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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第5章 新しい日常

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第81話 翔べる脚(2)

「でも義足を付けて試しに歩いてみた時。

 ふとワタシはこの義足で試してみたいことを思いつきますた。


 ワタシは車椅子を先生のところに預けたまま、ある場所に向かいました。

 途中家に寄ってある物を取り出して。


 向かったのは家の近くにあった練習用のバスケのゴールスタンドれす。

 もちろん義足は使い始めたばかりなのれ、体重移動によるオートで歩いてれす。

 細かい動きも全く出来なかったのれ義足のオートバランスに頼ってれす。


 でもとにかく事故の前とほぼ同じ目線で、ワタシはバスケのゴールスタンド前、フリースローラインぎりぎりの所に立ちますた。


 まずは立ったまま、腕だけでショットしてみますた。

 長いこと打っていなかったので当然入りませんれした。

 5回位ショットしてみましたが、一回も入りませんれした。


 でもその時、この義足が確かに語りかけてくれたんれす。

 ワタシのスタイルはそんな感じだったかい、と。


 少し義足を本気で試してみました。

 ジャンプも出来ました。

 オートでも少し走れるようれした。


 だからワタシは、ゴールから少し離れたところから軽く走り、ジャンプしてショットしてみますた。

 ボールは入りませんでした。


 でもまた声が聞こえました。

 キミのスタイルはそんなに大人しかったかい、と。

 そしてまだ跳べるよ、まだまだ翔べるよとささやきかけました。


 だからワタシはボールを持ってセンターライン近くまで下りますた。

 見えない敵に突っ込むようにその時の全力でドリブルして走り込み、全力でジャンプしますた。


 次の瞬間ワタシの視界はゴールを越えた高さまで一気に翔びますた。

 ゴールポストを上から見下ろして、そしてワタシは気づきますた。

 もう一生挑戦出来ないと思った高さを、こんなに簡単に越えられることに。


 何とか無事に着地できたワタシは、今度はゴールポストの近くに立ちますた。

 さっきより心持ち力を抑えてジャンプして、ボールをゴールに叩き込むようにショットしますた。

 ボールはあっさりゴールに叩き込まれ、下でポンポン跳ねますた。


 この半年ワタシを落ち込ませていた何かが、ボールの音とともに去っていく気配がしますた。


 ワタシがこの半年閉じこもっていた世界の壁なんて、こんなに簡単に翔び超えられるんらなと気づきますた。」

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