第7話 改良点も色々と
「後ろはどうだ。大丈夫か。」
「楽しいです。でももう少し加速が欲しいかな。液体窒素のタンクを増やして噴射圧力も増やせばいいかもです。」
確かに空中だと時速20キロは遅く感じる。
ほぼ学校の敷地を一周して元の場所の上空に戻った。
「それじゃ試験飛行終わり、降りるぞ。」
「うーん、つまらないけれどしょうがないかな。」
試作品は順調に下りていく。
地上3メートルで下降速度が自動で落ちる。
ここも設計通り。
二千円の超音波センサーは高かったのだがいい仕事をしている。
ほとんどショック無く着地に成功。
「すぐには降りるなよ。空飛ばれちゃうから。」
俺は緊急開放スイッチを押す。
リレー仕掛けで前部と後部の浮力用スペースの横が開放。
重りに使っていた水を含ませた砂袋がドサドサと落ちる。
試作品一号はようやく地上で落ち着いた。
「うーん、課題的にはこれで完成なのですが、ちょっとこの辺も改良したいですね。」
あ、俺の病気が伝染ったような事を香緒里ちゃんが言っている。
「発着の手間の簡素化と窒素タンクと噴射口の増量、それでいいか。」
「あと、二人乗りをしやすくして欲しいです。あとデザインも。ここまで色々付けるなら自転車よりもスクーターやバイク改造のほうが多分格好いいです。重さはパーツごとに魔法をかければ無視できるです。」
色々注文が入る。
「うーん、でもバイクやスクーターだと筐体となる物が高価だしね。自転車みたいにただで廃品置き場から拾うわけにも行かないだろうし。確かにその方が強度的にもスタイル的にも無理がないと思うけれど。」
「それ位は私がなんとかします。明日から作成に私も付き合うのです。今週で完成させますよ。課題提出の前にまた乗りたいですから。」
まずい、俺もやる気になってきた。
「ちょっと用が出来たので失礼します。筐体は明日の夕方までには準備するので楽しみにして欲しいです。」
この狭い島の何処にそんな手頃な安いバイクやスクーターがあるのだろう。
そして何故それを島に来たばかりの香緒里ちゃんが知っているのだろう。
そのあたりは分からない。
でも取り敢えず彼女のその言葉に期待するとして、俺は片付けを始めることにした。
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