。

「乗った!闘おうじゃないの!」


「じゃあ闘技場向かいましょう」

貴俊は発言したときは何も考えていなかったが、あれ?これ?どちらにせよランチデートじゃ?と思い、急に緊張しだした。



試合開始


オニオンはその緊張故にミスをおかした。

スキルの付け替えをしていなかったことに試合が始まってから気が付いた。


「あ!ちょ、待っ!」

すでに遅かった。


オニオンはフージンからボコボコにされている。


「…ちょっと!あんた!手を抜いてんの!?」

「スキルが多人数戦用のままでした…」

「……ネットではちゃんとしなさいよ!!」

「ごもっともです…」

「とりあえず、とどめね!」


『正拳突き』

オニオンが吹っ飛ばされ、体力がゼロになった。



「はい、明日ランチ奢りね。何がいいかしらねぇ」

「…ラ、ンチ、おご、り?」

貴俊はとぼけてみた。


「あ?」

「覚えてます、すみません」

「ついでに明日作戦会議しましょう」

「今日みたいな闘い方でいいんじゃないんですか?」

「日曜日の決勝はそうはいかないでしょう。そこまでの作戦を立てないと」

「あぁそっか。多分研究されますもんね」

「じゃあ、明日」

「はい、明日」


「…ちゃんと来なさいよ?」

「わ、わかってますって」

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