Episode:77
「――先輩、ヘンなこと言っていいです?」
「何ですか? 相手が見えずに話をすることですか?」
この先輩がどっか呆れたふうに返した。
「まぁぶっちゃけた話、そうなんですけど」
この程度しか、俺も言いようがない。
――で、どう説明すりゃいいんだ?
ルーフェイア絡みの連中だと、こゆの知ってるから早えぇんだけど。
結局俺は、単純な方法を取った。
「信じてもらえないの分かりますけど、マジで外の連中と話してたんですよ。
俺、生まれつきこゆこと出来るんで」
「そうですか」
あっさりした答えが来る。
こゆのもなんだか、複雑だよな……。
でもこないだのスラムでも、おんなじような話になったから、世の中こんなモンかもしんない。
ただシルファ先輩は、そこまで簡単には納得しなかった。
「その、要するに、何の話なんだ……?」
前言撤回、話が見えてなかったらしい。
「えーと、どっから話しましょう?」
「どこからと言われても……どこから、なんだ?」
「さぁ……?」
っつーか、ほとんど話してない気がするんだよな。
「まったく。自分のことくらい、きちんと把握してはどうです」
「できたら苦労しないですよ」
この先輩は状況分析とか得意そうだけど、こんなの専門書もないだろうし。
それでも俺は、話し始めた。
「念話の話、知ってます?」
「聞いたことはあるな……。遠いところの人と考えが通じたり、読めたりするんだったか?」
言いながらシルファ先輩が、ちらりとタシュア先輩へ視線を移す。
「私も聞いたことはありますね。ヴァサーナではそれを研究している、暇な科学者もいましたよ」
この先輩にかかっちゃ、稀代の天才とやらもただの暇人扱いだ。
「んで俺、それできるんですよ」
「――!」
黒髪の先輩が、俺から僅かに身を引いた。
「まさか、読めて……?!」
「やろうと思えば、できるんでしょうけど。
けどンな面倒なこと、普段はしませんって。だいいち常時他人と接続なんかしてたら、こっちがどうかなりますよ」
これが諸刃の剣なことくらい、俺だって重々承知だ。
シルファ先輩もほっとした表情になる。
「そうなのか……」
「ルーフェイアとは、常にしているようですがね」
「あ――そうかも」
言われてみると、思い当たるフシは山ほどあった。
ただこっちはほとんど無意識にやってるから、気になってねぇけど。
「けど、よく分かりますね?」
「普段を見ていれば、十分わかります」
――やっぱこの先輩、怖えぇや。
普通だったら知らないような話知ってたり、こんなとこまで気がついてたり。
「ともかく俺そゆのが出来るんですけど、ルーフェイアの知り合いにも、同類がいたらしくて。
で、ルーフェイアがそいつ使って、連絡してきたんです」
「そんな方法が……」
「俺もンな使い方、最近まで知らなかったんですけどね」
というか、普通は思いつくほど仲間いねぇし。