Episode:28
「あ、すげぇ……」
「これは行きましたかね?」
「――??」
若干1名分かっていないようだが、理想的なコースだ。振り向いたシルファも、満足げな笑みを浮かべている。
それからすぐ、軽快な音と共にすべての魔法球が弾けた。
「あ、先輩、すごい……♪」
ルーフェイアもようやく理解したようだ。
(この程度はさすがに、知っているわけですか)
そう思ってこの少女を見ていたのも束の間。
「先輩……もう1回、投げないんですか?」
これには訊かれたシルファのほうが、唖然としている。
「ぜんぶ壊した時は……もう1回は、投げないぞ?」
「え? あれ……?」
どうも何かと勘違いしているらしい。
「ルーフェイア、本当にキエーグをしたことがあるのですか?」
「すみません……」
「質問に答えていませんよ」
「えっと、あの……」
話が進まない。
「ともかく、やったことはあるんだろう? ほら、投げたらどうだ」
いじめている途中で、シルファが攫っていった。
この子にボールを持たせて、投球ゾーンへ送り出す。
「まっすぐ投げれば、大丈夫だ」
「まっすぐ、ですか……?」
ルーフェイアが少し考えて、投球動作に入った。
(――おや?)
意外に綺麗だ。生と死が交錯する場所で育ったゆえか、自分の身体を扱うことには長けているのだろう。
――もっとも水に入ると、まともに動けないのだが。
そんなことを思いながら見ているうちに少女の手からボールが離れ、軽く飛んで行った。
「なんてやつだよ……」
イマドが呆れる。
それもそのはず、ルーフェイアの投げたボールは、ほぼ完全に真っ直ぐなのだ。計れば多少の差はあるのだろうが、左右に曲がることがない。
結局そのまま魔法球へ突っ込んで中央を抜け、ボールが軽いせいもあって、右に1つと左に4つ残す結果になった。
「驚いたな……」
見ていたシルファも、どこか呆れた声になる。
「え、でも、先輩真っ直ぐって……」
「だが、こうまで真っ直というのも……」
「ですけど……」
当人は言われたとおりにしただけらしい。
「――お前さ、こゆふに真っ直ぐに投げんのって、かえって難しいんだぜ?」
「そうなの?」
これで出来るのだから、たいしたものだ。
「にしても、これじゃ全部壊すのはムリだな。
んと、そうしたら――この辺からあっち向かって、真っ直ぐ投げてみ」
「わかった」
こっくりとうなずいて、この少女が再度投球ゾーンへ出る。
それからまた、なめらかにボールを投げた。