第3話 能力
ハンスさんが部屋を出て数秒、俺たちは黙り込んでしまった。それは気まずいとかの類いではなく、ただシンプルにこの状況を把握しきっていないためだ。そんな空気に耐えきれなかったのか、季咲が口を開く。
「ねえ誠?その、色々大丈夫?私は誠より先に起きたから状況は分かっているんだけど、ひとつ確認してもいい?」
季咲がそう尋ねる。俺は首を縦に振り承諾の意を示す。
「昨日、誠もあの夢を見たよね?私たちが死んだとか、そんな内容の夢」
「ああ。もしかして季咲も見たのか?」
「ええ、まあ。大事なのはそこじゃなくてね?またパニックになるかもしれないけど、聞いてくれる?」
「ああ。少しでももらえる情報があるならもらっておきたい」
「あれ、実は夢じゃなかったんだよ。根拠もあるわ。おまたせ入ってきて!」
季咲がそうドアに向かって叫ぶとゆっくりとドアが開き一人の少女が入室してくる。
短いクリーム色の髪に双方違う色をした目、、右目が赤色で左目が青色をした人形のような少女だった。
その少女は俺の近くまで歩みより青色の目を閉じていい放つ。
「久しぶりじゃのう少年よ。こっちの世界にはなれたか?」
「あの…すみませんがどちら様で?」
「もう忘れてしまったか…悲しいのう少年よ。ワシじゃよワシ。昨日お前たちをこの世界に送り込んだ神じゃよ」
「俺たちをこの世界に送り込んだのはもっとよぼよぼなじいさんだったぞ?少なくともアンタみたいなロリっ子ではなかったぞ」
「あれは神であるときの姿じゃよ。地上に降りれば可憐な乙女に変身じゃ!どうじゃ?すごいじゃろ!」
俺はもう驚かない。恐らくこの事態に納得をしてしまっているのだろう。それに慌ててなにか聞き落とす方が今は避けるべき事だ。俺は神の言うことにうなずきつつ、会話を続ける。
「それではお主ら、早速能力をためしに行くぞ!ワシ直々にお主らに授けた能力じゃ。期待しているがいいぞ!」
そう言うと神は俺たちを連れトレーニングルームに向かう。その道中、神は思い出したように俺たちに言う
「そういえば、自己紹介がまだじゃったのう。ワシはココロという名じゃ。矛盾を司り矛盾を嫌う矛盾の神じゃ。覚えておくがよい」
「じゃあさ、ココロはずっと地上にいるのか?」
「それについてなんじゃが、お主らが任務を果たすまでは地上にいる。しかしずっとこの姿じゃと疲れるからのう。用がないときはお主の体で休憩しとるわ。」
「勝手に人の体乗っ取ろうとしてんじゃねーよ!」
「大丈夫じゃ。ちょいと借りるだけで人体に影響は出んよ。」
そんなやり取りをしながらトレーニングルームに入る。中は貸しきりで誰もいなかった。
「さあお主たち、そこに立ってみろ。」
ココロの指示通りその場に立つと、レッスンが始まる。
「まずはマコト、お主からじゃ。まずは『消失板』の使い方じゃ。左手を前に出し、イメージするんじゃ。」
俺は言われた通りに右手を前に出し、イメージすると目の前に透明の板が出現する。
「わー!すごいわ誠!私なんか一回じゃ出来なかったのに!」
「うむ。良くできておる。その消失板は自分の意思以外では絶対に割れない。最強の盾なのじゃ。
次のステップに参るぞ。次は『反射板』の使い方じゃ。さっきと逆の手で同じようにやってみるのじゃ」
さっきと同じイメージでやるとさっきとは違い、少し黒がかった板が出現する。
「これもやってのけるとは…お主中々素質があるのう。他にも重力魔法や攻撃魔法があるが、その場合は両手をかざすのじゃ。おっといい忘れておった。消失板は物理攻撃を、反射板は魔法しか防ぐ事が出来ないから覚えておくのじゃぞ。」
俺は首を縦に振る。それにしても矛盾の盾か…良くできている。
俺はこのあとに始まる試験をどこか楽しみにしながら、レッスンを続けた。
なんか色々混ざりすぎて頭がパンパンなえまです。
とくに書くことがないので恒例のあれを(笑)
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