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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第7章 冬休みの終わり

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第96話 僕より強い奴

 俺が自分の部屋で馴染みのWebページを見ていると、ふっと部屋の風が動いた。


「お風呂、入らないのかい。」

 開いた窓から奈津季さんが覗いている。


「いつでも入れますしね。」

「どうせなら一緒に入ろうぜ。」


 口調は男だけど実際は先輩で女子なんだよな。


「というかずっと一人で入っていて飽きちゃってな。でも風呂は好きだし話し相手が欲しいかなって訳だ。」


 でも風呂に男を誘うのはいいのだろうか。

 しかも1対1だし。


「細かい事は気にすんなよ。どうせ裸なんてネットでいくらでも見れるだろ。」


 実物と画面越しではダメージも随分違うと思うのだが。

 まあこのまま窓からチラ見え状態で誘われるのも何だし、本人が気にしないなら入ってしまうのも一案かな。

 そう俺は観念して、服を脱ぎだす。


 

 軽く身体を洗っていつものぬる湯に浸かる。


「よくそこに入っているけれど、熱いの苦手なのかい。」

「ま、体温低いですしね。」


 俺にとっての風呂の適温は40度前後だ。

 なお香緒里ちゃんは43度位、由香里姉は42度らしい。

 一応メインの浴槽は42度になるように設定しているし、香緒里ちゃん愛用の樽風呂は45度くらいまで調節できるようになっている。


「そっか、風遊美と同じだな。奴も体温低いからぬるめがいいって言っていたし。」


 風遊美とは次期会長の鷺沼さんの事だ。


「そう言えば最初にここに来た日、修、風遊美と結構ここで喋ってたよな。」

「そう言えばそうだったかな。」


 俺はすぐには思い出せない。

 何せあの日は色々あったような気がしたから。


「そっか。ならいいんだけどな。」


 何か歯切れが悪い言い方だ。

 何だろう。


「実はな、風遊美は前から意識していた相手なんだ。

 意識と言っても恋とかそういう意味じゃなくてな、純粋に魔法を使った戦闘力でな。」


 奈津季さんの話は俺にとって少し意外だった。


「でも風遊美さんって補助魔法科ですよね。基本的には治癒とか探知とかそっちが専門なんじゃないですか。」

「本人が治癒魔法メインと言っていても、他の魔法も使えるなんて事は良くあることだろ。

 魔力が多い連中は往々にして複数の属性の魔法が使えるし、僕だって複数の魔法が使える。

 どれが専門かなんて自分で言っているだけだ。違うか。」


 それは確かにそうかもしれない。

 由香里姉も香緒里ちゃんも、少なくとも接触すれば相手と念じるだけで会話したり夢を操ったり出来る訳だし。


「僕は魔法に関しては、相手がどれくらい強いのか直感的に怖さで感じるんだ。

 例えば由香里さん、彼女は怖い。

 でも結果的には同じ位強いだろう翠さんはそこまで怖くはない。

 翠さんのはあくまで魔力と武器と運動能力を使った総合力としての強さだから。

 由香里さんの魔法の力だけで圧倒する力とは根本的に違う。


 僕自身の強さも翠さんと同じさ。

 応用性で何とか攻撃魔法科3年最強の座は保っているけれど、単体の魔法使いとしてはそれほど怖くはない。そして今の3年生以下の攻撃魔法科にはそんなに怖いのはいない。


 でも、他の科にはいる。2人もさ。

 まさか一緒に学生会をやることになるとは思わなかったけどな。」


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