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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第6章 新役員がやってきた

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第93話 事後写真は誰のため

「あっ。」


 由香里さんが小さく声をあげる。


「くっ、これがこの前の朝風呂の真相ね。」

「私は念のため夜用ナプキンを付けてきましたから。」


 香緒里ちゃんは涼しい顔でそう告げる。

 おいそれ俺の前で言っていい台詞か。


 ちなみに俺も無事なようだ。

 昨晩思わぬ事故でトイレに行ったおかげらしい。


「くっ、修動かないで目を閉じていて。」


 由香里姉が起き上がる気配。

 布団が動くと同時にちょっと酸っぱいような俺のじゃない臭いがする。


 あ、やばいこの臭いエロい。

 何とかそれに耐えていると。


「もう大丈夫よ。」


 というので俺も起き上がる。

 香緒里ちゃんも俺の手を離す。


 と、リビングの方で何やら歓声があがった。

 何だろう。


 俺達3人は部屋を出る。

 大画面液晶テレビに群がって何かを見ていた5人が俺達の方を見る。


「昨晩ハオ楽シミデシタネ。」


 わざとらしい言い方で鈴懸台先輩。


 何だ何だと思って俺達が見た液晶テレビに写っていたのは、ベッドで俺を中心に両脇でVサインをしている薊野姉妹。

 寝衣は乱れているし俺はいかにも眠そうだし薊野姉妹は寝起きのトロンとした表情でVサインしているし、これはどう見ても。


「事後写真だよなこれ、絶対。」

「ずるいれすユカリさんもカオリさんもずるいれす。私も一緒に楽しみたかったれす。」

「これが学校で公開されたら大騒ぎですわね。ユカリもカオリちゃんも隠れファン多いみたいですし。」

「ファンというか、教授会が招集されてしまいますね。」


 皆の感想の後に、由香里姉の低い声。


「宮崎台さん、あなたの仕業ね。」


 不意に気温が急激に下がる。

 例によってダイヤモンドダストも舞っている。


「い、いや朝風呂入っていて何となく覗いたらいい感じだったんでさ。ついつい家に帰って親父のデジタル一眼借りて来ちゃった。でも思った以上の出来栄えだった、ついやってしまった今は反省している。」


 由香里姉は無言で液晶テレビに接続されたデジタル一眼を奪う。

 中の媒体だけ出してカメラ本体を宮崎台さんにほいっと返して自分の部屋へ。


 由香里姉がドアを閉めて完全に見えなくなってから、一気に皆話し始める。


「今の怒っているよな絶対。」

「でも本当に怒っているなら、ユカリなら媒体ごとカメラを冷凍破壊位はしますわ。」

「そうだよな。ちょっと今の怒り方はユカリとしては不自然だよな。」

「それにしてもカオリさん、本当に何も間違いなかったのれすか。」

「一緒に手を繋いで寝ていただけです。」


 確かに現実では手を繋いで寝ていただけだ。

 夢で何をしていたかは別問題だが。


「まあ何れにせよ、今の写真はやっぱりまずいですわ。」

「わかっているって。つい出来心で撮ってみたら思った以上の出来だったから。」


 そんな中、由香里姉が部屋から戻ってくる。


「削除ソフトを使って復元不可能な状態で消去したわ。もうこんな事しないで下さいね。」

「はーい。」


 怪しい返事で宮崎台さんは媒体を受取り、カメラに仕舞う。


「それれは、朝ごはんはパスタでいいれすね。」


 ジェニーが台所へと向かう。

 最近の朝ごはんはスパゲティかラーメンが多い。

 主に朝食はパスタファリアンのジェニーが作るから。


 

 後日、俺は偶然にあの写真を発見してしまった。

 由香里姉の私用パソコンのデスクトップに、寝ぼけ顔の俺と同じく寝ぼけ顔の薊野姉妹がピースをしている写真。

 実はあの写真気に入っていたんだな、由香里姉。

新役員顔見世編、終了です。

お読みいただき有難うございました。

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