Episode:75
(今、よろしいですか?)
(だいじょぶです)
――誰なんだろな?
答えながら、少しだけ悩む。
いちおう自己紹介?は貰ってるけど、面と向かって顔つき合わせたワケじゃねぇから、なんかピンとこなかった。
もっともこゆこと出来るシュマーの人間で俺が知ってんのは、ルーフェイアのお袋ひとりだけだから、分かるほうがおかしい。
んなこと考えてるうちに、向こうから予想通りのコトを訊かれた。
(先ほどお願いしていた件を、知りたいのですが)
(えーと)
人数やら武器やら見張りの交代やら、整理しといたことをまとめて送る。
このやり方のいいとこは、こゆ面倒な話も簡単に終わるってとこだろう。微妙な位置やらなんかが、言葉以上にきっちり伝わる。
けど向こうは、これでも満足しなかった。
(見張りの交代等、犯人グループの詳細については承知しました。
それで申し訳ありませんが、各病室の様子を詳しく伝えていただけませんか?)
(病室の……?)
質問の意味が、イマイチ分かんねぇ。
だいいち建物内の見取り図は、向こうこそ持ってるはずだ。
(どこで誰が何してるか、ってんですか?)
(いえ、『どこが空いているか』が知りたいのですが)
(はぁ?)
よけい意味が不明だ。
向こうも通じてないのがわかったんだろう、補足の説明が来る。
(突入に先だって、グレイス様が潜入して小児の人質に紛れ込むそうです。ですから、そのために潜入する部屋を選ぶ情報が、欲しいのですが)
「なっ、マジかよ!」
「何を騒いでいるのです。ここは病室ですよ」
「――あ」
驚きついでに、思わず声に出しちまったらしい。
「えーと、後で説明するんで、ちょっと待っててもらえません?」
「別に、説明していただく必要などありません」
「………」
――ま、いっか。
どうせすぐに、イヤでも説明しなきゃなんねぇワケだし。
とりあえず、やりかけの話のほうにケリをつける。
(その話、俺じゃちょっとわかんないんで……誰か看護士さんに訊いてみますから)
さっきから出入りしてるあの主任なら、そゆのに詳しいだろう。
(で、あいつどうやって来るつもりなんです?)
これが訊いとかねぇと、いい場所も見つけようがない。
(巨鳥で屋上へ降りたあと、そちらの病室のどれかへ懸垂降下とのことです)
(え? マジですか?)
思わず訊き返す。
そりゃ巨鳥なら高いとこまで行けっけど、降りるってなると別問題だ。あれってば図体デカいけど、1人乗せんのが限界だったりする。しかも騎手居なくなると、服従魔法が効かなくなるから、大好きな高山へ逃げちまうし。
けどまぁ、ルーフェイアくらいなら、ギリギリ一緒に乗れる……かもしんねぇけど。
(ええ。巨鳥を使って、シエラの上級傭兵も屋上へ展開します。グレイス様がキエーグの浮遊ベルトを使って、数人をまとめて運ぶ方法を、思いつかれましたので)
――そう来るか。
あいつのやることときたら、ハンパなさすぎる。