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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第3章 迷い考えて作るんだ!~魔法工学生の夏~

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第23話 小話2の2 どうせ造るならこだわろう

 別にこの発想は俺のオリジナルじゃない。

 いわゆる波刃の包丁の原理と同じだ。

 あれは切れる部分と引っかかるだけの部分があるから、トマトみたいな斬りにくいものも簡単に切れる。

 それを魔法に応用しただけ。


「じゃあ、あともう一つお願いです。」

「何だい。」

「せっかくだから素体の包丁も最高の物を作りたいんです。だから鈴懸台先輩のクラウ・ソラスを作った方法を知りたいです。あの方法で最高の包丁を作ってみたいです。」


 これを教えると俺にとってかなりの手間になる。

 でもそういう発想と意志を俺は嫌いじゃない。

 それでこそ物作り屋だと思うからだ。


「あれは日本刀の作り方の応用だから包丁にも適しているだろうな。あの時の材料が包丁1本分くらいは残っていたと思う。ちょっと待ってくれ。」


 俺はこの部屋に持ち込んでいる俺のストックボックスを漁る。

 黄土色の油紙に包まれた長さ30センチ強の細い鉄の板材があった。


「これだ、青紙スーパー。」

「黄色い紙ですね。」


 お約束のベタなネタだ。

 青紙というのはその紙じゃない。


「青紙って言うのは鋼材の名前。日立金属の安来工場が生産している和式の刃物専用のとっても品質のいい鉄だと思ってくれれば間違いない。青紙スーパーだと包丁用にはちょっとオーバースペックだけどまあいいか。刃に魔法付与しているから研がないだろうし。」


 ちなみにこの工房には日本刀等の作成用に高温の炉も3種類作ってある。

 香緒里ちゃんの魔法付与能力で作ったそれぞれちょっとチートな炉だ。

 これと色々な魔法工具があれば日本刀に近いものをかなり短縮した工程で作れる。


「完全な日本刀の作り方とはちょっと違う魔法を使った略式だけどね。まずは刃の部分と外側の部分、芯の部分を組み合わせる。クラウ・ソラスは高熱に耐えられるようにメインは軟鋼、刃の部分だけ青紙でちょっと長めに、芯も軟鋼で更に刃と芯の間に魔力伝達用の特殊銀を挟んだ。でも今回は包丁だから刃の部分だけ青紙で他外側はステンレスがお勧めかな。包丁は水回りで使うから少しでもサビにくくしたいから。」

「うーん、今回はお勧めでいいです。要は用途に応じて性質の違う鉄を組み合わせるということが理解できればいいですか。」

「それで十分。後は実際に作るときに研究すればいいさ。ネットにも色々載っているし。」


 俺は青紙と同じ厚さのステンレス材をこの部屋のストック場所から出す。


「包丁の形はどんな形。出刃でも牛刀でも何でもできるよ。」

「うーんと、図で書いてみていいですか。」


 俺がいつものスケッチブックを渡し、香緒里ちゃんに図を書いてもらう。

 うん、これは刃渡り21センチ位の牛刀でいいのかな。


 俺はこの前も使ったノギスファンネルを起動してスケッチブックの図を読み取らせ、CADに表示させる。

 ベジェ曲線を使ってちょっと歪んだ線を修正し、更に鋼材の厚さを入力したり幅と厚みと仕上げ寸法の差考慮しつつ大体の値で修正して青紙とステンレス材を任意空間固定でカット。

 4D自動グラインダである程度形を整える。


 出来た鋼材を香緒里ちゃんの前で組み立てる。


「これで大体包丁のイメージになっただろ。」

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