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第2話  目覚め

俺は季咲と出掛けた日の夜、ある夢をみた。


俺と季咲が見知らぬ空間に立ちすくんでいる。状況も分からずに、ただある一点をを俺たちは見つめていた。その視点の先にはあぐらをかきながらこちらを見据える巨大な男だ。

その巨人はこちらの姿を確認すると咳払いをし、こう言い放つ。


「お前たち二人は先程死んだ。そこで死んだお前たちに提案がある。お前たちで言う『異世界』に行ってもらい、七つある種族を統一し、矛盾のない世の中を作ってもらう。少年には『全てのものを防ぎ、絶対に貫かれる事のない盾』を、そこの女には『貫けないものはない槍』を授ける。報酬は『真実』だ」

 俺は言っている意味が分からずにその場で立ちすくんでいた。

季咲も同様に状況を理解していないのか、口を開いて目をパチパチさせている。しばらくして、一向に話を進めようとしない俺たちに嫌気が差したのか、再び口を開く。

「お前たちは死んだのだ。しかし貴様らには素質がある。両者とも、高い知能と運動能力が備わっている。そして都合のいいことにお前たちはワシの加護の適合者でもある。少年は広い包容力、それに付け加え、決して砕けない心の持ち主だ。そこの女は鋭く尖った信念。ワシの加護は『矛盾』言わば、絶対無敵の槍と盾だ。お主らにワシの力を託す。詳しいことはいずれわかる。目を覚ましたらまず、お主らのもとに置いてあるステータス表を見るのじゃぞ」

 俺たちには反論の余地もなく、会話が終わる。

なんだか不思議な夢を見てしまった。そう思いながら俺は目を覚ます。いつもと違う天井にやけに寝心地の良いベッド。そんないつもと違う風景に慌てて体を起こす。予想はしていたが、ここは俺の部屋じゃない。もちろん俺の家にこんな部屋はない。辺りを見回すと、豪華なソファーに大きな机。まるで貴族の屋敷かのようだった。そんなあるはずのない場所に驚愕していると、隣で聞きなれた声がした。

「おはよう誠。その、何て言えば良いのか分からないけど、とりあえず私たちは『死んでしまった』らしいの。」

 季咲はそう小声で言いきると首をかしげながら親指を立てた。

おそらく確認を取ってきているのだろう。しかし、気になる点が多すぎて、何もオッケーではない。

「ちょっと待ってくれ、ここはどこだ?死んでしまったってどういう意味だ?それに…」

 俺は自分の両手に視線を落とす。右手には何かが、壁から跳ね返っているような紋章。左手には何かが壁に当たって砕け散っているかのような紋章。よく見ると季咲の手にも似たような紋章があった。右手の甲に槍と思われるものが何かを貫いている紋章が刻まれていた。俺は季咲に答えを求めるが、季咲は首を横に振り、答えようとはしない。すると、聞いた事のない大人の声がする。

「それらについては、私から説明させていただきます。自己紹介が遅れましたが、私ハンス ヘルサイトと申します。皆は私をハンスと呼びます。お二人ともも、そう呼んでくださって結構です。」 

 そう丁寧に自己紹介をされ、ペコリと頭を下げる。これは流れ的に俺も自己紹介をすべきかと口を開こうとすると

「自己紹介は結構です。モリヤ マコト様ですね?勝手ながら、貴方のステータス表を拝見させていただきました。」

 すてーたすひょう?それってあれか?小説とかでたまに見るあの

ステータス表の事か?だとしたら、俺は今、異世界転生した…ということか?だとしたら昨日の夢は夢じゃないということか?

俺は隣にあった紙切れを拾い、内容を確認する。

『モリヤ マコト


基本ステータス


知力    S


身体能力  S


魔力   S


得意魔法 障壁魔法 ステージ5』


これがステータス表なのだろうか?そしてこれが俺のステータスなのだろうか?だとしたらイカれてる。しかも俺は生まれて一度も魔法を使ったことはない。それなのに得意魔法が掲示されているのに疑問を抱く。もしかするとこの紋章とカンケイガあるのかもしれない。


「あの~すみません。これってその…なんなんですか?」

そう聞かずには居られなかった。頭の中がパンパンだ。少しでも整理をしたいが情報が無さすぎる。ここはおとなしくこのじいさんの言うことでも聞いておこう。


「ですからそれは、貴方のステータスです。季咲様と同じでどこを取っても文句なし。双方とも非常に素晴らしいステータスです。」

 俺はそれを聞くと、季咲から俺と同じ紙を受け取った。


『キソウ キサキ


基本ステータス


知力   S


身体能力 S


魔力   S


得意魔法 錬金術 ステージ5』


俺と似たような内容が記されていた。先ほどから気にしていた疑問その1を口に出す


「なあ、ハンスさん。この知力とかのSって何番目に高いとかありますか?」


「はい。ランクは全部で五段階ありまして、下からD、C、B、A、Sとなっております。そしてそれとは別に得意魔法がありますよね?

それも五段階に別れておりステージ5が最高となっています。」

 

心の中で納得し、一番の疑問を問いかける。


「ここはどこなんですか?あと、どうして俺たちはこんな所にいるんですか?」


「ここは、我らが、国家防衛団。通称プロテクトサービスの本部です。私はレベル9あるうちのレベル7のリーダーです。そしてあなた達は野道に倒れていらしたので、私がここまで連れて帰りました」


「そうだったんですか。ありがとうございます。それにしてもレベル7なんてすごいんですね。」


「いやいや、私ごとき老人よりも、あなた方の方が、よほど優秀でございます。そこでどうでしょう?あなた方二人の実力を持ってすれば、プロテクトサービスの入隊なんて容易いものですよ?」


 さすがにそこまでは考えてはいなかった。俺たちが野道に倒れていたと言うのも恐らく本当なのだろう。しかし、プロテクトサービスについて何も知らないのに恩返しのつもりだけで入隊なんて、したくもない。俺が一番驚いているのが、すでにこの世界を受け入れていることだ。こんな常識外れな展開に付いていっている自分に素直に驚いた。恐らく昨日に起きたことが原因なのだろう。


「ちなみにプロテクトサービスって何をしているんですか?」


「そうですね、基本的には町中に湧くモンスターの討伐と護衛ですね。どうですか?試験を受けてみませんか?」


 やけに乗り気なハンスさんを横目に季咲を見やる。さっきからずっと落ち着いていて、まるで一度聞いた話をもう一度聞いたかのようだった。


「私は良いと思うけど?『例の依頼』も果たせるし、楽しそうだし、生活費稼がなきゃいけないし。」


「なんだか冷静だな季咲はさ。俺はまだなんのこっちゃ分からないのに。」


「習うより慣れろよ誠。とりあえず、合格すれば屋敷を提供してくれるみたいだし、この世界のことを学ばなきゃ」


「まあ、そうだよな。ハンスさん、俺たち試験を受けます」


 そう告げると彼は笑顔で対応してくれた。


「それでは二時間後にお呼びに来ますので、隣のトレーニングルームで肩慣らしをしておいて下さい。」


そう言い残し、ハンスさんは部屋を後にした。

いやはや1話の最後、主人公の一人称が『ぼく』になってしまっていました。すみません。どうもえまです。第2話を投稿するにあたり、たくさんの苦労がありました。ワイヤレスキーボードの電源切り忘れで原稿を破壊したり、誠と季咲のステータス表示を工夫したりと、中々に大変でした(((^_^;)

遅れましたが第2話御視聴ありがとうございます。

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