表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/121

Episode:46

 どうやっても信じられないけど、ことこういう事では「信じられないこと」がいちばんよくある。

 あたしは病院の建物を見上げた。

 もし本当にテロなら、どこかの病棟かフロアが占拠されて閉鎖されたはずだ。


 けど現場によくある話で、情報が手に入らない。

 かといって、ここを離れる気にはならなかった。


 何か――嫌な予感がする。

 仕方なく目立たないようにしてその辺りに立っていると、しばらくしてどこかの通信社が、取材を始めた。


『え〜、現場です。

 ここ、ケンディク西総合病院が、テロリストに占拠されたとの第一報があってから、20分弱が過ぎました。

 現在こちらでは――』


――やっぱり。

 どうしてこのケンディクで、こんな話になったのかは分からないけど、嫌な予感は当たっていた。

 もう一度建物を見上げる。


――イマドと先輩たち、どうしただろう?

 みんな学院生だし、もう外へ出て来てるとは思うけど……。

 報道はまだ続いていた。


『犯人グループは、占拠したフロア以外から全員退去するよう命令しており、従わない場合は病院を爆破すると宣言しています。

 そのため現在こちらでは、閉鎖された7階以外のフロアからの避難が続いて――』

「なっ、7階?!」


 血の気が引くのがわかった。7階は――みんながいた場所だ。

 もう何も考える間もなく、病院の入り口へと向かう。

「こらっ、キミ、入っちゃダメだっ!」

 入ろうとしたあたしを、警官が止めた。


「でも、中に、友だちが――!!」

「気持ちは分かるが、ダメだ。ここは私たちに任せて、向こうへ行きなさい」

「けどっ!」


 どうにも埒があかない。

 気が焦る。

 中には、イマドが――!



◇Sylpha

 ルーフェイアと別れて病室へ戻ると、ちゃんとタシュアの姿があった。

「すまない、遅くなった」

「お帰りなさい。

――シルファ、ルーフェイアはどうしました?」

 目ざとく気づいて、尋ねてくる。


「それが、イマドに頼まれた飲み物を、買い忘れたと――」

「なるほど」

 だがそれで納得したのだろう。それ以上は訊いてこなかった。


 それから、気づく。

 当のイマドの姿が見えなかった。

「ところで、イマドは――?」


 あの後輩が、ルーフェイアを置いてどこかへ行くとは考え難い。

 しかし、タシュアの答えは想像以上だった。

「そこのベッドで寝ていますよ」

 驚いて見ると確かに彼の言うとおり、イマドは気持ちよさそうに隣のベッドで寝ている。


「こんなとことろで……」

「私も呆れました」

 さすがのタシュアも、完全に呆れ口調だ。

 私も、こんな話は聞いたことがない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ