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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第7章 冬休みの終わり

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第94話 最初の予定はまったりと

 1月4日木曜日。

 俺は例の工房で久々の完全な自由を謳歌していた。


 島へは昨日の飛行機で帰ってきた。

 冬休みは1月9日まで。

 薊野姉妹が島へ戻るのは8日の飛行機の予定。

 ジェニーもそれくらいの予定。


 つまりマンションは俺の天下だ。

 でも俺一人でマンションにこもっていてもしょうがない。

 そして今、俺にはやることがあった。


 冬休み明けに提出の課題、全自動草刈り機の制作だ。

 既にほぼ完成している。

 後は試用してみるだけ。


 俺はゴート君1号と名付けた試作品を校庭へと持ち出す。

 校庭の南東には岩場があり不整地での草刈り条件を調べるのにちょうどいい、

 刈り取るべき草も南国の島だけに年中不足しないし。


 

 あたりもすっかり暗くなった頃。

 全自動草刈り機『ゴート君1号』の仕上がりに満足して工房から帰る途中。

 俺は校門のところで不意に呼び止められた。


「おーい、修君。」

「奈津季さん、お久しぶりです。」


 次期学生会副会長、宮崎台奈津季さんだ。

 あの風呂の後色々とあって、全員下の名前で呼び合おうという事になった。

 でも慣れている由香里姉や香緒里ちゃんと違って、年上の異性先輩を名前で呼ぶのはどうも何か恥ずかしい。


「どうしたんだい、学校まだ休みなのに。」

「冬休み明け提出の課題の制作で。奈津季さんは。」

「軽く魔法の練習。帰る田舎も無いし暇だからね。」


 そう言えばこの人の実家はうちのマンションの8階だった。


「今日これからどうするの。」

「ハツネスーパーで飯買って帰ろうかと。」

「何なら飯くらいは作ってやろうか。」


 お、願ってもみないお誘いだ。


 俺は料理が得意ではない。

 舌が間違っている薊野姉妹とパスタしか作らないジェニーと暮らしている為晩飯はほぼ俺が作っているが、あまり評価は高くない。

 だから上手な人の料理を一度見て参考にしたいと思っていたのだ。


「お願いします。できればついでに料理を教えてください。」

「その代わり例のアレ、使えるんだろう。」


 奈津季さんの言うアレとは露天風呂のことだ。

 何せ昨年も俺達が島を離れる直前まで入りに来ていた。


「昨日メンテナンスしたんで大丈夫ですよ。」

「よし決まりだ。スーパーで買い出しして帰ろう。ただし材料費は出せよ。親と同居だと小遣いが厳しくてな。」

「大丈夫です。」


 何せ4人分なので1日1人500円朝食込みでも毎週結構余りが出る。

 それに俺の小遣いもそこそこ余裕がある。


「よし、じゃあ買い込むよ。」


 ……そう意気込まれると若干不安になるけれど。



 離島でかつ農業従事者がいない魔法特区はスーパーの品揃えも本土とは大分異なる。

 まず生鮮品があまりない。

 メインは冷凍食品と缶詰。

 あとは乾物とか粉末とか。


 その割にお惣菜コーナーが充実しているのが不思議だが、これは単身赴任者が多いからだろう。


 奈津季さんは冷凍野菜を数種類カートの中に放り込む。

 他には冷凍の肉もキログラム単位で。


「スパイスとか調味料とかは揃っている?」

「醤油と味噌と砂糖位なら。」


 色々な葉っぱやら香辛料も放り込む。


 お会計は久々の五千円超え。

 まあ色々大量に買ったから当然だし、これ位は俺の小遣いでなんとかなる範囲だが。

 買い物袋をぶら下げて同じマンションへと帰宅。


「僕は一度家に寄ってから行くから先に行って冷蔵庫にこいつらを入れておいて。」


 との事なので、俺は重い買い物袋3袋をぶら下げて10階の我が家に帰宅する。


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