Episode:53
◇Rufeir
病院の中へは、どうやっても入れなかった。
――どうしよう。
ここへ戻ってから、だいだい1時間以上。辺りはもう薄暗くなってきて、焦りだけがつのる。
でもなにも出来なくて、あたしはその辺りをうろうろするだけだった。
それにそろそろ、ここにいるのも限界だ。事の大きさを知った政府や警察関係者が続々と詰めかけていて、一般市民は締め出されそうな気配になっている。
そっとあたしは場所を移動した。警備が厳しくなってきた、真正面の玄関付近を避けて、報道陣でごった返している辺りへ紛れ込む。
この場所が、いちばん情報に近い。
「え〜、新しい情報が入りました。
この事件に関して、犯行声明があった模様です」
リポーターの言葉に、思わずそっちへ振り返った。
いったい、どこが……。
「犯人グループは『森の虎』と名乗っており、ロデスティオの収容所に入れられている仲間の即時開放と、そのメンバー及び自分たちの身の安全を要求しているようです。
この『森の虎』というグループはロデスティオ領ワサール地区に多い、同地区の独立を要求しているレジスタンスのなかでも、過激なグループのひとつで――」
報道のおかげで、おおよそのことが分かる。
ワサールは今でこそロデスティオ領だけど、ほんの15年ほど前までは、ちゃんとした独立国だった。それを軍事大国化の道をたどっていたロデスティオが、突然侵攻して併合してしまったのだ。
そういう経緯だから、今でもワサールの人たちはロデスティオを快くは思っていなくて、反政府活動が盛んだ。
当然テロも多くて、いつ行っても警戒が厳しかった。
――だからこそ、このユリアスなんだろうけど。
海向こうのワサールなんかと比べると、この国は格段に平和だ。確か独立の時も大規模な戦闘はなかったし、今でも観光客が夜、町を歩けるほど治安がいい。
でもそれは逆に、危険に対しての警戒の薄さを産んでいた。そこが狙われたんだろう。
「そこ、下がりなさい!」
もう一段警備が厳しくなったのか、警察官が報道陣を下がらせ始めた。写影機やラや集声機を持った人たちが、しぶしぶ従う。
「お嬢ちゃん、君もお家へ帰りなさい。いいね?」
通りすがりの野次馬と間違われて――否定はできないけど――あたしも外へ出されそうになった。
「あの、あたし……」
「あれ? もしかして入院してたのかい?」
子供が好きな人だったのか、腰を落としてあたしに目線を合わせてくれる。
「いえ、その、友だちが……」
「そうか、お見舞いに来たのか。
だけど病院の中は今、すごく危ないんだ。だから今日は帰りなさい」
「でも……」
帰りたくなかった。
確かにここにいて、どうなるわけじゃないけど――でも、出来ることがあるかもしれない。
「気持ちは分かるけど、ダメだよ。
お家はどこだい? 連絡してお母さんか誰か、呼んであげよう」
暇なのか、並外れて子供が好きなのか、警察の人が一生懸命相手をしてくれる。
「えっと、その、連絡って言われても……」
この場合、学院でいいんだろうか?
困っていると、後ろから声がかかった。