表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/121

Episode:76

(グレイス様の潜入と屋上からの展開、この2つを踏まえて、部屋を教えてください)

 言ってることは間違っちゃないけど、かなりムチャクチャだ。

 っても、断る理由はないわけで。


(そしたら、それが出来そうな部屋ってセンで探しますから、時間もらえませんか?)

(了解しました。では……20分後にもう一度、こちらから連絡します。

 それから、犯人側が期限を切ったことはご存知ですか?)


「マジですか?!」

「先ほどからひとりで、何を言っているのです」

 慣れないせいか、ついまたうっかり、口にしたらしい。


「えーと、こっちのことなんで」

「………」

 一瞬だけ鋭い眼差しを見せてから、この先輩はまた本に視線を戻した。


――こっちも大したもんだよな。


 ルーフェイアとは正反対、人のことは構わないのが徹底しまくってる。

 とは言えこれで見るとこは見てたりするから、無関心がイコールじゃないのが怖いとこだ。今俺がやってることも、知らん顔してバレバレって可能性もあるし。

 とりあえず俺は意識を戻した。いちばん大事なことを訊く。


(期限って、いつ……なんです?)

 俺が慣れてないから、そろそろ接続がヤバくなってきてた。

(2300です。

 では、また後ほど連絡しますので)


 限界なのが分かったんだろう、向こうもあっさり話を打ち切る。

 期限って話に時間が気になって時計を見ると、夜の8時になろうかってとこだった。

「――3時間ちょいか」

 なんとなく俺はつぶやいた。途中で2回昼寝したのが効いて、けっこう時間が過ぎてる。


「なにが3時間なのです」

 また先輩が、俺に鋭い視線を向けた。

「えーと」

 どう説明すっかな。

 だいいち話自体も、混み入っちまってるし……。


「ん……」

 どう言おうか悩んでるうちに、今度はシルファ先輩まで目を覚ます。

「目が覚めましたか」

「……?」

 けどまだ身体は起きるとこまでいってないらしくて、やたら眠そうだ。


――こゆ雰囲気、ルーフェイアに似てるよな。


 もっともあいつの場合、誰かれ関係ナシにこういう無防備だから、かなりコワかったりもする。

 ヘンなオヤジにくっついてかねぇように、よく言っといた方がいいか……?

 俺がンなこと考えてると、シルファ先輩が身を起こした。


「何か……あったのか?」

「これと言って進展はありません。イマドがひとりで話をしていただけです」

「――ひとりで?」

 黒髪の先輩が、怪訝そうな顔になる。


「ひとりで話をして……面白いのか?」

「いくら俺だって、ンなことしませんって。相手がたまたま見えなかっただけです」

「十分妙だと思いますがね」


 これはさすがに返す言葉がない。

 とは言え状況からして、言っとかないとヤバいだろう。

 かといって、説明しないわけにもいかないっつーのが……。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ