第48話 小話1の2 参加確定危険接近
俺が気づいた時には、既に俺を除く学生会幹部面々はジェニーとにこやかにお茶会をしていた。
「修兄、起きましたか。」
そう言って香緒里ちゃんが紅茶を入れてくれる。
うーん、気絶明けの紅茶が身体に染みわたる。
「ごめんなさい、つい気が高ぶって害虫退治くんを発動させちゃいました。」
害虫退治くんとはこの前開発した香緒里ちゃん自衛用の最終兵器だ。
発動させると香緒里ちゃん以外の付近の人間を無差別に麻酔状態にする。
薬物耐性が強い月見野先輩以外は確実に行動不能にしてしまう恐ろしい自衛兵器だ。
「大丈夫ですわよ。香緒里ちゃんの自衛兵器は安全な薬剤を使用していますから。」
という事はフォローした月見野先輩の魔法は安全ではないのだろうか。
でも由香里姉も俺より早く復活しているようだけれど。
「それで今、修君のいない間に皆で話し合ったのですけれどね。ジェシーさんも学生会幹部補佐に任命して一緒に頑張ってもらうことになりましたので、了解の方よろしくお願いしますね。」
「えっ。」
「よろしくお願います、オサムさん。」
大丈夫なのだろうか。
俺は横目で由香里姉を見る。
あまりご機嫌宜しい感じではないが、納得はしているようだ。
「こちらこそよろしく。」
俺も軽く頭を下げる。
「ジェニーさんは探知魔法を中心に補助魔法が使えるそうですの。学生会幹部の活動に有用ですので是非にとお願いしたのですわ。」
「今年度は探知系の魔法を使える役員がいなかったからな。これで何処へ行っても安心だ。」
「そうね。」
不本意そうに由香里姉が同意する。
「それで学生会のメンバーになった以上、当然今夜の行事から参加するんだろ。」
「勿論ですわ。」
鈴懸台先輩と月見野先輩がわからないやり取りをしている。
「今夜って、何か行事があるんですか。」
鈴懸台先輩がにやりと笑う。
「金曜夜と行ったら露天風呂大会だろ。」
「あれは香緒里ちゃんを狙う連中がいるから中止なのでは。」
「大分ほとぼりも覚めてきましたことですしね。それに今はジェニーさんの能力もある事ですし。ジェニーさんはこちらに害意を持って近づく人間を察知できる魔法を使えるそうなので。」
「自動継続の魔法のです。一度かければ24時間有効で寝ていても自動的に起きられるす。」
「でもマイクロバスの寝床、2人用3つしかないけど。何なら俺が助手席リクライニングして寝ればいいけれど。」
「2人用3つあれば6人寝れるから問題ないよな。」
「そうですわね。」
あ、由香里姉にスイッチが入った。
香緒里ちゃんも何か反応している。
「寝る場所はあとで厳正なくじ引きとさせていただきますわ。私とミドリで一番後ろの下段を取りますので、あと2つのベッドをくじ引きにすればいいですわね。」
あ、さらっと月見野先輩と鈴懸台先輩で一番いい場所取りやがった。
でも他の面々に文句は無さそうだ。
由香里姉のギラギラした視線が怖いが、香緒里ちゃんの何か静かな決意を込めたような目もちょっと怖い。
大丈夫か、俺。




