Episode:95
「――おねえちゃん」
女の子がひとり、傍に寄ってきた。
「大丈夫よ」
頭を撫でてなだめる。
「静かにしてようね。そうすれば後で、ちゃんと看護士さんが迎えに来てくれるから」
「うん」
それからこの中では大きい子たちに、3歳から6歳くらいの子たちを、ひとりづつ割り当てた。
子供ばかりの学院で、よく使われる方法だ。
「ちゃんとおてて繋いで、しっかり抱っこしてあげて。大きいからできるよね?」
「わかった!」
それまで怯えるばかりだった子が、たちまち顔に決意をみなぎらせる。
幼い子たちにも、繰り返し言い聞かせた。
「静かにしてれば、お部屋に帰れるから」
「ふぃなちゃんの、べっど?」
「そう。フィナちゃんのベッド、今看護士さんがお掃除してるの。だからここで、静かに待ってようね」
「きれいきれい、まってる〜」
そんな話に納得して、喋れるくらいの子たちも静かになる。
あとは赤ちゃん2人と、やっと歩けるくらいの子が2人だけど、これはもうどうしようもなかった。
なにより、もっと差し迫ったことがある。
「そのうるさい赤ん坊も、どうにかしろ」
「そんなの、ムチャよ!」
夕食の時間なんてとっくに過ぎている。なのにこの子たちは放って置かれて、何も食べていないはずだ。
「ミルクがなくちゃ、泣きやまないわ」
話ができる子は、どうにか事態を飲み込んで黙っているけど、赤ちゃんにがまんさせるなんてできるわけがない。
「お願い、看護士さんに言って!」
「ダメだ」
「じゃぁ、あたしが行くわっ!」
構わず扉に向かった。
「ダメだと言ってるだろう!」
「痛っ――」
すごい力で腕を掴まれる。
「放して!」
ふりほどこうとしたけど、容易にはできそうになかった。
「お願い、放して! あたし、看護士さんに――」
「No.8、止めろ」
ふと、腕を掴む力が緩む。
腕にあざがついていそうだった。
「まったく、とんでもないお嬢ちゃんだな。大人しそうな顔してるってのに」
――褒められてるんだろうか?
ここのリーダー(全体のリーダーはまた別だ)の言葉に考え込んだけど、結局あたしは応えなかった。
その間にリーダーは、他の男の人に命令する。