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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第4章 嵐と実りの季節です。

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第66話 小話4の5 魔女の出前便

 こっちの学祭でも大学の学祭でも一番多い出し物は飲食店だ。

 しかも出前もしてくれるところが結構ある。


 中でも毎年評判がいい店というのはある訳で、中でも有名なのは大学の歴史文化研究会のやっているパンとサンドイッチとケーキの店だ。


 ここは注文するとステレオタイプな魔女コスプレをした店員が箒に乗って空を飛んで配達してくれる。

 なかなか魔法特区らしい店だが、味も確かだ。


 各種パンは何と大学の部室で焼いているらしい。

 サンドイッチの具材もそれなりにいい物を使っているらしく、ちょっと高いが美味しいと評判だ。


 学祭期間に限らず常設して欲しいとの希望も多いようだが、結構手間も時間もかかるらしく今のところ学祭期間のみの営業。


 なので例年予約だけでほぼ営業終了してしまうので、評判は高いが食べたという人は多くない。

 それを今回は大学に姉がいるという鈴懸台先輩のつてで大量に予約していた。


「毎度あり~」


 でっかい袋2つに詰まったパンを置いて魔女が学生会室の窓から外へと飛んでいく。

 ちなみに飛行中に下からスカートの中が見えるのではという疑問はスパッツで解決しているようだ。


 俺達は会議用の折りたたみ机2つを空きスペースに設置し、パイプ椅子6つで取り囲むように座る。

 そして広げる各種のパン。


 この島は足りないものが多い。

 例えば本土ではあたりまえのようにある菓子パン類。

 同じくケーキ類。


 なにせ辺境の孤島で研究者と学生がほとんどの魔法特区。

 こういった潤いのある贅沢品はほとんどないのだ。


 しかし今は、学祭期間中だけとは言え営業している店がある。

 そして1人1000円の予算で買いまくった成果がテーブル上に並んでいる。


「いただきます。」


 と全員で唱和した直後から戦争は始まった。


 由香里姉が残像すら残さないような腕の動きで最初に取ったのはクリームパン。

 半分をちぎって口に入れた所で残り半分を鈴懸台先輩に奪われる。

 奪った鈴懸台先輩はそのままクリームパンを口の中にいれて味わい、


「デカルチャー!」


と訳わからない感嘆詞を叫んでいる。


 その間に香緒里ちゃんはメロンパンとあんぱんとスコーンを少しずつちぎって取ってもぐもぐさせている。

 月見野先輩はブレッツェルをうっとりした目をして頬ぼっていて、その横でジェニーはフランスパンのサンドイッチを豪快にがしがし食べている。


 俺は黒パンのサンドイッチを食べながらのんびりと観察。


 平和で幸せな午後のひととき、という感じだ。

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