表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/121

Episode;33

「どっかで食いモンでも、買ってくっかな」

 なんとなく言う。

「また、食べるの……?」

 聞いたルーフェイアのやつが、目を丸くしやがった。


「しょうがねぇだろ、腹減るんだから」

「――私も行きますかね」

「タシュアっ!!」

 起きてどうにか出てこうとした、タシュア先輩に声が飛んで、またベッドの中へ逆戻りだ。


「なんでそう、抜け出そうとするんだ!」

「ですから、最初から必要ないと言っていますが?」

「そんなワケないだろう!」

 ず〜っとこの調子だし。


「タシュアが抜け出さないなら、ちゃんと私が買ってくる」

「私がいつ、抜け出すと言いました」

 けっこう聞いてると面白ぇかも。


「今、抜け出そうとしたじゃないか!」

「買いに行こうとしただけです」

 ほとんど夫婦喧嘩だ。

 そこへルーフェイアのヤツが、おそるおそるって調子で割って入った。


「あの、でしたら……あたしが、買いに行きますけど……」

「遠慮します」

 間髪入れずにタシュア先輩が断る。


――気持ちは分かっけどな。

 なにせルーフェイアときた日にゃ、ウソみてぇな食べ物音痴だ。


「だから、抜け出さないなら私が行くと、言ってるじゃないか」

「分かりました、抜け出しませんよ。約束します」

 結局腹が減った――この食欲でホントに熱あるのか?――のに勝てなかったらしくて、タシュア先輩が根負けした。

 で、シルファ先輩の態度が一変する。


「そうか、そうしたら――何がいいんだ♪」

 妙に嬉しそうだ。

 タシュア先輩もおんなじことを思ったらしい。


「シルファ、何がそんなに嬉しいのです?」

「そ、そんなことは、ないぞ」

 黒髪の先輩が慌てて言い繕った。


――まぁ、世話やくのが嬉しいんだろな。

 世話やく機会に事欠かねぇルーフェイアと違って、タシュア先輩じゃそゆことはゼロに近い。


「――やれやれ。

 そうですね、そうしたら……食べるものを少々と、暇つぶしになるような本をお願いできますか?」

「分かった♪」

 いそいそとバッグを持って出てこうっつーシルファ先輩、やっぱ嬉しそうだ。

 それからふと、立ち止まった。


「ルーフェイア、一緒に来るか?」

「――? あ、はい♪」

 一瞬だけきょとんとしてから、ルーフェイアのやつがにこにこ後ろにくっつく。


「ここにいると、またタシュアにいじめられるだろう?」

「え、そんなこと……」

「私がいつ、いじめましたか」

「いつも、泣かせるじゃないか」

 どうもシルファ先輩、さっきからの騒ぎでついた勢いがまだ残ってるらしい。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ