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至高の日常 ルーフェイア・シリーズ10  作者: こっこ
Chapter:12 そしてまた日常
118/121

Episode:118

◇Rufeir

 ふと、目がさめた。

 部屋の明かりが目に刺さる。

 見覚えのない部屋。見覚えのないベッド。自分がどこにいるのか、まったくわからない


 眠る前に何をしていたのか思い出そうとしたけど、上手くいかなかった。ひどく疲れていて、ぼんやりしてる。

「目が覚めましたか?」

 男の人の声が聞こえた。


――誰、だろう?


 頭の中に靄がかかったみたいで、はっきりしない。ただなんとなく、起きなきゃいけないと思った。

 ちょうど横向きだったから、そのまま手をついて起き上がろうとする。

 でも、身体がとても重くて……。


「――きゃぁっ!」

 受身を取る暇もなくベッドから落ちて、毛布と一緒に床に叩き付けられた。


「痛っ……」

「まったく、何をやっているのです」

 また男の人の声が聞こえて、顔を巡らす。


「タシュア、先輩……?」

 けど先輩、どうしてこんなところにいるんだろう。

 それに何より、ここはどこなんだろう……。


「ルーフェイア、いつまで床に寝ているつもりですか」

「す、すみません……」

 慌てて起き上がろうとする。


「……え?」

 何度やっても同じだった。腕に力が入らなくて、身体が起こせない。

「うそ……」


 言うことを聞かない身体に戸惑いながら、必死に力を込めた。何度も繰り返して、ようやく両手をついて上半身を起こす。

 息がかなり荒くなっていた。


――どうしちゃったんだろう?


 しかも、どうやっても立ち上がれない。

 ベッドにすがろうとも思ったけど、両手をついてないと身体が支えきれなくて、結局そのままの姿勢で動けなくなってしまった。


「何がしたいのか知りませんが、その調子では夜が明けますよ」

 よほど情けなく見えるんだろう。先輩にそんなふうに言われてしまう。


「ごめんなさい……」

「謝るより、立ったほうがいいと思いますがね」

 だけどやっぱり動けない。どれほど力を入れてみても、体勢を変えることさえできなかった。


「ごめんなさい、ごめんなさい……」

「謝れなどと、誰も言っていませんよ」

「ごめんなさいっ!」

 どうしていいか分からなくなる。

 ともかくもう一度、慌てながら立ち上がろうとして……。


「きゃっ――」

 また、体勢を崩した。しかも今度は毛布まで絡まって、身動きができなくなる。

 涙がこぼれた。

 ベッドの上には呼び鈴のボタンがあるのに、それにさえ手が届かない。

 あたし、いったい……。


「――やれやれ」

 声がして、抱き上げられた。

「先輩……?」

 毛布と一緒にベッドの上へ降ろされる。





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