Episode:13
「……カード一家なのか」
「いや、その姉貴と下の姉貴と叔母さんと上の姉貴のダンナだけですよ、めちゃくちゃプレイするのは」
「それなら十分一家総出でしょう」
「そですか?」
みんな住んでる家はばらばらだから、あんまピンとこない。
「イマドもカードするの?」
隣で話を聞いてたルーフェイアが、不思議そうに尋ねてきた。
――ってそういや、こいつの前でやったこと、なかったっけ。
「一応やるぜ。ただ俺反則に強ぇから、普段やらねぇけど」
「ふぅん……」
テキトーな説明に、こいつもシルファ先輩も別段異議は唱えなかった。
けど、そうじゃなかったのが約1名。
「おやおや、ずいぶんな自信ですね」
「別にそゆんじゃないんですけど」
俺の場合は妙な能力があるおかげで、周りの考えてることが耳に飛びこんできたりする。
で、これがカードやってる最中に聞こえた日にゃ――やっぱ反則だろう。
「ねぇイマド……そうしたら今度、やろう?」
俺がカードやるって聞いて、嬉しくなったんだろう。ルーフェイアのヤツが無邪気に言ってきた。
「んー、お前じゃ相手になんねぇからなぁ」
「え、でも……」
カードにはそこそこ自信があるからこいつ、意外そうな表情だ。
「ダメなの……?」
「うーん、なんつーか……おまえ、筒抜けだから」
「――あ」
この一言で、こいつも俺が渋る理由に気が付く。
ルーフェイアはこの手の能力に関しては、持ってないくせにかなり詳しい。なんでも親父以外の血縁が、殆ど全部そうだって話だった。
なのにどゆわけか、こいつは心をガードするってことがない。
なんか常時ガードかけてるタシュア先輩と違って、ルーフェイアはいつも無邪気に、あけっぴろげたままだ。
――たいしたもんだよな。
「読まれて困ること、ないから」ってのが言い分だったけど、掛け値ナシでマジだったらしい。
ガキっつやぁガキなんだろうけど、ここまで他人を信じられれば十分立派だ。
「ともかく、フェアじゃねぇだろ?」
「――そうだね、わかった」
理由が理由なだけに、こいつがまたあっさり納得する。
「どしてもやるってんなら、トレードなしで練習な」
「うん」
これなら、丁度いいくらいの相手になるはずだ。
「まったく、どこまで甘やかせば気が済むのです」
「だから、そゆんじゃないんですってば」
もっともこの先輩の場合、説明しても信じるかどうか。
だいいちそれ以前に、うっかり話して弱みでも握られた日にゃ、目もあてらんない事態になる。
けど幸い、それ以上先輩は訊いてこなかった。単純に突っ込んだだけで、別段興味はなかったってやつなんだろう。
「仔竜のカードが、こうなってるとは思いませんでしたね」
すっかり興味は向こうの方だ。
「私も、探してみるか……」
こっちはこっちで気に入ったらしくて、シルファ先輩がそんなことを言いだした。
「んじゃそれ、あげましょうか?」
「――イマド!」
間髪入れずに隣から抗議の声が上がる。