表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/121

Episode:50

「武装は――いえ、外部への連絡手段はどうなっていますか」

 さすがに兵装を訊きだすのは無理と思ったのか、タシュアが質問を途中で変える。

「連絡手段?

 院内用の通話石はナースステーションにあるけど、見張られてるから使えないわ」


「魔視鏡はどうです?」

「最初に、止められちゃったわよ」

 予想以上に相手に隙がない。

 さすがのタシュアも、少し考え込むようなそぶりをみせる。


「――犯人側から、なにか要求はありましたか?」

「これといってないけど……向こうの病棟で、チビちゃんたちをデイルームに集めてるわね」

「デイルーム?」

 耳なれない単語が出てきて、思わず聞き返す。


「あぁ、ごめんなさいね。各病棟にあるロビーみたいな場所を、そう言うのよ」

「あれか……」

 そう説明されれば、心当たりがあった。確かナースステーションから見渡せる窓際に、ソファや魔視鏡が置かれた、そんな場所があったはずだ。


「そこで、見張られているのですね?」

「今のところはね。

 ただ倉庫へ場所を移るって言ってて、向こうの病棟の看護士が、急いで中の物を運び出してるらしいわ」

 タシュアの表情が僅かに動く。


「倉庫はどのような構造です?」

「構造って言われても……ナースステーションの隣にある小部屋を、倉庫代わりにしてるだけよ」

 便利な場所だから、と主任は付け加えた。


「ナースステーションの隣と言うと、窓はありませんか……」

 この建物は外から見ると円柱だが、実際にはドーナツ型になっている。

 そして外側と、中の吹き抜けに面した窓のある部分が、病室や先ほどのデイルーム。内外の病室の間に中洲のように、ナースステーションや処置室が並ぶ配置だ。

 当然中洲にあたる部分は、窓はない。


「その倉庫の出入り口は、幾つありますか?」

「2つあるけど、使えるのはひとつだけよ」

 しまう物が多いために、ひとつは棚で塞いでしまったのだと言う。


「見張っている人数は、何人か分かりますか?」

 立て続けにタシュアが質問する。


「チビちゃんたちの見張りは、さっき見たときは3人いたわね」

「3人……」

 私たちは顔を見合わせた。


「タシュア、これはかなり……まずいんじゃないか?」

「悪知恵だけは一人前ということですか」

「けどマジ、その人数で中へ立てこもられたら、手も足も出ないですよ?」


 ひょいと会話に加わってきた、イマドの言うとおりだ。

 窓際のデイルームは壁もなく広々としているからどうにでもなるが、窓のない倉庫となると、扉を閉められたら終わりだ。例え他のテロリストを倒したとしても、中で子供たちが犠牲になってしまう。

 しかも3人もで見張っていては、扉を破って全員倒す前に、誰かが銃を乱射するだろう。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ