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Episode:52

「やれやれ、病人がいる場所だというのに何を走っているのやら」

「タシュア……」

 点滴をしている間よほどヒマだったのか、毒舌が増しているようだ。


「それよりともかく、状況を整理したほうが……」

「整理するほど、話がありませんよ」

 あっさりと切り返される。


 仕方なく、自分の頭の中で整理を始めた。

 今のところ分かっているのは、このフロアがどこかのテログループに占拠されて閉鎖されたこと、向こうの病棟の子供たちが人質にされて一ヶ所に集められていること……。

 確かに、整理するほど多くはなかった。それに問題も、はっきりしている。


 閉鎖されたのはこのフロア全部だが、犯人たちが『人質』として捉えているのは、小児病等の子供たちだけらしい。

 逆に言えばその他の患者は、下手に病室から出ない限り、危害が加えられることはないだろう。


「つまりは、あの子たちをどうやって守るか――か」

「そうなりますね」

 だが今のところ、この件については八方塞に近い。


「何かいい方法は……」

「ですから先ほど、言ったではありませんか」

「それはダメだっ!」


 またさっきの話を蒸し返されそうになって、つい言葉が強くなる。

――絶対に願い下げだ。

 スカートをはくだけで、勇気が要るというのに。


「え〜、やっぱダメですか」

 イマドが妙にがっかりしている。


「さっきから、言ってるだろう」

「――つまんねぇの。寝よ」

 結局この後輩が、ベッドへ上がりこんだ。


「イマド、少しは方法を……」

「けど、上級傭兵が2人もいるんですよ? 俺の出る幕なんてありませんって」

「それは……」

 こう言われてしまうと、返しようがない。

 困っているとタシュアが口を開いた。


「私は病人ですからね、人数から外していただかないと」

「……タシュア……」

 急に疲れてくる。


「まぁいいや。俺、寝ますね。長期戦になりそうだし」

 イマドが毛布をかぶった。

「まったく、傍若無人もここまでくると立派ですかね」

 自分のことは棚に上げて、タシュアがまた毒舌を吐く。


「だが確かに……長期戦に、なりそうだな……」

 犯人グループがすぐに行動を起こすとは思えないし、こちらも子供たちが人質にされている以上、手が出せない。


「なるでしょうね。

――シルファも少し、休んでおいてはどうです? 何かあるとすれば、夜中でしょうから」

「そうだな……」


 ふと窓の外を見ると、もう夕暮れの光が残るだけになっていた。

 いくら日が伸びてきたとはいえ、まだ夏ではないから、夜が訪れるのは意外に早い。

 長い、夜になりそうだった。





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