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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第3章 迷い考えて作るんだ!~魔法工学生の夏~

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第34話 小話3終話 ガス抜きはきっと必要だ

 慌てて逃げ場を探すと、部屋の隅の方で月見野先輩がちょいちょいと招いているのが見えた。

 俺も香緒里ちゃんも急いでそこへ退避する。


「そこの本棚から手前は防護魔法がかけてありますからご心配なく。」


 月見野先輩の言葉で俺達は一息つく。


「あ、でも窓ガラスや備品は。」

「当然、対策済みなのですよ。ですからご安心なさって。書類も原本は大体私の机の中に退避させていますから。」


 成程、でもそこまでしているという事は。


「ひょっとしてこんな事態、前にも起きているのですか?」


 香緒里ちゃんが俺の質問を代弁してくれた。

 月見野先輩は頷く。


「昨年は週に1度はこうなっていましたかしら。今年度は色々ガス抜きの行事も出来ましたので、ほとんど発生していませんでしたからね。ガス抜き行事が中止になったので、いずれ近いうちにこうなることは予想されておりました。」


 ガス抜き行事とは、と俺は考えてすぐ気づく。

 ああ、金曜夜恒例の露天風呂か。


「ユカリが爆発しなくても、じきにミドリが挑発仕掛けると思っておりましたからね。ある意味ちょうどいい機会だったと私は思いますの。」

「でも良いのか、これを止めないで。」


 既に机の上に合った筆記用具等は溶かされて燃やされているか凍らされ砕かれているかで跡形もない。


「ある程度発散したのを確認いたしましたら、私のとびっきりの睡眠魔法か麻痺魔法でお止めいたしますわ。あの2人なら少々威力が強い魔法でも問題ないですしね。」


 月見野先輩が浮かべた笑顔を見て俺は気づく。

 あ、この人も前で戦っている怪獣の同類だ。



 それから約10分後、双方疲れて魔法が途絶えた隙に月見の先輩の麻痺魔法が炸裂。

 床に倒れて痙攣している2人を無視して月見野先輩は部屋の奥に向かい、窓を全開にする。


「これで換気をすれば掃除完了ですわよ。」


 確かに塵も何もかも蒸発するか燃焼して二酸化炭素になっている。


「さあ、これで今日の学生会幹部会議は終了ですわよ。香緒里さんは私が寮の部屋までお送りいたしますわ。」

「いいのか、これを置いたままで。」


 俺の視線の先にはボロボロの服でひくひく痙攣している物体2つ。


「その2人なら置いておいても大丈夫ですわ。替えの服もロッカーにありますし、1時間もすれば動ける状態にはなりますわよ。新開発した強力な麻痺呪文を使わせてもらいましたので、もしかしたらもう少しかかるかもしれないですけれども。最近は強力な魔法を開発しても人間に試す機会が少なくてちょっと苛ついていましたから良い機会でした。」


 おいおい月見野先輩、最後は本音丸出しだ。


「それともこの2人をこの機会に味見なさいます。今なら抵抗すること無く味見できますわよ。」


 何という事を言うのだ月見野先輩。


「あの怪獣大戦争を見てその気になれるほど俺は豪快じゃないですよ。」

「残念ですね。見た目にはなかなかそそられそうな感じに思えますけれども。」


 そう言われて俺は気づく。

 ボロボロで穴というか衣服の体を成していない衣服。

 でも体は魔法耐性のお陰で傷ひとつない。

 それが怪しく誘うように痙攣している。


「うっ、ああ~」


 そう意識していると呻き声まで色っぽい。

 駄目だこれ意識したら負けだ18禁突入だ。


「わかりました。今日は引き上げましょう。」

「それが賢明ですわね。」


 月見野先輩も頷く。


 俺達は学生会室を出て扉を閉め、ドアに鍵をかけた。

この小話もこれで終了です。

どうもお読みいただきありがとうございました。


夏編、あと小話(ちょい長め)1本です。

まだまだ1日2回更新する予定です。

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