第76話 高級物件内覧会
市街地(島1軒だけのスーパーがある)の直近に建つ10階建ての白亜のマンション。
空港の管制塔と並びこの島で一番高い建物だ。
大学も高専も近い。
まあ学内にある寮よりは遠いけど。
他に車のない駐車場の端にマイクロバスを停めて、俺達は薊野姉妹の後ろをぞろぞろついていく。
大理石っぽい高そうなエントランスを入りエレベーターホールへ。
オーク材と大理石で装飾された高そうなエレベーターに入って香緒里ちゃんは10のボタンを押す。
「10階って。」
「最上階です!」
それってとんでもない部屋なんじゃ……
エレベーターを出る。
玄関が2つしか無い。
そのうちの左側に由香里姉は歩いていって、そして玄関ドアを開ける。
「さあ、ここが私達の新しい城よ!」
白い壁とオーク材っぽい木材に敷石が大理石っぽい玄関。
マンションのくせに一戸建ての我が実家より玄関が広い。
ちいさいシャンデリアのような照明がつく玄関を入ってすぐが巨大な広間。
一部屋にダイニングキッチンと客間が併設されているタイプだ。
広さは何畳なんだろう。
俺の魔法が思わず発動して測定してしまう。
DK部分だけ45.4平米、つまり28畳。
既に応接セットもテーブルも置いてある。
「運賃がもったいないし処分もカネがかかるという事で家具類含め居抜き状態で購入したの。だから家具も電気製品も前の住民のがそのまま残っているわ。まあ中身はこれから大掃除だけどね。」
応接セットも高級そうだしテーブルもよく見ると一枚板だ。
「前の住民って?」
「どこかの会社の所有物件だったみたい。魔法特区から撤退して売りに出ていたんだけどこんな物件だから買い手がいなくてどんどん値下げしていて。半額以下になったからつい買っちゃった!」
つい、で買える値段でないことは確かだ。
そう言えばあのマイクロバスもつい買っちゃったって言っていたような。
金持ちの金銭感覚は恐ろしい。
「一応間取りは5LDK。広さはぎりぎり200平米いかないくらいだからそんなに無茶な大きさじゃないわよ。後で香緒里に機器類を魔法仕様にしてもらうからガス代は0だし電気代もそれほどかからないと思うわ。」
200平米って、俺の実家の3LDKが確か100平米そこそこだった気が……
マンションでそれってどういう広さだよ。
順繰りに部屋を見て回る。
でっかいベッドがある主寝室(10畳)とその隣シングルベッドがある個室(10畳)。
物置(4.5畳)とウィークインクローゼット(3畳)。
客用らしいシングルベッドと机付き個室3部屋(それぞれ10畳)。
広めで洗面台もあるトイレ2箇所、洗濯機置場もある洗面所、3人位は入れそうな湯船のある風呂。
総じて広い。




