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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第3章 迷い考えて作るんだ!~魔法工学生の夏~

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第18話 小話1の1 台風来たりておかず無し

 結局俺は懐かしの第1工作室へ帰還する事は出来なかった。


 身分は香緒里ちゃん共々学生会幹部補助のまま。

 今では学生会室に俺と香緒里ちゃんの席も出来ている。

 まあ俺は会議でもなければほとんど例の工房にいるけれど。


 午後は学生会室か例の工房で過ごし、夕方になると寮に帰って飯を食って授業の予習復習。

 高専はわりと落第し易い。

 勉強はしっかりやっておかないと色々厳しいのだ。


 そして金曜夜は晴れていれば恒例の露天風呂大会。

 露天風呂の日は就寝も例のマイクロバスだ。

 マイクロバスに泊まって好きなときに露天風呂に入って朝までだらだらする。

 就寝場所は6人分あるから余裕だ。


 でも裸でその辺をうろうろするのはやめてもらいたい。

 見ないようにしているしある程度は慣れたけれど。

 露天風呂大会から帰った土曜日の昼頃は毎回自己処理しているけれども。


 さて、今日は木曜日。

 現在魔法特区では大変深刻な事態が発生している。


 台風が続けて発生した。

 おかげで連絡船の欠航が3便続いた。


 つまりこの島に連絡船が3週間来ていない。

 それが何を意味するか島の者は皆知っている。


 この島は全体が魔法特区。

 第一次産業に従事している人間は一人もいない。

 せいぜい家庭菜園を作っている人がいるという程度。

 食料品は全部船便で他から持ってくるのだ。


 そんな訳で食品の在庫が底を尽きつつある。

 飛行場にいる自衛隊が輸送機で非常食を運んで放出している位だ。


 でも実は俺はそれ程困っていない。

 俺はそれ程食事にこだわりは無い。

 スパゲティの醤油味とかマヨネーズ味とかでも平気で一週間暮らせる。

 こんな事態に備えて缶詰等の買いだめも用意済みだ。


 でも困る人も結構いる。

 今年がこの島で過ごす初めての夏で買いだめを怠った人々。

 そして食にこだわりがある人々である。


 そしてそんな困った人達は俺の身近にもいた。

 例えば学生会室等に。


「という訳で、今日の議題は食材の調達ですわ。」


 学生会の幹部室内の会議だが、もちろん学校内の食材という意味ではない。

 自分たちが食べる食材についてだ。


「大学カフェテリアが営業していますよ。」


 と一応俺は報告しておく。


「メニューは自衛隊放出のかしわめしとランチョンミートのチャーハンだけですけれど。」

「あれは食べ飽きたわ。」

「うん、それに量が少ない。」

「いいかげん生物や野菜類も欲しいですわね。」


 先輩方は皆わがままを言っている。

 毎年こんな日が来るのをわかっている筈なのに。


「食べられる野草とかは無いんですか。」


 と香緒里ちゃん。

 だが香緒里ちゃん、君はまだ甘い。

 ここのことを知らなすぎる。


「食べられる野草はもう鑑定魔法を持つ人間に採取され尽くしているさ。そうですよね月見野先輩。」


 鑑定魔法を持つ張本人に振ってみる。


「ええ、大山側にも象頭山側にも目ぼしい野草は残っていないようですわ。」


 やっぱり確認済みだった。


「何ならアホウドリを捕まえて食べるか。あれは結構簡単に捕れて美味しいらしいな。昔の文献では。」

「保護されているからやめましょう。ただでさえここに魔法特区作るときに自然保護団体が煩かったらしいですから。」


 鈴懸台先輩の乱暴な意見は俺が却下しておく。

新しい章 夏休みまで編です。


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